
今回は、こんな声に応えていきます。
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【医療学生】iPad・アプリなどを活かした図解ノートによる勉強方法について<看護>
当記事で分かること
- 意識障害について
- JCS・GCSとは
- 評価方法と注意点について
<Contents>
意識障害
JCS・GCSを解説する前に、意識障害について見ていきます。意識障害の原因は様々ですが、結果として脳に異常を起こしていることが多いです。
意識障害の原因を推測するのに、AIUEOTIPSが有名です。ポテトチップスみたいで、名前だけなら覚え易いですね!内容は慣れが必要ですが、何となく頭に入れておくと良いと思います。
AIUEOTIPS
- Alcohol:急性アルコール中毒
- Insulin:糖尿病性昏睡・低血糖
- Uremia:尿毒症
- Encephalopathy・Endocrinopathy・Electrolytes:脳症・内分泌・電解質
- Opiate・Oxygen:薬物・低酸素血症
- Trauma・Temperature:頭部外傷・体温異常
- Infection:感染症
- Psychiatric:精神疾患
- Syncope・Shock・Stroke・Seizure:失神・ショック・脳卒中・痙攣
JCSとは
Japan Coma Scaleは、従来「3-3-9度方式」と呼称されていましたが、現在は「JCS」とそのまま呼ぶことが多いです。大きな病院では、看護師が最もよく使う評価スケールと言っても過言では無いと思います。
評価内容
患者の反応を確認して、意識の評価を行うスケールです。意識障害は様々な原因で起こり、経時的な変化を見逃さない為にも適切に評価する必要があります。
後述するGCSよりは評価にバラつきます。また、不穏・せん妄などの評価には適さず、この場合は「CAM-ICU」や「ICDSC」などの別の評価スケールを用います。
RIA
以下の状態の際には、「R」「I」「A」を最後に表記することもあります。例えば、「JCS 3-R」などと記します。個人的には、ほとんど見掛けたことが無いので病院によると思います。
- 不穏状態(restlessness):「R」
- 失禁(incontinence):「I」
- 無動性無言症(akinetic mutism)・失外套症候群(apallic state):「A」
*無動性無言症は間脳以上の障害で、注視・追視・嚥下はしますが、その他の行動は行えません。失外套症候群は大脳皮質障害で、睡眠と覚醒以外の自発機能が失われた状態で除皮質硬直の姿勢を行います。
評価方法
最初はざっくりで良いので、桁数の意味を把握しましょう!「JCS:0」は意識清明を表します。
- Ⅰ桁:覚醒
- Ⅱ桁:傾眠
- Ⅲ桁:昏睡
Step.1 「観察」
刺激無しで覚醒しているかを観察します。自発的に覚醒していれば「Ⅰ桁」と判断して、氏名・場所・時間などを確認しましょう。
Step.2 「刺激」
「Ⅱ桁」以上と判断した場合は、次に刺激を加えます。呼び掛けで開眼すると「10」、大声・揺さ振りでは「20」、疼痛刺激では「30」です。
注意ポイント
ここで注意したいのが、開眼を行えない場合です。患者の状態によっては、理解していても開眼不可能な状況になっています。
その場合は開眼に関わらず、指示に従えるかで判断します。閉眼したままでも、しっかりと指示が入る場合は「10」、簡単な指示のみ入る場合は「20」と判断します。
また、元々の持病などで開眼が行えない場合などは「Ⅱ桁」以上と判断せずに考慮していく必要があります。
Step.3 「昏睡」
「Ⅲ桁」と判断した場合は、疼痛刺激の反応を見ます。払い除けると「100」(半昏睡)、逃避で「200」(昏睡)、反応無しで「300」(深昏睡)と判断します。
注意ポイント
皮膚を抓る方法は、痣になり易いので控えた方が良いと思います。胸の中心の胸骨をグリグリと刺激したり、爪を圧迫したりなど方法は色々です。
患者にも苦痛が伴う刺激なので、安定して昏睡状態のままの時など、緊急時・必要時以外の落ち着いている状況の時は極力避けた方が良いと思います。
GCSとは
次にGlasgow Coma Scaleです。こちらの評価方法も世界標準で用いられているので、かなり重要な評価スケールです。
以前は一部の集中治療室(救急科・脳外科など)で用いられていることが多く、一般病棟の評価は「JCS」が主流でしたが、昨今は「qSOFA」などの評価ツールも登場しているので、GCSも一般病棟に浸透していくと思われます。
評価内容
JCSと同じく患者の反応を確認して、意識の評価を行うスケールです。意識障害は様々な原因で起こり、経時的な変化を見逃さない為にも適切に評価する必要があります。
点数が低いと重症で、評価内容はEye(開眼)を4段階、Verbal(言語)を5段階、Motor(運動)を6段階で評価します。
JCSよりは個々の評価がバラつき難いです。但し、JCSと同じく不穏・せん妄などの評価には適さず、この場合は「CAM-ICU」や「ICDSC」などの別の評価スケールを用います。
評価方法
GCSは「456」が正常だと取り敢えず覚えましょう!「最良」の反応を評価するので、「3」と「4」で迷う…となった場合は「4」で評価します。
Step.1 「E:開眼」
開眼について評価していきます。自発的「4」、呼び掛け「3」、疼痛刺激「2」、閉眼「1」です。
ポイント
安静中に閉眼している患者は多く、普通の声掛けで開眼した場合は「4」で構いません。
Step.2 「V:言語」
言語について評価していきます。見当識・生年月日などを正常に言える場合は「5」と評価します。
混乱している場合は「4」、「ハイ」「ウン」などの単語の場合は「3」、「ア-」「ウー」などの音声では「2」、音声すらない場合は「1」です。気管チューブなどの影響で発声が不可能な場合は「T」(tube)と表記します。
Step.3 「M:運動」
運動について評価していきます。指示に従える場合は「6」と評価して、従えない場合は疼痛刺激を加えます。払い除ける「5」、逃避する「4」、除皮質硬直「3」、除脳硬直「2」、体動無し「1」です。
注意ポイント
注意点としては「4」の逃避が微妙だと、「3」・「2」と評価してしまう人をよく見掛ける点です。迷った場合は「最良」で判断するか、先輩・医師に確認してみましょう!
除皮質硬直は大脳皮質の障害で、上肢屈曲・下肢伸展となります。除脳硬直は脳幹の障害で、手足が伸展する肢位になります。脳卒中領域で多く見られ、出現した場合は頭部CTなどを検討する重篤な障害なので注意しましょう。

今回は「JCS・GCS」について解説しました。
まとめ
- JCS・GCSは臨床でもよく遭遇する意識評価なので押さえよう!
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