
今回は、こんな声に応えていきます。
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【医療学生】iPad・アプリなどを活かした図解ノートによる勉強方法について<看護>
当記事で分かること
- 無気肺とは
- 分類について
- 排痰法について
<Contents>
無気肺とは
無気肺(Atelectasis)は、英名より「アテレク」とも言われます。読んで字の如く、肺胞の含気量が減少した状態です。大きく4つの分類に分かれます。
- 閉塞性無気肺
- 圧迫性無気肺
- 粘着性無気肺
- 瘢痕性無気肺

閉塞性無気肺
無気肺の中でも特に重要で、気道分泌物などによって中枢気道が閉塞することで起きます。術後合併症・長期臥床などでも起き易い無気肺です。
気道には側副換気と呼ばれる脇道が幾つか存在します。その為、末梢側の閉塞では脇道から空気が入るので無気肺になり難いとされます。
圧迫性無気肺
外力によって圧迫を受けて無気肺となる病態です。
- 腫瘍病変
- 胸水
- 気胸(空気)
参考
粘着性無気肺
正常な肺では、Ⅱ型肺胞上皮細胞より肺サーファクタントと呼ばれる界面活性作用を持った物質が分泌されています。これによって組織間液の表面張力を弱めていますが、減少することで虚脱してしまいます。
- 新生児:34週前の早産など、未熟で産まれた新生児では肺サーファクタントが不足して呼吸窮迫症候群(RDS:Respiratory Distress Syndrome)によって呼吸障害を起こします。
- 急性呼吸窮迫症候群(ARDS:Acute Respiratory Distress Syndrome):敗血症・誤嚥性肺炎などによる炎症を引き金に、血管内の水分などが肺胞に移行して肺が水浸しになります。炎症・水分によって肺サーファクタントが不足してしまいます。
- 高濃度酸素:酸素の毒性による肺胞上皮細胞障害や吸収性無気肺などで起こります。
ARDS診断基準
- 急性
- PaO2/FIO2≦200
- 両側びまん性浸潤影(胸部レントゲン)
- 心原性肺水腫を否定する
吸収性無気肺とは
大気中の酸素濃度は21%で、78%は窒素です。二酸化炭素は0.04%程度と非常に少なく、肺胞は窒素によって膨らみを保っています。そこに高濃度酸素を投与すると、酸素を取り込んだ後に窒素が無い状態となり肺胞が虚脱してしまいます。
瘢痕性無気肺
肺胞の周囲が硬くなって膨らめず虚脱します。
- 肺線維症:間質性肺炎・じん肺など
- 気管支拡張症:感染・炎症などによって壁が硬くなっていきます。
参考
症状・検査・治療について
症状
患者の状態や無気肺の程度によって様々です。
- 無症状
- 咳嗽
- 呼吸困難

検査
- 胸部打診:濁音
- 呼吸音:減弱・消失
- 画像検査:CT・レントゲンなどで含気(黒)が減って白く写ります
治療
下記以外にも様々な方法が存在し、看護師の介入で劇的に改善することも多いです。
- 喀痰吸引:必要に応じて気管支鏡で直視下に行います。
- 体位ドレナージ:患側を上にして重力で移動する向きに体位調整をします。
- スクイージング:呼気に合わせて胸郭を押して痰を移動させます。
- スプリンギング:呼気に合わせて胸郭を押し、吸気開始時に圧迫を解除して吸気を促します。
- 去痰薬
参考
今回は「無気肺」について解説しました。
まとめ
- 無気肺は肺胞の含気量が減少した状態で、大きく4種類に分けられます
- 閉塞性無気肺は最も頻度が高く、術後・長期臥床時など様々な場面で見られます
- 肺サーファクタントは肺胞の虚脱を防ぐ役割を持ちます
- 症状は程度にもより、酸素化障害なども認めます
- 呼吸音やレントゲンの変化を気にしてみよう!
- 吸引・体位ドレナージなど、看護師が行えることは多いです
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