
今回は、こんな声に応えていきます。
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【医療学生】iPad・アプリなどを活かした図解ノートによる勉強方法について<看護>
当記事で分かること
- 胆石症とは
- 好発・症状・治療など
- 胆道感染症について
<Contents>
胆石症の好発と分類について
脂質や過度な絶食など、食生活とも関係している胆石症(Cholelithiasis)について見ていきましょう。
好発
好発するのは「5F」だと報告されています。
5F
- 40歳以上(Forty)
- 女性(Female)
- 肥満(Fatty)
- 白人(Fair)
- 多産・経産婦(Fecund・Fertile)
女性や妊娠に関連しているのは、ホルモンの影響だと考えられています。
分類
- 胆嚢結石
- 総胆管結石
- 肝内結石
成因による分類は以下の通りです。
- コレステロール石:多くは胆嚢で形成され、コレステロール過剰によります。
- ビリルビンカルシウム石:多くは胆管で形成され、細菌感染が高率です。
- 黒色石:多くは胆嚢で形成され、溶血によって黒くなります。
胆石症の症状・検査・治療について
次に症状などを見ていきます。
症状
石が詰まって感染を起こさない限り、胆石症の半数以上は無症状だと報告されています。胆石発作や胆嚢炎の症状は以下の通りです。
- 心窩部痛
- 右季肋部痛
- 腹痛(疝痛)
- 右肩~背部放散痛
- 悪心・嘔吐
- 発熱
- 黄疸
疼痛の誘発因子は脂肪食です。胆嚢収縮・内圧上昇で生じます。
感染症を起こした際の徴候として、以下が代表的です。
- Murphy(マーフィー)徴候:吸気時に右季肋部を押さえると疼痛により呼吸が止まります。
- シャルコーの三徴:感染を起こすと腹痛・発熱・黄疸を呈します。
検査
- レントゲン:カルシウム成分の少ないコレステロール胆石では写らないです
- 腹部エコー
- CT・MRCP・ERCP
用語
- MRCP(Magnetic Resonance Cholangio Pancreatography):核磁気共鳴胆管膵管撮影とは、MRIによる非侵襲的画像診断です。
- ERCP(Endoscopic Retrograde Cholangio Pancreatography):内視鏡的逆行性胆管膵管造影とは、内視鏡で造影剤を使用して侵襲的に診断を行います。必要に応じて治療も行えます。
治療
看護では日常生活指導(脂肪制限)やドレーン管理を行っていきます。
胆嚢結石
治療
- 無症状:経過観察
- 経口溶解療法(ウルソデオキシコール酸):コレステロール溶解作用を持ちますが、ビリルビンカルシウム石には無効です。
- 鎮痛:NSAIDs・抗コリン薬など
- 外科的治療:第一選択として腹腔鏡下胆嚢摘出術(LAP-C:Laparoscopic cholecystectomy)、その他開腹手術などを検討します。
モルヒネによる鎮痛は、オッディ括約筋(十二指腸開口部の括約筋)を収縮させて胆汁の流出を妨げるので禁忌です。
総胆管結石
炎症・黄疸・疼痛などを呈す危険性が考えられるので、症状の有無に関係無く治療を行います。
治療
- 内視鏡治療:乳頭切開術(EST:Endoscopic SphincTerotomy)・乳頭バルーン拡張術(EPBD:Endoscopic Papillary Balloon Dilatation)
- 外科的治療:腹腔鏡下胆嚢摘出術・開腹手術
肝内結石
治療
- 経皮的内視鏡治療
- 外科的治療:肝部分切除術
胆道感染症(胆嚢炎・胆管炎)について
石で胆嚢の出口や胆管が詰まると、そこで炎症を起こして感染症状などを呈します。
症状
進行すると穿孔・腹膜炎・敗血症・播種性血管内凝固などに至ります。
徴候
胆嚢炎
- マーフィー徴候
胆管炎
- シャルコーの3徴:腹痛・発熱・黄疸
- レイノルズの5徴:シャルコーの3徴にショックと意識障害が追加されます。
検査・治療
通常通り、採血検査・画像検査などを行っていきます。治療は以下などになります。
注意ポイント
- 絶食
- 輸液・抗菌薬
- ドレナージ:胆嚢・胆管を減圧して感染症を防ぐ
- 胆嚢摘出術(胆嚢炎)
今回は「胆石症」について解説しました。
まとめ
- 好発は「5F」で覚えよう
- 分類は3種類で、治療内容が異なります
- 石の種類も覚えよう
- 無症状が多いですが、感染を来すと危険です
- 脂肪食は控えましょう
- 3(5)徴候・マーフィー徴候を押さえておこう
- モルヒネは禁忌です
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