
今回は、こんな声に応えていきます。
この記事は看護学生・看護師は勿論、その他の医療学生・関係者にも通ずる基礎内容です。専門書やガイドラインなどでデータや事実を確認してから執筆しています。学科試験・国家試験・予習復習などに役立ててください! 国家試験範囲の解説一覧は領域別にHOMEに掲載しています。Kindle電子書籍を活用して無料・低価格で「電子ノート」を作りたい場合は、以下の記事を参考にしてくださいね!
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当記事で分かること
- 中心静脈カテーテルとは
- IVH・TPNの違いについて
- 適応・留置部位・使用目的など
- ライン交換などについて
<Contents>
IVH・TPN・CVCについて
PPN
四肢などの末梢静脈に針を挿入して点滴・栄養を行うことを末梢静脈栄養(PPN:Peripheral Parenteral Nutrition)と言います。中心静脈カテーテルを用いずに行う栄養法で、感染などの危険性が低い反面、血管痛・静脈炎などにより高濃度のエネルギー投与が行えないのが特徴です。
PPNを行う場合は経管栄養・経口栄養などを併用していくことで栄養を補います。現在は病状に問題が無ければ、感染・コスト・予後などに優れている早期経腸栄養を行っていきます。腸を用いる経腸栄養はEN(Enteral Nutrition)と呼ばれています。
ポイント
対してCVC(Central Venous Catheter:中心静脈カテーテル)を留置して、腸管を使えない場合などに血管内に高濃度の栄養を点滴で入れることをTPN(total parenteral nutrition)=完全非経口的栄養法などと言います。CVCは口語では「CV」と言われますが、記録でCVと記載すると「中心静脈」の意味となり不正確なので注意です。
以前に用いられていたIVH(Intra venous Hyperalimentation)と同義で、簡単に言うと高カロリー輸液のことを言います。どちらも中心静脈(右房付近)を介した高カロリー輸液です。

適応
高カロリー輸液の他、重症例で中心静脈などの血管内圧を指標にする際や大量の輸液・昇圧薬などを行う場合に選択されます。また、末梢静脈を確保するのが難しい場合なども選択肢に挙がります。その他、透析を行えるカテーテルなども存在します。
ポイント
- 高カロリー輸液
- 血管内圧測定
- 大量輸液
- 循環作動薬(高流量)・化学療法など
- 末梢静脈留置針確保困難
- 透析療法など
留置部位
一般的には内頸静脈・大腿静脈・鎖骨下静脈に挿入します。感染・管理上は鎖骨下静脈が好ましいですが、肺に孔が開く気胸(合併症)の危険性が高いです。挿入する際は深く挿入して心室を刺激することで不整脈なども起こすので、モニターなどにも注意します。
また、末梢より心臓に向けて挿入する「PICC」(peripherally inserted central catheter)と呼ばれるカテーテルも存在します。
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気胸・緊張性気胸とは?症状・治療などを解説します<看護師国家試験>

ポイント
鎖骨下静脈は汚染が少なく、体毛・体液・平面などの理由により管理が簡単です。一般的に大腿>内頸>鎖骨下の順で感染を来し易くなります。一説では大腿≒内頸静脈の汚染率とも言われています。
- 内頸静脈:毛髪・唾液などによる汚染や皮膚のシワなどで保護材が剥がれ易くなる。
- 大腿静脈:体毛・排泄物・陰部洗浄などによる汚染や関節によって保護材が剥がれ易くなる。
- 鎖骨下静脈:肺に孔が開く気胸の危険性が高いが、管理は比較的簡単に行える。透析導入予定の場合は静脈の狭窄を懸念して避ける。
本数・ルート
様々な薬剤に対応できる構造になっていて、本数が1本のシングルルーメンを初め、4本存在するクワッドルーメンまで製品は様々です。
基本的に大量輸液は径の太くなっているルートを用いて、薬剤同士の相性も加味して投与していきます。薬剤によっては配合変化を起こして混濁・析出・効能変化などの弊害が起き、ルートが詰まる場合もあります。

位置
- Distal(遠位):製品にもよるが、茶色などで最も心臓に近く輸液負荷などに適す。輸液から一番遠いと言う意味です。
- Middle(中位):青色などで遠位より内径が細く、流量が比較的少ない循環作動薬などに適す。
- Proximal(近位):白色などで最も心臓より遠い位置に存在する。位置が浅くなると、血管外に漏れる危険性が高い。
注意ポイント
循環作動薬・鎮静剤・降圧薬などの重要な薬剤の投与されたルートより点滴を急速投与すると、一気に身体に薬剤が流れ込んで最悪致死的な状況となるので注意しましょう。
管理
挿入後はフィルムドレッシングなどを貼付しますが、出血・多汗などで難しい場合は滅菌ガーゼで覆います。どちらも汚染した際には再度消毒を行って貼り直します。
ポイント
- フィルムドレッシング:7日毎
- ガーゼドレッシング:2日毎
- 消毒薬:アルコール含有製剤(クロルヘキシジン・ポピドンヨード)
入れ替え
ガイドラインでは以下の通りの設定になっています。施設基準を確認した上で、参考にしてください!
- 成人:末梢静脈カテーテルは感染と静脈炎のリスクを減らす目的で72~96時間毎を超える頻度で交換する必要は無し(カテゴリーIB)
- 小児:末梢静脈カテーテルは必要な際に交換する(カテゴリーIB)
- CVC・PICC・血液透析カテーテル・肺動脈カテーテルはカテーテル由来感染予防目的に原則交換しない(カテゴリーIB)
注意ポイント
- 血液製剤・脂肪乳剤:使用後24時間以内に交換する(カテゴリーIA)
- プロポフォール:使用後12時間以内に交換する(製造元推奨)
- 輸液セット:最低96時間以内又は最低でも7回以内の間隔で交換する(カテゴリーIA)

早期抜去
ポイント
カテーテルの長期留置は感染を招き、ICU滞在日数・予後などに関わってくるので不要な場合は早期に抜去を検討します。カテーテル関連血流感染のことを(CRBSI:catheter related blood stream infection)と言います。

CVP・中心静脈圧
中心静脈圧は大静脈圧と同じで、右房圧(RAP:Right Atrial Pressure)と同等です。今は水柱(cmH2O)を用いることは少なく、モニターを通して水銀柱(mmHg)で表示されます。
正常値は「水銀柱」で5mmHg程度ですが、絶対値よりも全身を加味して相対的に用いられることが多いです。体液量が増えると上昇し、出血などにより下がります。 また、心タンポナーデや緊張性気胸などの閉塞性ショックなどでは、心臓が膨らめずに拡張障害を起こして血流が滞って上がります。
拍出量は減少するので、血圧は下がります。血圧=心拍出量x末梢血管抵抗でしたね!
ポイント
- (↑):循環血液量(↑)・血流鬱滞など
- (↓):出血性ショック・脱水など
- 血圧=心拍出量x末梢血管抵抗
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今回は「中心静脈栄養」について解説しました。
まとめ
- IVH≒TPNです
- CVCなどは右房の手前に留置します
- 高カロリー輸液は末梢静脈では血管痛・静脈炎を起こすので中心静脈より投与します
- その他、大量輸液・循環作動薬・化学療法・透析などが適応となります
- 鎖骨下静脈では気胸が合併症として多いです
- ルーメンの本数は様々で、原則太いルートには輸液量の多い指示を選択します
- 感染管理・配合変化・ルート選択など、管理する内容は様々です
参考・引用文献(Web)
- CDCガイドライン2011(https://www.info-cdcwatch.jp/views/pdf/CDC_guideline2011.pdf)
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