
今回は、こんな声に応えていきます。
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当記事で分かること
- 血液脳関門(BBB)について
<Contents>
血液脳関門とは
血液脳関門(BBB:blood-brain barrier)とは、血液から脳組織への物質の移動を制限する仕組みのことです。脳細胞は繊細で、全身と同じ仕組みで物質交換を行うことで、脳に悪影響を及ぼす場合があります。
一部を除いて、脳の毛細血管内皮細胞には細胞間にタイトジャンクション(tight junction)が存在しています。この組織によって厳密に物質の移動を制限しているので、薬剤などを血液中に投与しても基本的に脳組織へは移行しないとされます。
タイトジャンクション
タイトジャンクションは血管内皮細胞が強力に結びついている部分のことを言います。これによって物質の移動を制限しています。
アストロサイト
アストロサイトは星状膠細胞と呼ばれるグリア細胞の一種です。血管の周囲にくっ付いて、バリア機能として働きます。
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物質移動について
脳も栄養・酸素などを必要としているので、その辺りの物質は移動が可能です。それ以外では、例えばアルコールによって酔っ払ったり、喫煙によってニコチンが報酬系に働き掛けて気分を高揚させる作用などが有名です。
通過可能
- 水分・ガス交換(O2・CO2)
- 電解質
- グルコース
- 脂質・蛋白質(一部)
- アルコール
- カフェイン
- ニコチンなど
通過不可能
- 薬剤・脂質・蛋白質(一部を除く)
- 白血球(遊走不可)
薬剤
ポイント
薬剤の多くは血液脳関門を通ることが出来ず、強力なバリア機能に代わって脳に働き掛ける治療薬の開発は難しいと言われています。脂溶性物質・分子量の小さな薬剤は比較的通過すると言われています。血液脳関門を通過する代表的な薬剤としては、パーキンソン病のL-dopaが挙げられます。
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血管性脳浮腫
血管損傷・脳炎などによって血液脳関門も破綻します。これによって血漿中の「Na⁺」などが細胞に多量に流れ込むことで、浸透圧の影響によって脳浮腫を引き起こします。濃グリセリン製剤は、この浸透圧を利用して脳の水分を血管内に引き込むことで脳浮腫を軽減します。
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今回は「血液脳関門」について解説しました。
まとめ
- 一部を除く脳が持つ強力なバリア機能です
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