
今回は、こんな声に応えていきます。
今や衛生仮説も唱えられているほど綺麗な環境で育っている現代人は、アレルギーがパートナーと言っても過言では無いです。どの様な機序で起こるのか見ていきましょう!
この記事は看護学生・看護師は勿論、その他の医療学生・関係者にも通ずる基礎内容です。専門書やガイドラインなどでデータや事実を確認してから執筆しています。学科試験・国家試験・予習復習などに役立ててください! 国家試験範囲の解説一覧は領域別にHOMEに掲載しています。Kindle電子書籍を活用して無料・低価格で「電子ノート」を作りたい場合は、以下の記事を参考にしてくださいね!
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当記事で分かること
- アレルギー分類について
- 機序・検査など
<Contents>
アレルギー反応とは
生体は異物の侵入により免疫機能が働いて取り除こうとします。その結果、生体に悪影響を及ぼすことをアレルギーと言います。一般的に言われるアレルギーは、Ⅰ型アレルギーです。それぞれ見ていきましょう。
次の4種類の型が存在します。
- Ⅰ型(即時型・アナフィラキシー型):IgE
- Ⅱ型(細胞傷害型):IgG・IgM
- Ⅲ型(免疫複合体型・アルサス型):IgG・IgM(免疫複合体)
- Ⅳ型(遅延型・ツベルクリン型):感作T細胞
*Ⅰ~Ⅲ型は「液性免疫(抗体・補体)」で、Ⅳ型は「細胞性免疫(細胞)」が中心になって働きます。また、番号順に症状の出現時間が短い傾向です。
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Ⅰ型アレルギー(即時型・アナフィラキシー型)
ポイント
- IgE(液性免疫)
- 発症:20分前後
機序
肥満細胞や好塩基球にくっ付いている抗体(IgE)に抗原(アレルゲン)が結合し、化学伝達物質(ケミカルメディエーター)を放出・作用して症状を呈します。
肥満細胞は急激な症状となる即時型に関与し、その後に好酸球による遅発型反応(セカンドアタック)が起きる場合もあります。気管支喘息やアトピー性皮膚炎などの慢性疾患は好酸球が主に関与します。
肥満細胞とは
マスト細胞とも呼びます。見た目が太いと言うだけで肥満とは関係無く、異物に対してヒスタミンを放出して炎症やⅠ型アレルギー反応を起こします。
ケミカルメディエーター
- ヒスタミン:血管拡張・血管透過性亢進・掻痒感など
- プロスタグランジン:血管透過性亢進・血管拡張・発熱など
- ロイコトリエン:血管透過性亢進・血管拡張・気管支収縮など
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代表疾患・検査
代表疾患
- アナフィラキシーショック
- アレルギー性鼻炎(花粉症など)
- 気管支喘息
- 蕁麻疹
- アトピー性皮膚炎
- 食物アレルギー
検査
- IgE上昇(即時型反応)
- 好酸球上昇(遅発型反応)
- 皮膚・皮内テスト
- 食物負荷など
アナフィラキシーショックとは
アナフィラキシーショックでは、1回目の異物(抗原)が記憶され、2回目以降では抗原に対して抗体が産生されることでショック症状を呈し易くなります。主に使用する薬剤や代表的な原因は以下の通りです。
原因
- 食物:卵・乳製品・小麦・蕎麦など
- 自然:ハチ毒など
- 院内:筋弛緩薬・ラテックス・抗菌薬・造影剤など
薬剤
- アドレナリン筋肉注射
- 抗ヒスタミン薬
- 副腎皮質ステロイド
- その他状態に応じて気管支拡張薬や輸液療法など
Ⅱ型アレルギー(細胞傷害型)
ポイント
- IgG・IgM(液性免疫)
- 発症:数分~数時間
機序
自分の細胞が抗原と認識され、抗体(IgG・IgM)がくっ付いたり、補体を活性化することで自己細胞を傷害してしまいます。
代表疾患など
- 不適合輸血(溶血)
- バセドウ病
- 重症筋無力症
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Ⅲ型アレルギー(免疫複合体型・アルサス型)
ポイント
- IgG・IgM(免疫複合体)
- 液性免疫
- 発症:4~8時間程度
機序
抗原・抗体・補体などが繋がっている構造物を免疫複合体と言います。免疫反応によって、免疫複合体が組織にくっ付くことで傷害されます。
代表疾患
- 急性糸球体腎炎
- 関節リウマチ
- ループス腎炎(全身性エリテマトーデス)
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Ⅳ型アレルギー(遅延型・ツベルクリン型)
ポイント
- 感作T細胞(細胞免疫)
- 発症:1~3日程度
機序
1回目に侵入してきた抗原を記憶することを感作と言います。記憶した感作T細胞が、再度侵入した抗原に対してリンホカインを産生して炎症を起こして発赤や硬結を呈します。リンホカインとは、リンパ球が産生するサイトカインです。
代表疾患など
- 移植片対宿主病(GVHD:Graft Versus Host Disease)
- ツベルクリン反応
- アレルギー性接触皮膚炎
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今回は「アレルギー」について解説しました。
まとめ
- アレルギーとは、免疫反応が人体に影響を及ぼすことを言います
- 一般的なアレルギーはⅠ型を指し、Ⅳ型まで存在します
- Ⅰ型はIgEと化学伝達物質で様々な症状を呈します
- アナフィラキシーショックの対応は覚えよう!
- Ⅱ・Ⅲ型はIgG・IgMが関与します
- Ⅳ型は細胞性免疫が主体になります
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