
今回は、こんな声に応えていきます。
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当記事で分かること
- ベーチェット病とは
- 検査・症状・治療について
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<Contents>
ベーチェット病とは
ベーチェット病(Behçet's disease)は原因不明の自己免疫疾患の一種で、全身に炎症を起こす疾患です。生命予後は良好ですが、特殊病型は重症化し易いです。

好発
アジア・中近東などのシルクロード沿いの地域で好発すると報告されています。自己免疫疾患ですが、発症に男女差が無いのも特徴的です。
- 地域:シルクロード
- 男女差無し(20~40歳)
- 重症例:男性>女性
主症状
症状は多様で、前述した通り主症状・副症状に分けられます。診断の基準として、厚生労働省ベーチェット病診断基準(2016年小改訂)が用いられています。
眼・口・外陰部・皮膚の4大症状と、神経・関節・消化器・血管などの副症状によって病型が分けられています。
- 完全型:全主症状(眼・口・皮膚・外陰部)
- 不完全型:主症状・副症状を幾つか満たす
- 特殊型:上記+臓器症状(腸管・神経・血管型ベーチェット病)
ポイント
4種類の主症状で頻度が高いのは口腔内アフタ性潰瘍(9割程度)と外陰部潰瘍(8割程度)で、初発症状となることが多いです。
- 眼症状:ぶどう膜と呼ばれる組織が炎症を起こして時に失明します
- 口腔内症状:円形・楕円形の周囲が赤く潰瘍部が白色の「アフタ」を形成します
- 外陰部症状:陰嚢・陰唇などに好発して疼痛を伴います
- 皮膚症状:結節性紅斑が最も頻度が高く、硬結・有痛性で下腿に好発します
副症状
- 関節炎:変形・硬直は伴わないです
- 精巣上体炎
- 消化器病変:回盲部潰瘍を代表とします
- 血管病変:動脈疾患・血栓症など
- 中枢神経病変:髄膜炎・脳炎など
検査
検査
- 針反応:針で皮膚を刺すと発赤・膿を呈します
- 炎症反応:赤血球沈降速度・C反応性蛋白など
- 遺伝因子:HLA-B51陽性(6割程度)
- 生検:病理組織
HLA
ヒト白血球抗原(HLA:Human Leukocyte Antigen)で、白血球の血液型です。白血球以外の型も発見され、通常HLAと呼ばれます。臓器移植などで耳にする言葉です。
治療
治療
- 副腎皮質ステロイド:結節性紅斑・口腔内アフタ性潰瘍(外用薬)・眼病変(点眼)など
- コルヒチン:皮膚・関節炎など
- NSAIDs:鎮痛
- 免疫抑制薬・生物学的製剤(DMARDs):眼病変
薬剤
- コルヒチン:痛風でも使われる薬剤で炎症性サイトカインを抑制しますが、毒性が強く消化器症状・奇形児などの副作用を抱えます
- 疾患修飾性抗リウマチ薬( DMARDs:Disease Modifying Anti Rheumatic Drugs):免疫反応に作用して炎症・進行を抑えます
今回は「ベーチェット病」について解説しました。
まとめ
- 男女差は無く、20~40歳で好発し男性は重症化し易いとされます
- 主症状「4」種類、特にアフタ・外陰部(皮膚)潰瘍は起き易いです
- 副症状では消化器・血管・中枢神経が重症化し易いです
- HLAが遺伝的要因で6割程度認めます
- 治療は対症療法で、ステロイド・コルヒチンなどを用います
参考Web
*ベーチェット病の皮膚粘膜病変診療ガイドライン
*厚生労働省ベーチェット病診断基準
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