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【COPD】慢性閉塞性肺疾患の原因・検査・治療など<看護師国家試験>

2021年1月14日

集中治療室で10年以上働き、ブログを起点に医療情報やお役立ち情報を発信しています。医療学生・新卒看護師向けに分かり易く解説するコンテンツも制作しています!国家試験に合格したのに臨床で上手く使えない…と思っている人は結構多いです。折角学習するのに臨床で活かせないのは勿体無いです。効率的・体系的に学びつつ臨床に活かしましょう!

COPDって?病態や観察のポイントは?

今回は、こんな声に応えていきます。

この記事は看護学生・看護師は勿論、その他の医療学生・関係者にも通ずる基礎内容です。専門書やガイドラインなどでデータや事実を確認してから執筆しています。学科試験・国家試験・予習復習などに役立ててください!

国家試験範囲の解説一覧は領域別にHOMEに掲載しています。



当記事で分かること

  • 慢性閉塞性肺疾患(COPD)とは
  • 症状・検査・治療などについて

慢性閉塞性肺疾患(COPD)とは

慢性閉塞性肺疾患(COPD:Chronic Obstructive Pulmonary Disease)は喫煙が主な原因で、長年の常習によって中年以降に多い疾患です。肺気腫と慢性気管支炎の総称です。

気管支喘息などと共に、気道が狭窄・閉塞してしまいます。胸郭が収縮して肺が萎むことで気管が狭まり、特に息を吐くのが難しくなる閉塞性換気障害の一種です。

  • 肺気腫:肺胞の壁や血管などが壊れて、空気で膨れた気腫と言う状態になります。運動負荷による呼吸困難を呈します。
  • 慢性気管支炎:年・月単位で慢性的に気管支が炎症を起こして、咳嗽や喀痰などを呈します。
ブリンクマンの喫煙指数は有名ですね!

喫煙指数

喫煙が重要な危険因子となる疾患の評価として、ブリンクマン指数が用いられます。1箱20本を20年間吸っていると、400になります。

1日喫煙本数 x 喫煙年数

  • 400≦:肺癌危険度↑
  • 600≦:肺癌危険度↑↑・COPD↑
  • 1200≦:喉頭癌危険度↑

慢性閉塞性肺疾患の症状・検査・治療について

症状・合併症

症状

肺気腫と慢性気管支炎を同時に起こしていることが多く、前述した症状が出現します。進行例では下段の典型症状などが現れます。その他の危険因子としては大気汚染や呼吸器感染などになります。

  • 呼吸困難
  • 咳嗽
  • 喀痰

  • 口すぼめ呼吸:狭まった気道をゆっくりと息を吐いて陽圧を掛けて広げ、呼気を楽にしようとします。
  • ビア(ビール)樽状胸郭:肺に空気が多く入ることで過膨張して、胸郭が前後に拡大します。横隔膜も下側に押し下げます。
  • 滴状心:肺の過膨張によって心臓が押されて水滴様の細い形になります。

<ビア樽>

合併症

  • 肺性心(肺高血圧症):肺血管障害や換気障害で起こります。COPDでは低酸素状態によって異常な肺胞に流れる血管が細くなって、健常な肺胞に血流を保とうとします。これによって肺高血圧となって右心不全を来します。
  • CO2ナルコーシス:ナルコーシスは「麻酔」の意味で、血中CO2濃度の上昇によって意識障害などを起こします。通常、呼吸は血中CO2濃度で主に調整されていますが、慢性的にCO2濃度の高いCOPD患者の場合はO2濃度で呼吸調整をしています。そこに高酸素を投与すると、酸素が足りていると判断されて呼吸が弱くなったり、止まってしまいます。
  • 気胸:肺の脆弱化によって穴が開き易いイメージです。
  • 肺癌:同じく喫煙が危険因子となっています。

参考

COPDなどでCO2ナルコーシスが予想される場合は、0.5L/分程度~の低流量で酸素を投与して血中O2濃度の上げ過ぎに注意します。以下の値が一つの基準になります。

  • SpO2:90%以上
  • PaO2:60mmHg以上

*但し低酸素血症の方が生命予後として重要なので、酸素投与に躊躇すると心停止などを招きます。


気胸について

酸塩基平衡について

肺癌について

検査

検査

  • 1秒率(Forced Expiratory Volume:FEV₁%):肺活量に対して1秒間にどの程度吐き出せるかを示す値で、気道狭窄・閉塞によって一気に呼気を吐けずに低下します。ローソクの火が消せなくなるイメージです!閉塞性換気障害の徴候で、喘息なども含まれます。
  • 不可逆性所見:慢性的な傷害によって気道の器質的変化(リモデリング)を起こしているので、気管支拡張薬吸入後も改善が乏しく1秒率が70%を下回ります。

