
今回は、こんな声に応えていきます。
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当記事で分かること
- 脳梗塞とは
- 前駆症状について
- 血栓症・塞栓症について
- 症状・検査・治療など
<Contents>
脳梗塞とは
脳卒中とは突発的に起きて倒れてしまう脳血管障害のことで、虚血性疾患と出血性疾患に大別されます。今回は脳卒中の中でも最多で半数以上を占め、寝たきりの原因第1位となる虚血性疾患(脳梗塞)を見ていきます。
脳梗塞は、血管の血流が途絶えて脳に壊死が起きる病態です。血栓・塞栓の他、血圧に影響されます。主な種類は以下の通りです。
- アテローム血栓性脳梗塞
- ラクナ梗塞
- 心原性脳塞栓症

一般的に血管内の血の塊を血栓と言って、それが別の場所に飛ぶことを塞栓(血栓塞栓)と言います。治療の一環として異物を血管に詰めて止血などを行うことは塞栓術(Embolization)と言います。
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アテローム血栓性脳梗塞
生活習慣病などで血管が傷付いたところなどに脂質が沈着してマクロファージが集まると、プラーク(粥腫)と呼ばれる「カス」が溜まってアテローム性動脈硬化(粥状硬化)が起きます。プラークによって血管が狭くなったところに血栓が形成されることで脳梗塞を引き起こします。
ラクナ梗塞
ラクナ(Lacunar)は「小さな空洞」と言う意味で、比較的小さな梗塞です。梗塞巣は主に深部で、大脳基底核などに分布する穿通枝と呼ばれる細い動脈です。原因は高血圧や脂質異常症などによって起きる血管の閉塞です。
心原性脳塞栓症
脳塞栓症の中でもメジャーで、名前の通り心臓に血栓が生じて脳に飛ぶことで起きます。血栓は心房細動などで血流が停滞して特に左心耳に好発したり、異物などに生じます。
突発的に起こるので、側副血行路(collateral flow)も少なく重症化し易いとされます。緩徐に進行すると血流を補おうとして側副血行路が形成され易いです。


<イメージ>
症状・検査・治療について
症状
梗塞部位・範囲・病態などで様々ですが、代表的な症状は以下などです。BE-FASTで覚えても良いと思います。
- 意識障害
- 麻痺・感覚障害
- 構音障害・失語
検査
- CT:発症直後は黒く写り難いです。一般的に出血は白く高吸収域となり、梗塞は黒く低吸収域になります。
- MRI:発症直後でも梗塞巣を映しますが、撮影時間が長いです。
治療
脳梗塞はFASTの「T:Time」で言われる通り、治療開始までの時間が鍵になります。
- rt-PA療法:4.5時間以内の適応症例に行います。t-PA(tissue Plasminogen Activator)は「組織プラスミノーゲン活性化因子」の意味で、「t」の前に「r:recombinant」が付くと遺伝子組替え製品です。血栓に集中的に作用して溶かしますが、出血に注意して血圧管理を行います。
- 血栓回収療法:経皮的にカテーテルを用いて血栓の回収を行います。
脳梗塞の発生機序・重症度などで違いますが、その他の治療としては以下が代表的です。
- 脳保護薬:エダラボンと言う薬剤で、フリーラジカルと呼ばれる組織を傷付けて梗塞を広げる毒を取り除きます。
- 抗血小板薬:主に動脈血栓(白色血栓)を防ぎます。
- 抗凝固薬:主に左房内・静脈血栓(赤色血栓)を防ぎます。
- 抗脳浮腫薬:高張グリセロールなどによって浸透圧を調節し、利尿を促して脳浮腫(脳圧)を軽減します。
- その他:高血圧・脂質異常症・糖尿病などに関連した薬剤を用います。
注意ポイント
- 姿勢:急性期の脳梗塞では、臥床で脳血流を保ちます。呼吸障害や脳浮腫が強い場合などは15-30度程度に挙上して予防します。
- 血圧:急性期の脳梗塞では高めに保ちます。一般的に220/120mmHg以上で介入しますが、rt-PA適応症例や合併症などでも変わってきます。

今回は「脳梗塞」について解説しました。
まとめ
- 脳梗塞は脳卒中の中でも最多で、寝たきりの原因第1位です
- 3種類の病態を押さえよう!
- 症状はBE-FASTで覚えると楽で実用的かもです
- 脳卒中ではCT・MRIが比較的よく行われます
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