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当記事で分かること
- 慢性白血病とは
- 慢性白血病の種類・特徴について
<Contents>
慢性白血病とは
<死亡率>
出典:国立がん研究センター
慢性白血病は造血器腫瘍の一種で、血液細胞に異常を起こした白血病細胞が増殖を起こしてしまう状態です。急性白血病と違って、骨髄で細胞が分化する能力は保たれているのが特徴です。 造血器腫瘍は、以下のリンパ系腫瘍と骨髄系腫瘍に大別されます。
- リンパ系腫瘍:B・T細胞などに分化する系統に異常を起こします。
- 骨髄系腫瘍:顆粒球・赤芽球・巨核球などに分化する系統に異常を起こします。
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今回は次の二点について解説していきます。
- 慢性リンパ性白血病(CLL:Chronic Lymphocytic Leukemia)
- 慢性骨髄性白血病(CML:Chronic Myelogenous Leukemia)
慢性リンパ性白血病(CLL)とは
CLLの進行は緩徐で、細胞が成熟した後に腫瘍化します。アジアでは稀で、欧米で多い疾患とされるので大まかに見ていきます。
- 好発:高齢者(男性>女性)
症状
症状
- 無症状
- 全身症状:倦怠感・体重減少・肝脾腫・リンパ節腫脹など
*自己抗体に関係する要素によって、AIHA・ITPなどの合併症を起こし易いとされます。
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検査
検査
- 遺伝子・染色体検査
- リンパ球数増加:特にB細胞が増えます。
- 免疫検査:γ-グロブリンなどの減少を認めます。
治療
治療
- 無症状:経過観察
- 化学療法
- 副腎皮質ステロイドなど
慢性骨髄性白血病(CML)とは
CMLは慢性骨髄増殖性疾患の一種で、異常造血間幹細胞が骨髄で増殖し、特に好中球(顆粒球)が末梢血に現れます。原因はPhiladelphia(Ph)染色体と言う血液細胞の染色体異常が9割以上を占めます。
- 好発:中年以降(男性>女性)
進行は緩徐で、段階的に以下の病期を経ることが多いとされます。
- 慢性期(CP:Chronic Phase):多くは無自覚で、多少の体調の変化などで発見されることが多く数年単位で移行期に移ります。
- 移行期(AP:Accelerated Phase):徐々に肝脾腫や骨痛などの症状が増悪します。移行期を飛ばして急性転化期に進行する症例も見られます。
- 急性転化期(BC:Blast Crisis):急性白血病に似た症状で、治療は難しく致死的です。
症状
症状
- 初期:無症状
- 進行:微熱・倦怠感・体重減少・肝脾腫・腹部膨満感など
*最終的に転化した場合は、急性白血病と同様に汎血球減少などによって貧血・出血・易感染を呈して死亡します。
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検査
検査
- 遺伝子検査:Philadelphia染色体が9割以上に認められます。
- 白血球増加:顆粒球の中でも、特に好中球が増えます。
- 急性転化時:分化能を失うことで芽球が増加して血小板・赤血球が減ります。
*白血病裂孔:白血病細胞の分化能は保たれているので、分化能が失われている急性白血病と違って認めません。但し急性転化時は出現します。
治療
治療
- イマチニブ(分子標的薬):第一選択薬ですが、皮疹・浮腫・消化器症状などの副作用も懸念されます。
- 造血幹細胞移植
- その他薬物療法など

分子標的薬とは
特定の蛋白質などの分子をターゲットにする薬剤で、比較的健常な細胞を傷害し難い設計になっています。
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今回は「慢性白血病」について解説しました。
まとめ
- 慢性白血病は様々なタイプの疾患が存在し、分化能が保たれているのが特徴です
- CLLは欧米で多く日本では稀です
- CMLの多くはPh遺伝子を認め、急性転化による急性白血病症状が特徴的です
- CMLではイマチニブが第一選択薬となります
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