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乳癌の病態生理とは?特徴的な症状や治療について解説します<看護・医療国家試験>

2021年11月8日

集中治療室で10年以上働き、ブログを起点に医療情報やお役立ち情報を発信しています。医療学生・新卒看護師向けに分かり易く解説するコンテンツも制作しています!国家試験に合格したのに臨床で上手く使えない…と思っている人は結構多いです。折角学習するのに臨床で活かせないのは勿体無いです。効率的・体系的に学びつつ臨床に活かしましょう!

乳癌の病態生理について知りたいな!

今回は、こんな声に応えていきます。

この記事は看護学生・看護師は勿論、その他の医療学生・関係者にも通ずる基礎内容です。専門書やガイドラインなどでデータや事実を確認してから執筆しています。学科試験・国家試験・予習復習などに役立ててください!

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当記事で分かること

  • 乳房の解剖生理について
  • 乳癌とは
  • 初期症状で気を付けること
  • 検査・治療について

乳房・乳腺とは

乳房は乳腺組織の他、脂肪・結合組織で構成されています。乳腺は乳汁を産生する房に似た「小葉」と呼ばれる部分と、乳頭に運んで射乳する「乳管」などに分かれます。乳癌では、この小葉(上皮細胞)に生じた腫瘍が原因として多いとされます。

ポイント

  • 乳腺:小葉・乳管のこと
  • 小葉:乳汁を作る袋状に見えるところ
  • 乳管:乳頭に繋がる道のこと
  • 乳頭:乳汁が出るところ

緊満・疼痛

乳腺は性腺ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンで発達するので、月経前に最も乳房が緊満します。この時期は張りが強くなるので、それ以外の時期と比較して疼痛が強くなる場合が多いとされます。

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リンパ節

リンパ・流域

乳腺周囲にはリンパ節が位置し、腫瘍がリンパ管を辿って転移する際に重要なポイントになります。乳房近くの腋窩リンパ節や胸骨傍リンパ節に繋がり、センチネルリンパ節生検(後述)とも関わります。

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乳癌とは

年々乳癌は増加していて、女性が患う癌の中で第1位の罹患率で、死亡率は第5位となっています。40歳代に多いですが、若年の時より定期的な自己検診が推奨されます。張りが少なめの月経後1週間頃に行います。

自己検診

  1. 視診:形(左右差・陥凹)を比べてみる
  2. 触診:腫瘤(しこり)の有無を触って確認する
  3. 触診:乳頭を触って異常分泌(血性)を確認する

危険因子

ポイント

  • 40歳以上
  • 食生活(欧米化)・アルコール・喫煙
  • 肥満(閉経後)
  • 出産・授乳経験無し
  • 初産:30歳以上

乳癌の危険因子の一つとして、エストロゲンの作用が関係していると報告されています。これによって初経が早く起きた場合や閉経が遅い場合などはリスクが上がるとされます。閉経後は主に脂肪よりエストロゲンが分泌されるので、肥満でリスクが上がります。

好発部位・カテゴリー

乳癌好発部位

好発部位は腋窩近くで、外側上部に約50%が生じます。ざっくりとした区域は以下の通りで、カテゴリーは5段階です。一般的に3以上は精密検査を行います。

区域

  1. 内側上部:20%
  2. 内側下部:5%
  3. 外側上部:50%
  4. 内側下部:10%
  5. 中央:乳頭・乳輪部(5%)

カテゴリー

  1. 異常無し
  2. 良性
  3. 良性(悪性腫瘍否定できず)
  4. 悪性を疑う
  5. 悪性

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マンモグラフィ・超音波検査

ポイント

  • マンモグラフィ:石灰化病変も発見でき、乳腺が萎縮する40歳以降では比較的画像が黒く写り、若年では乳腺の発達で白く濃く写ります。その為、乳癌(白)は40歳以降で見付け易いとされます。
  • 超音波検査:疼痛・被曝が無く、前述した理由により比較的若年で優先されます。但し、石灰化病変は判断が難しくなります。

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マンモグラフィとは

一般的に左右の乳房を左右・上下で挟み込んで薄くして撮影することで、画像を分かり易く読める様にします。悪性腫瘍では、スピキュラ(spicula:棘・針)と呼ばれて中央が高濃度(白色)で、周囲がトゲトゲした画像が特徴的です。

細胞診・組織診の違いとは

細胞診

細胞診は名前の通り細胞を診断する検査です。乳癌では癌細胞の有無を確認していきます。腫瘍部分に細めの針を刺す方法や、乳頭から出る分泌物を採取する方法などがあります。

組織診

組織診も名前の通りですが、細胞より大きい範囲で組織を採取します。細胞診よりも太めの針で採取することで、良性・悪性以外に細胞をより特徴的に捉えらます。

乳癌の集学的治療とは

集学的治療とは様々な治療を組み合わせて行う治療のことを言います。

ポイント

  • 外科的治療:乳房温存手術・乳房切除術
  • 薬物療法:化学療法・ホルモン療法・分子標的薬
  • 放射線療法

薬物療法

化学療法

細胞に働き掛けて腫瘍細胞を縮小させる効果を期待します。健常な細胞にも働くので、消化管・毛髪・骨髄などの細胞分裂の盛んな場所に副作用が起き易いとされます。

分子標的薬

特定の蛋白質などの分子をターゲットにする薬剤で、比較的健常な細胞を傷害し難い設計になっています。一部の乳癌患者では「HER2」と呼ばれる蛋白が関与していて、抗HER2抗体薬(トラスツズマブ)が用いられます。

ホルモン療法

エストロゲンは乳腺を発達させるので、一部の乳癌ではホルモンをコントロールすることで癌の増殖を抑制します。

乳房温存・切除手術について




比較的美容上・精神的に負担が少なく、後療法に放射線を行います。但し切除範囲が広いと形が崩れ、放射線による副作用も懸念されます。

美容上・精神的な負担が大きく、必要に応じて乳房の再建術や放射線療法を行います。


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SLNB・合併症

リンパ管閉塞

センチネルリンパ節生検(SLNB:sentinel lymph node biopsy)とは、乳癌近くのリンパ節を調べることでリンパ節郭清を行うかを判断する検査のことを言います。また、腋窩リンパ節を取り除くことを「郭清」と言います。転移を防ぐ目的で行いますが、副作用も出現するのでSLNBで必要最小限の範囲に留めます。

合併症

  • リンパ浮腫:リンパ管を切除することで、リンパの流れが悪くなることで起こります。
  • 感覚障害:神経も一緒に切除することで生じます。
  • 運動障害:神経・脂肪組織の切除により起こります。

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今回は「乳癌」について解説しました。

まとめ

  • 乳房は乳腺・乳管などで構成されます
  • 乳癌は女性の罹患率が第1位の疾患です
  • 自己検診・定期健診が推奨されます
  • 手術・薬物・放射線などで集学的治療を行っていきます

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