
今回は、こんな声に応えていきます。
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当記事で分かること
- 成人T細胞白血病・リンパ腫とは
- 感染経路・地域性について
- 症状・検査・治療とは
<Contents>
成人T細胞白血病とは
成人T細胞白血病・リンパ腫(ATLL:Adult T-cell leukemia leukemia・lymphoma)は、レトロウイルスのHTLV-1(Human T-cell Leukemia Virus Type 1)が「リンパ球」に感染して、保因者(キャリア)の5%程度が生涯に発症するとされます。数十年の時を経て中年以降に発症し、末梢血に花弁状(Flower Cell)の腫瘍細胞が発現します。

感染経路
感染経路は主に以下の通りです。現在は輸血での感染は稀です。感染が分かっている場合は、授乳や性交渉には注意します。
- 母乳
- 性交渉

レトロウイルスとは
細胞に侵入後に、逆転写酵素によってRNAをDNAにすることで宿主のDNAに自己遺伝子を組み込み、複製・増殖を図るウイルスです。
- エイズウイルス(HIV)
- 白血病ウイルス
地域性
日本はATLLが世界的に多く、九州地方に4割程度を占めるとされます。近年は移住などによって、人口の多い大都市圏でも増加している傾向です。海外ではアフリカや中南米で多いとされます。
参考
病型
病型は4種類存在します。数字が大きいほど症状・予後などが悪く、発症頻度も高くなります。
- くすぶり型:5%程度
- 慢性型:20%程度
- リンパ腫型:20%程度
- 急性型:60%程度
症状
症状
- リンパ節腫大・肝脾腫:異常T細胞の浸潤によって起こります。
- 易感染:白血球は増加しますが、正常T細胞の減少によって起こります。
- 皮膚症状:皮膚への浸潤によって紅斑などが生じます。
- 高カルシウム血症:異常細胞がPTH(副甲状腺ホルモン)を介してカルシウム濃度を上昇させ、口喝・意識障害・嘔気などが生じます。
検査
検査
病型で違いますが、血液検査や骨髄検査などで主に以下の所見などを認めます。
- 抗HTLV-1抗体
- Flower Cell
- 白血球数
- LDH
- カルシウム濃度
治療
治療
病型・症状以外に、年齢・検査値などの予後不良因子によって検討します。
- 経過観察:くすぶり・慢性型で無症状・予後良好の場合は経過を見ます。
- 放射線治療
- 多剤併用化学療法:リンパ腫・急性型や予後不良因子などを加味して行います。
- 造血幹細胞移植
- 高カルシウム血症:ビスホスホネート製剤やカルシトニン製剤などで骨吸収を抑制したり、輸液・利尿薬などを用います。
今回は「成人T細胞白血病」について解説しました。
まとめ
- ATLLはレトロウイルスの感染によって数十年後にリンパ球(T細胞)が腫瘍化します
- 母乳・性交渉などで感染するので、それぞれの対策が重要です
- 九州地方以外に大都市圏でも広がっています
- 皮膚症状・高カルシウム血症などが特徴的です
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