
・代償期とか、よく分からないな…。
・機序や治療について教えて!
今回は、こんな声に応えていきます。
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この記事は看護学生・新卒看護師は勿論、未経験領域に臨む臨床看護師にも通ずる基礎内容ですので参考にどうぞ!筆者の経験以外に専門書やガイドラインなどでデータや事実を確認してから執筆しています。 国家試験範囲ですので、学科試験内容にも含まれます。国家試験合格率は全国平均で90%程度です。単位を落とすと学費が余計に掛かってしまいます。 この記事は国家試験範囲(+α)程度の内容に絞って、突っ込んだ内容はなるべく別記事でしています。是非参考にして「単位取得」・「合格」に役立ててくださいね。
本記事の内容について
- 肝硬変とは
- 代償期・非代償期って?
- 機序や治療などについて
目次
1.肝硬変:代償・症状・死因などについて
肝硬変は慢性的に肝臓が傷害されることで、細胞が線維化して硬く小さくなった状態です。蜂の巣みたいに六角形だった「肝小葉」が歪んで、偽小葉・結節(凹凸)を形成します。
>原因
- ウイルス性肝炎(最多:8割程度)
- アルコール(10%程度)・薬剤性肝障害・脂肪肝
など
参考
癌検診・生活習慣病・感染症などに不安を持っている方は以下で検査できます。自宅で採取可能で、アプリ連動や医師へのWeb相談も可能です。
>症状
症状は代償・非代償によって違います。

代償とは
代わりに償うと書きますが、本来担っていた組織(肝細胞)が機能を失ったり弱まることで、別の組織(肝細胞)が代わりとなって補っている状態です。例えば、血液のpHを調節する為に代謝性アシドーシスで呼吸が増えるのも代償です。
肝臓が「沈黙の臓器」と言われる由縁は何でしたっけ?
代償期
以上より、仮に肝臓の機能が3割無くなっても7割残っているので十分代償できます。代償期では大きな症状は出現し難いとされます。
- 無症状
- 倦怠感・食欲不振など
非代償期
予備能を使っても代償が出来なくなると、様々な症状を呈します。
>診断分類(Child Pugh)
肝硬変の重症度で、点数が高いとA(5-6)>B(7-9)>C(10-15)と悪くなっていきます。ビリルビン以外は蛋白質代謝に関係してますね。
<肝硬変重症度評価>
1点 | 2点 | 3点 | |
肝性脳症 | 無 | 軽度 | 時々昏睡 |
腹水 | 無 | 少量 | 中等量以上 |
総ビリルビンmg/dL | <2 | 2≦Bil≦3 | 3< |
アルブミンg/dL | 3.5< | 2.8≦Alb≦3.5 | <2.8 |
PT時間% | <70 | 40≦PT≦70 | <40 |
>検査
- 画像検査
- 腹腔鏡
- 肝生検
など
>治療
代償期:症状の出現に注意して食事療法などを行っていきます。(「慢性肝炎」の項参照)
非代償期:症状に合わせて治療を行っていきます。
死因
- 肝細胞癌(最多)
- 食道・胃静脈瘤破裂
- 肝不全
2.原発性胆汁性肝硬変(PBC:Primary Biliary Cirrhosis)とは
2016年に原発性胆汁性胆管炎(PBC:Primary Biliary Cholangitis)に改名されています。
理由としては肝硬変に至らずに胆管炎で発見されるケースが多くなり、世界的に改名に至ったからです。特徴は以下の通りです。
- 中高年女性
- 自己免疫
>症状
肝内胆汁鬱滞(直接ビリルビン)により以下の症状を呈します。
- 初発症状:皮膚掻痒感
- 黄疸(徐々に酷くなる)
- 門脈圧亢進症状
>検査・診断・治療
肝内胆管には異常を認め、肝外胆管には異常を認めないので、画像検査などで閉塞性黄疸などは否定されます。
- 胆汁鬱滞(γ-GTP・ALP上昇)
- 抗ミトコンドリア抗体陽性
- 胆管炎・胆管消失・肉芽腫
ウルソデオキシコール酸(UDCA:UrsoDeoxyCholic Acid)などで経過を見ます。
UDCAとは
- 胆汁の流れを改善して胆石を溶かします
- 血流を増やして肝細胞を保護します
- 以上の作用により消化吸収も助けます

今回は代表的な「肝硬変」について解説しました。
まとめ
- 肝小葉が傷害されて偽小葉・結節となって歪な形になります
- 肝炎ウイルスが最多で8割程度です
- 代償と非代償で治療は全く違います
- Child Pugh分類で評価します
- その他治療などはリンク先を参照くださいね

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