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【血液検査】生化学検査と一般項目・基準値・スピッツなどについて解説します

集中治療室で10年以上働き、ブログを起点に医療情報やお役立ち情報を発信しています。医療学生・新卒看護師向けに分かり易く解説するコンテンツも制作しています!国家試験に合格したのに臨床で上手く使えない…と思っている人は結構多いです。折角学習するのに臨床で活かせないのは勿体無いです。効率的・体系的に学びつつ臨床に活かしましょう!

生化学検査って何のこと?

今回は、こんな声に応えていきます。

この記事は看護学生・看護師は勿論、その他の医療学生・関係者にも通ずる基礎内容です。専門書やガイドラインなどでデータや事実を確認してから執筆しています。学科試験・国家試験・予習復習などに役立ててください!

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当記事で分かること

  • 血液検査について
  • 生化学検査とは
  • 頻出する項目と基準値について
  • 採血管スピッツの特徴など

血液検査とは

血球・血漿・血清・採血管

血液検査の検体は、当然ですが血液です。その血液には幾つかの種類に分かれていて、検査項目によって採取方法が異なってきます。

  • 全血:抗凝固剤によって凝固作用を阻止し、体内の血球成分などを調べます。
  • 血漿:抗凝固剤によって凝固作用を阻止し、遠心分離によって血球と血漿を分けた上澄み部分のことで、凝固機能などを調べます。
  • 血清:血液を凝固させて遠心分離を行うと、血球成分・凝固成分と分かれて血清が現れます。生化学検査で頻繁に用いられます。

クレンチング

注意ポイント

クレンチングとは、採血時にグーパーを繰り返して血液の流れを促進させることです。これにより、筋肉などからCr(クレアチニン)・K(カリウム)などが放出されてしまいます。検査値に誤差が生じるので、気を付けましょう。

スピッツに入れる順番について

注意ポイント

一般的にはシリンジ採血と真空管採血で、採血管に入れていく順番が異なります。




  1. 凝固
  2. 血算
  3. 血糖
  4. 生化学

理由

シリンジで採血する場合は凝固のスピッツを一番最初に入れます。凝固のスピッツは抗凝固剤が入っている通り、血液凝固によって測定不可能となります。

また、メモリまで正しく入れる必要もあります。特に血液が足りない場合などは注意が必要です。その他は抗凝固剤が添加されているスピッツや、重要な検査項目より採取していきます。生化学は凝固しても問題ないので最後に採ります。

尚、各スピッツには「必要量」が書かれていますが、項目によっては半量以下で済むことも多く、血液が不足している場合は検査部などに確認すると良いでしょう。

  1. 生化学
  2. 凝固
  3. 血算
  4. 血糖

理由

真空管採血では、最初に凝固スピッツを入れてしまうと、穿刺した際の組織・体液などで凝固が促進されてしまうので、凝固しても大して問題の無い生化学より採取します。

また、生化学はカリウムなどの電解質を測定するので、駆血時間の短い最初に採ることで回避できます。

凝固のスピッツは2番目に採ります。特に翼状針採血では、最初に採ってしまうとルート分の血液が採れずに不足してしまうので注意しましょう。


今回は「生化学」について解説していきます。

生化学検査

「血算!生化!凝固!」…この3種類は特に臨床で頻繁に測定される検査項目なので、必須知識と言えます。ちなみに全血球計算は血球を測定し、凝固検査は凝固機能を測ります。

本題となる「生化学」では蛋白質・電解質などを測定します。生体には多彩な蛋白質・電解質が存在するので、項目は非常に多いです。ゴム栓は黄色・茶色・青色など様々で、個人的には黄色・青色が身近でしたね。

ポイント

  • 電解質・蛋白質など

検体は血清を用いる

生化学検査は冒頭で解説した「血清」を用いて測定します。敢えて凝固させて血清に分離するので、血液が多少凝固しても大して影響しないんですね。

ある意味で採血が苦手な医療者には優しい?検体と言えます(笑

注意ポイント

次の項では検査値について解説していきます。各文献の他、施設基準・検査機器などで検査値は変わるので御了承ください。「臨床検査のガイドラインJSLM2018」を参考にしています。

臨床では電子カルテが導入されている場合は青字・赤字などでマーキングされます。全て暗記せずに、ざっくりと覚えるのを推奨します。

検査項目と基準値について

肝胆膵

  • AST:13-30 U/L
  • ALT:8-36 U/L
  • ChE:208-469 U/L
  • アンモニア:15-70 μg/dL
  • LDH:124-222 U/L
  • ALP:106-322 U/L
  • γ-GTP:9-47 U/L
  • T-Bil:0.4-1.5 mg/dL
  • D-Bil:0.4 mg/dL未満
  • AMY:44-132 U/L





