
今回は、こんな声に応えていきます。
この記事は看護学生・新卒看護師は勿論、未経験領域に臨む臨床看護師にも通ずる基礎内容ですので参考にどうぞ!筆者の経験以外に専門書やガイドラインなどでデータや事実を確認してから執筆しています。 国家試験範囲ですので、学科試験内容にも含まれます。国家試験合格率は全国平均で90%程度です。単位を落とすと学費が余計に掛かってしまいます。 この記事は国家試験範囲(+α)程度の内容に絞って、突っ込んだ内容はなるべく別記事でしています。是非参考にして「単位取得」・「合格」に役立ててくださいね。
本記事の内容について
- 胆石症とは
- 好発・症状・治療など
- 胆道感染症について
目次
1.胆石症の好発と分類について
脂質や過度な絶食など、食生活とも関係している胆石症(Cholelithiasis)について見ていきましょう。
>好発
好発するのは「5F」だと報告されています。
5F
- 40歳以上(Forty)
- 女性(Female)
- 肥満(Fatty)
- 白人(Fair)
- 多産・経産婦(Fecund・Fertile)
女性や妊娠に関連しているのは、ホルモンの影響だと考えられています。
>分類
部位による分類は以下の通りです。数字の順で高頻度です。
- 胆嚢結石
- 総胆管結石
- 肝内結石
成因による分類は以下の通りです。
- コレステロール石:多くは胆嚢で形成され、コレステロール過剰によります。
- ビリルビンカルシウム石:多くは胆管で形成され、細菌感染が高率です。
- 黒色石:多くは胆嚢で形成され、溶血によって黒くなります。
2.胆石症の症状・検査・治療について
次に症状などを見ていきます。
>症状
石が詰まって感染を起こさない限り、胆石症の半数以上は無症状だと報告されています。胆石発作や胆嚢炎の症状は以下の通りです。
- 心窩部痛
- 右季肋部痛
- 腹痛(疝痛)
- 右肩~背部放散痛
- 悪心・嘔吐
- 発熱
- 黄疸
疼痛の誘発因子は脂肪食です。胆嚢収縮・内圧上昇で生じます。
感染症を起こした際の徴候として、以下が代表的です。
- Murphy(マーフィー)徴候:吸気時に右季肋部を押さえると疼痛により呼吸が止まります。
- シャルコーの三徴:感染を起こすと腹痛・発熱・黄疸を呈します。
>検査
- レントゲン:カルシウム成分の少ないコレステロール胆石では写らないです
- 腹部エコー
- CT・MRCP・ERCP
用語
- MRCP(Magnetic Resonance Cholangio Pancreatography):核磁気共鳴胆管膵管撮影とは、MRIによる非侵襲的画像診断です。
- ERCP(Endoscopic Retrograde Cholangio Pancreatography):内視鏡的逆行性胆管膵管造影とは、内視鏡で造影剤を使用して侵襲的に診断を行います。必要に応じて治療も行えます。
>治療
看護では日常生活指導(脂肪制限)やドレーン管理を行っていきます。
胆嚢結石
治療
- 無症状:経過観察
- 経口溶解療法(ウルソデオキシコール酸):コレステロール溶解作用(ビリルビンカルシウム石には無効です)
- 鎮痛:NSAIDs
- 外科的治療
>第一選択:腹腔鏡下胆嚢摘出術(LAP-C:Laparoscopic cholecystectomy)
>胆嚢癌合併時などは開腹を検討します
モルヒネによる鎮痛は、オッディ括約筋(十二指腸開口部の括約筋)を収縮させて胆汁の流出を妨げるので禁忌です。
総胆管結石
炎症・黄疸・疼痛などを呈す危険性が考えられるので、症状の有無に関係無く治療を行います。
治療
- 内視鏡治療:乳頭切開術(EST:Endoscopic SphincTerotomy)・乳頭バルーン拡張術(EPBD:Endoscopic Papillary Balloon Dilatation)
- 外科的治療:腹腔鏡下胆嚢摘出術・開腹手術
肝内結石
治療
- 経皮的内視鏡治療
- 外科的治療:肝部分切除術
3.胆道感染症(胆嚢炎・胆管炎)について
石で胆嚢の出口や胆管が詰まると、そこで炎症を起こして感染症状などを呈します。
>症状
進行すると穿孔・腹膜炎・敗血症・播種性血管内凝固などに至ります。
徴候
胆嚢炎
- マーフィー徴候
胆管炎
- シャルコーの3徴:腹痛・発熱・黄疸
- レイノルズの5徴:シャルコーの3徴にショックと意識障害が追加されます。
>検査・治療
通常通り、採血検査・画像検査などを行っていきます。治療は以下の通りです。
注意ポイント
- 絶食
- 輸液・抗生物質
- ドレナージ:胆嚢・胆管を減圧して感染症を防ぐ
- 胆嚢摘出術(胆嚢炎)
今回は「胆石症」について解説しました。
まとめ
- 好発は「5F」で覚えよう
- 分類は3種類で、治療内容が異なります
- 石の種類も覚えよう
- 無症状が多いですが、感染を来すと危険です
- 脂肪食は控えましょう
- 3(5)徴候・マーフィー徴候を押さえておこう
- モルヒネは禁忌です

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