スパイロメーターとは

スパイロメーターは換気機能を測定する検査で用いる機械で、検査のことをスパイロメトリーと言います。様々なパラメーターが存在し、呼吸の流れを測って換気障害を検査します。


拘束・閉塞性換気障害

  • 拘束性換気障害:肺が硬くて空気が入り難くなっているので、肺活量が下がります。
  • 閉塞性換気障害:気道が狭まって息が吐き難くなっているので、1秒率が下がります。

治療

治療

  • 禁煙:多くは喫煙を切っ掛けに起こすとされます。
  • 薬物療法:気管支拡張薬・吸入ステロイド・去痰薬など
  • ワクチン:呼吸器感染症で増悪する可能性や死亡率が上がる可能性より、インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンの接種も推奨されます。
  • 呼吸リハビリテーション:口すぼめ呼吸・排痰法・腹式呼吸・運動療法など
  • 在宅酸素療法:HOTホット(Home Oxygen Therapy)によって酸素の補充を行います。火気厳禁で、CO2ナルコーシスなどにも注意します。
  • 人工呼吸器:酸素・二酸化炭素・pHが著しく増悪する場合や、呼吸に関連する筋肉が疲労している場合などに行います。

薬剤

  • 長時間作用型β2刺激薬(LABA:Long Acting Beta 2 Agonist):気管支拡張作用
  • 短時間作用型β2刺激薬(SABA:Short Acting Beta 2 Agonist):気管支拡張作用で、比較的増悪時に用いられます。
  • 長時間作用型抗コリン薬(LAMA:Long Acting Muscarinic Antagonist):リラックス中は気管支が収縮するので、アセチルコリンの働きを阻害して副交感神経を抑制します。便秘・緑内障・尿閉などの副作用や関連疾患に注意します。
  • ステロイド:気道の炎症を抑えます。吸入後は含嗽を行って嗄声・口腔カンジダ症などを防ぎます。

びまん性汎細気管支炎(DPB)について

DPB(Diffuse Panbronchiolitis)は、COPD(肺気腫・慢性気管支炎)と共に閉塞性換気障害を起こす代表疾患として挙げられます。主な特徴は以下の通りです。

  • 呼吸細気管支に炎症を起こします
  • 慢性副鼻腔炎を高頻度に合併しています
  • 東アジアに特有です
  • 気管支の炎症によって咳嗽・喀痰・閉塞性換気障害を呈します
  • マクロライド系抗菌薬(エリスロマイシン)の少量持続投与を行います

はてな

  • 副鼻腔炎:蓄膿症で知られる鼻の奥の空洞で、炎症が起きると膿が溜まります。
  • マクロライド系抗菌薬:細菌のリボソームに結合し、蛋白合成を阻害して働き掛けます。

気管支拡張症

非閉塞性肺疾患ですが、DPB以外で慢性副鼻腔炎を合併してエリスロマイシンの少量持続投与を行う疾患に「気管支拡張症」が挙げられます。

これは肺炎球菌・緑膿菌・インフルエンザ菌などによって炎症を起こして気管支が肥厚し、拡張してしまいます。

炎症による膿性痰が認められる他、血痰・喀血を認めることが多い疾患として有名です。感染予防や以下の止血処置などを行っていきます。

  • 内視鏡的止血術:外用アドレナリン(血管収縮止血作用)・トロンビン(凝固薬)
  • 気管支動脈塞栓術(BAE:Bronchial Artery Embolization):多くは気管支動脈と肺動脈が繋がるシャント形成によるので、塞栓物質で血管を塞いで止血します。
  • 外科的治療:切除術

今回は「慢性閉塞性肺疾患」について解説しました。

まとめ

  • COPDの多くは喫煙によって起きています
  • 肺胞などは壊れた肺気腫と、気管支の炎症を起こす慢性気管支炎の総称です
  • 閉塞性換気障害で、息を吐き難くなります
  • 喫煙本数・年数で危険度を予測できます
  • 肺の器質的変化で、胸郭の拡大や心臓の先細りなどを認めます
  • 合併症の肺高血圧やCO2ナルコーシスとHOT(在宅酸素療法)は特に有名です
  • 1秒率などが下がって、気管支拡張薬での改善が乏しいとされます
  • 呼吸器感染で予後も変わるので、ワクチン接種が推奨されています
今回は以上になります。参考になれば幸いです。

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