  • AST:アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼの意味で、肝臓の他、様々な臓器に含まれる酵素です。
  • ALT:アラニンアミノトランスフェラーゼの意味で、多臓器に含まれますが、特に肝臓に比率の多い酵素です。
  • ChE:コリンエステラーゼは2種類存在しますが、肝臓で合成される酵素を測定して肝機能などに役立てます。
  • アンモニア:蛋白質の代謝によって生じ、肝臓で尿素に変換されて解毒されます。
  • LDH:乳酸脱水素酵素は肝臓・血球など、様々な細胞に含まれています。
  • ALP:アルカリフォスファターゼは骨などにも含まれますが、胆道に流れるので胆汁鬱滞などで主に上昇します。
  • γ-GTP:蛋白質分解酵素で、胆道系・飲酒などの指標としても有名です。
  • T-Bil:ビリルビンは黄疸で有名ですね。
  • D-Bil:直接ビリルビンです。T-Bilとの差が、間接ビリルビンになります。
  • AMY:アミラーゼは唾液や膵臓に含まれ、膵炎などで上昇します。

腎臓

  • Cr:0.49-1.08 mg/dL
  • BUN:8-20 mg/dL
  • UA:2.8-7.8 mg/dL




筋肉で代謝された老廃物となるクレアチニンが排泄されているかを見ます。

血中尿素窒素は、蛋白質の分解産物です。窒素と蛋白質はセットで覚えましょう!

尿酸の原因となるプリン体は「内臓」などに多く、腎臓より排泄されて痛風などの指標にもなります。


筋肉

  • CK:45-216U/L

クレアチニンキナーゼは筋肉の収縮に関与していて、筋肉が壊れると血中濃度が上がります。

電解質など

  • Na:138-145 mmol/L
  • Cl:101-108 mmol/L
  • K:3.6-4.8 mmol/L
  • Glu:73-109 mg/dL
  • Ca:8.8-10.1 mg/dL
  • IP:2.7-4.6 mg/dL
  • Fe:40-188 μg/dL





  • Na:ナトリウムは体液量などに関わっています。
  • Cl:クロールはも体液量などに関わり、酸塩基平衡でも用いられます。
  • K:カリウムは細胞・酸塩基平衡・インスリンなどの調節を行っています。
  • Glu:グルコース(ブドウ糖)は脳のエネルギー源ですね。浸透圧などにも影響します。
  • Ca:カルシウムは骨以外に、筋肉・凝固機能などを担います。
  • IP:無機リンはカルシウムとくっ付いで石灰化を起こします。また、栄養障害などの指標にします。
  • Fe:血清鉄は貧血の際に注目される項目です。

脂質

  • TC:142-248 mg/dL
  • TG:33-172 mg/dL
  • HDL-C:41-100 mg/dL
  • LDL-C:65-163 g/dL



  • TC:総コレステロールで、コレステロールは細胞膜・胆汁・ホルモンなどで使われます。動脈硬化などと関係します。
  • TG:トリグリセリド(中性脂肪)はエネルギー源で、過剰だと脂肪組織に蓄積されます。高値で脂質異常症です。
  • HDL-C:善玉コレステロールで、肝臓にコレステロールを運びます。低値で脂質異常症です。
  • LDL-C:悪玉コレステロールで、全身にコレステロールを運びます。高値で脂質異常症です。

蛋白質・その他

  • TP:6.6-8.1 g/dL
  • Alb:4.1-5.1 g/dL
  • CRP:0-0.14 mg/dL




  • TP:総蛋白質で、蛋白質の代謝に異常を来すと変動します。肝臓・腎臓・栄養などです。
  • Alb:TPの7割程度を占めます。TPと同様に変動し、水分を血管に引き込む膠質浸透圧などにも影響します。
  • CRP:C反応性蛋白は炎症などに反応して肝臓より放出されます。感染症の他、心筋梗塞などでも用いられます。


今回は「生化学検査」について解説しました。

まとめ

  • 血清とは凝固させた血餅の上澄み部分のことです
  • 生化学検査では血清を用いて検査を行います
  • 採血の順番やクレンチングなどに気を付けましょう
  • 基準値は何となく覚えて、数値の意味を学んでおこう!

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参考

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