
・どんな治療をするの?
今回は、こんな声に応えていきます。
この記事は看護学生・新卒看護師は勿論、未経験領域に臨む臨床看護師にも通ずる基礎内容ですので参考にどうぞ!筆者の経験以外に専門書やガイドラインなどでデータや事実を確認してから執筆しています。 国家試験範囲ですので、学科試験内容にも含まれます。国家試験合格率は全国平均で90%程度です。単位を落とすと学費が余計に掛かってしまいます。 この記事は国家試験範囲(+α)程度の内容に絞って、突っ込んだ内容はなるべく別記事でしています。是非参考にして「単位取得」・「合格」に役立ててくださいね。
本記事の内容について
- 脳腫瘍の分類とは
- 予後・特徴について
- 検査・症状・治療など
目次
脳腫瘍とは
出典:国立がん研究センター
脳腫瘍とは、脳実質に発生する腫瘍以外も含みます。具体的には髄膜や下垂体などです。多くの癌疾患の中でも、2017年のデータでは罹患数が男女共に3,000程度と比較的少ないです。
WHOの分類では130種類を超えた組織型が定義されており、神経の複雑さが伺えます。その中でも大部分を占める腫瘍を見ていきます。
代表的な分類・種類など
脳腫瘍は転移性より原発性が多く、以下の通り大別されます。
- 良性腫瘍:脳実質の外に生じた腫瘍で、増殖速度は遅く境界が明瞭で比較的全摘出による完治が期待できます。(図:果物が生っているイメージ)
- 悪性腫瘍:脳実質に生じた腫瘍で、増殖速度が速く境界が不明瞭なので取り除くのが難しく、再発を起こし易いとされます。(図:根付いているイメージ)

参考
良性腫瘍
- 髄膜腫:成人で一番多く、特に女性に好発します。その名の通り髄膜(硬膜・クモ膜・軟膜)の近くで緩徐に発達していきます。
- 神経鞘腫:「鞘」の名前の通り、シュワン細胞由来とされます。9割以上が(Ⅷ)内耳神経に好発します。
- 下垂体腺腫:ホルモンに関係する下垂体に発生することで、様々な病態を呈します。
悪性腫瘍
- 神経膠腫(グリオーマ):多くのグリア細胞に生じる腫瘍で、更に細分化されます。成人では2番目に多く、小児では1番多い脳腫瘍です。
*小児は造血器腫瘍の次に脳腫瘍が多いです。

症状
頭蓋内の発生部位で症状も異なってきます。腫瘍の発達によって脳神経症状や頭蓋内圧亢進症状などが起きますが、詳細は上記リンクを参考にしてください。
その他、以下の特徴を押さえましょう。タブ切替可能です。
- 内耳神経障害:難聴・耳鳴など
- プロラクチン(↑):乳汁・無月経など
- 成長ホルモン(↑):先端巨大症(成人)・巨人症(小児)
- 副腎皮質刺激ホルモン(↑):クッシング病
- バソプレシン(↓):尿崩症
ホルモン
- プロラクチン:妊娠期に増えるホルモンです。
- 成長ホルモン(↑):顔面・上下肢などの組織肥大や代謝異常などを起こします。
- クッシング病:クッシング症候群の中でも、下垂体腺腫で起きた場合をクッシング病と呼びます。コルチゾールの過剰産生で起き、ステロイドの副作用をイメージすると分かり易いです。
- バソプレシン:水の再吸収を行うホルモンです。
検査
- CT・MRI
- 脳血管撮影
- 核医学検査:SPECT・PET
治療
- 手術
- 放射線治療
- 化学療法
手術での全摘出が理想ですが、状況によって組み合わせていきます。
手術方法
- ナビゲーション:高精度のシステムを使って病変部と画像を照らし合わせて手術します。
- モニタリング:刺激を与えて脳の反応をモニタリングして手術します。
- 覚醒下:言語・運動などを患者と確認して手術をします。
- 内視鏡下:カメラを用いて行います。特に下垂体腺腫では一般的に鼻腔よりアプローチをする経蝶形骨洞手術(Hardy手術)をします。
今回は「脳腫瘍」について解説しました。
まとめ
- 腫瘍の中では比較的罹患数が少ない傾向です
- 原発性が多く、良性(脳実質外)と悪性(脳実質内)に分かれます
- 小児では造血器腫瘍に次いで多いです
- ざっくりと「4」種類は覚えよう!
- 症状は病巣で大きく異なります
- 主に手術で取り除き、状況に応じて放射線・化学療法も行います

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