
今回は、こんな声に応えていきます。
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当記事で分かること
- 急性白血病とは
- 急性白血病の種類・特徴について
<Contents>
急性白血病とは
<死亡率>
出典:国立がん研究センター
急性白血病は造血器腫瘍の一種で、血液細胞に異常を起こした白血病細胞が増殖を起こしてしまう状態で、スペースが占拠されることで正常な造血が抑制されて汎血球減少を来します。
造血器腫瘍は、以下のリンパ系腫瘍と骨髄系腫瘍に大別されます。
- リンパ系腫瘍:B・T細胞などに分化する系統に異常を起こします。
- 骨髄系腫瘍:顆粒球・赤芽球・巨核球などに分化する系統に異常を起こします。
汎血球減少とは
- 赤血球
- 白血球
- 血小板
上記の血球が減少することを言います。次の二点が主な原因となります。
- 血球産生低下(骨髄):再生不良性貧血・巨赤芽球性貧血・急性白血病など
- 血球破壊(末梢血):敗血症・DIC(播種性血管内凝固症候群)・脾機能亢進症など
急性リンパ性白血病・急性骨髄性白血病
急性白血病は前述した通り、主にリンパ系と骨髄系に分かれます。好発時期は違えど、症状や治療の大きな違いは無いとされるので、まとめて解説していきます。
- 急性リンパ性白血病(ALL:Acute Lymphoid Leukemia:):小児(10歳未満)>成人
- 急性骨髄性白血病(AML:Acute Myeloid Leukemia):小児<成人(50歳以降)
*小児の予後は9割弱の治癒率と、成人と比較して良好とされます。
症状
3項目で分けて考えると理解し易いと思います。
- 汎血球減少:易感染・出血傾向・貧血症状など
- 臓器浸潤症状:肝脾腫・リンパ節腫脹・中枢神経症状・骨痛など
- 抗がん剤:骨髄抑制・消化器症状・脱毛など
*二大死因は汎血球減少などに伴う感染症と出血です。また、抗がん剤は細胞分裂が活発な骨髄・粘膜・毛などに影響が出易いとされます。尚、ALLでは中枢神経に浸潤し易いとされます。
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検査
- 白血病裂孔:急性白血病では骨髄で芽球の分化が抑制されます。末梢血には正常な成熟細胞と芽球のみ観察されて中間の細胞が現れないので、間が欠落していることより「裂孔」と呼びます。
- 骨髄穿刺:WHO分類では骨髄中の20%以上に芽球を占めます。
治療
「Total Cell Kill」の概念で、化学療法などによって順を追って白血病細胞を根絶やしにします。
- 寛解導入療法:強力・大量の化学療法などで正常細胞と共に根絶やしにして、1ヶ月程度を掛けて完全寛解を目指します。
- 地固め療法:白血病細胞の数や症状などが改善して完全寛解となった後に、残存する白血病細胞に対する根絶及び再発予防目的に行います。
- 維持・強化療法:外来でも行える強さの化学療法で、完全寛解の維持を目的とします。
- 支持療法:前述した薬剤による副作用などをカバーする治療・支援を行います。具体的には、輸血・抗菌薬・無菌室・含嗽・補液・帽子などです。
- 造血幹細胞移植:再発・難治例などで行います。
- 髄腔内化学療法:ALLで中枢神経浸潤を抑える目的で行います。経静脈では中枢神経に届き難いので、腰椎穿刺をして行います。
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寛解とは
治癒と違って、再発の危険性を伴う疾患で主に使われます。一時的に病状が改善している状況です。完全寛解では造血機能が改善して末梢血に芽球を認めず、骨髄中の芽球が5%以下の状態とされます。
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今回は「急性白血病」について解説しました。
まとめ
- 急性白血病は血液の「がん」で、異常な細胞が骨髄を占拠します
- それによって汎血球減少を来します
- 骨髄系とリンパ系で増殖細胞は異なりますが、治療は似ています
- リンパ系は小児(10歳未満)に多く、骨髄系は成人(50歳以上)に多いです
- 症状は大別して「3」項目で考えよう!
- 急性白血病では白血病裂孔を特徴とします
- 初期治療は骨髄細胞を根絶やしにして寛解を目指します
- その次に残存している僅かな細胞を更に追い込みます
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