
今回は、こんな声に応えていきます。
この記事は看護学生・看護師は勿論、その他の医療学生・関係者にも通ずる基礎内容です。専門書やガイドラインなどでデータや事実を確認してから執筆しています。学科試験・国家試験・予習復習などに役立ててください! 国家試験範囲の解説一覧は領域別にHOMEに掲載しています。Kindle電子書籍を活用して無料・低価格で「電子ノート」を作りたい場合は、以下の記事を参考にしてくださいね!
-
-
【医療学生】iPad・アプリなどを活かした図解ノートによる勉強方法について<看護>
当記事で分かること
- 血液検査について
- 血算・CBCとは
- 採血管スピッツの特徴など
<Contents>
血液検査とは
血液検査の検体は、当然ですが血液です。その血液には幾つかの種類に分かれていて、検査項目によって採取方法が異なってきます。
- 全血:抗凝固剤によって凝固作用を阻止し、体内の血球成分などを調べます。
- 血漿:抗凝固剤によって凝固作用を阻止し、遠心分離によって血球と血漿を分けた上澄み部分のことで、凝固機能などを調べます。
- 血清:血液を凝固させて遠心分離を行うと、血球成分・凝固成分と分かれて血清が現れます。生化学検査で頻繁に用いられます。
クレンチング
注意ポイント
クレンチングとは、採血時にグーパーを繰り返して血液の流れを促進させることです。これにより、筋肉などからCr(クレアチニン)・K(カリウム)などが放出されてしまいます。検査値に誤差が生じるので、気を付けましょう。
スピッツに入れる順番について
注意ポイント
一般的にはシリンジ採血と真空管採血で、採血管に入れていく順番が異なります。
- 凝固
- 血算
- 血糖
- 生化学
理由
シリンジで採血する場合は凝固のスピッツを一番最初に入れます。凝固のスピッツは抗凝固剤が入っている通り、血液凝固によって測定不可能となります。
また、メモリまで正しく入れる必要もあります。特に血液が足りない場合などは注意が必要です。その他は抗凝固剤が添加されているスピッツや、重要な検査項目より採取していきます。生化学は凝固しても問題ないので最後に採ります。
尚、各スピッツには「必要量」が書かれていますが、項目によっては半量以下で済むことも多く、血液が不足している場合は検査部などに確認すると良いでしょう。
- 生化学
- 凝固
- 血算
- 血糖
理由
真空管採血では、最初に凝固スピッツを入れてしまうと、穿刺した際の組織・体液などで凝固が促進されてしまうので、凝固しても大して問題の無い生化学より採取します。
また、生化学はカリウムなどの電解質を測定するので、駆血時間の短い最初に採ることで回避できます。
凝固のスピッツは2番目に採ります。特に翼状針採血では、最初に採ってしまうとルート分の血液が採れずに不足してしまうので注意しましょう。

全血球計算・CBC
よくドラマで「血算!生化!凝固!」などのセリフを聴きませんか?この3種類は特に臨床で頻繁に測定される検査項目なので、必須知識と言えます。ちなみに生化学検査は、蛋白質・電解質などを測定し、凝固検査は凝固機能を測ります。
本題となる血算とは全血球計算の略で、英語ではCBC:Complete Blood Countと言います。名前の通り、血球を算出する検査ですね。紫のスピッツが代表的です。
ポイント
- 赤血球:酸素運搬
- 白血球:免疫・感染制御
- 血小板:止血作用
関連記事をCHECK!
-
-
赤血球と血小板の役割・基準値・血液検査などについて<看護師国家試験>
関連記事をCHECK!
-
-
Ig・免疫グロブリンとは?白血球・種類・覚え方など<看護・医療国家試験>
検体は全血を用いる
血算は冒頭で解説した「全血」を用いて測定します。抗凝固剤を使用するので、血液が凝固してしまうと駄目なんですね。採血手技の際には、時間を掛けて固まってしまわない様に気を付ける必要があります。
翼状針の方が高価ですが、採血時の固定や採血後にそのまま針を収納可能なので、安定性・安全性が高いです。
注意ポイント
次の項では検査値について解説していきます。各文献の他、施設基準・検査機器などで検査値は変わるので御了承ください。
臨床では電子カルテが導入されている場合は青字・赤字などでマーキングされます。全て暗記せずに、ざっくりと覚えるのを推奨します。
赤血球系の項目と基準値について
RBC
赤血球数はRBC(Red Blood Cell)と項目に出ます。検体中の一定体積の血液中に含まれる赤血球の数のことです。女性は月経で毎月100mL前後の失血をするので、男性より低くなります。
- 男性:450-550万/μL
- 女性:350-500万/μL
MCV
平均赤血球容積(MCV:Mean Corpuscular Volume)では、赤血球数(RBC)では知り得ない「大きさ」を測定します。基準値以下を小球性、以上を大球性と言います。
- 81-100fL
鉄欠乏性貧血などでは小球性となり、巨赤芽球性貧血では大球性となります。正常なタイプを正球性と言いますが、このタイプの貧血は出血・溶血・腎性貧血などになります。
fL
fL:フェムトリットルと言って「L」の千兆分の1を表すようです。
MCH
平均赤血球ヘモグロビン量(MCH:Mean Corpuscular Hemoglobin)は、赤血球1つに含まれるヘモグロビンの量を測定します。
- 28-32pg
pg
pg:ピコグラムは「g」の1兆分の1を表す単位です。
MCHC
平均赤血球ヘモグロビン濃度(Mean Cell Hemoglobin Concentration)は、一定容積の赤血球に対するヘモグロビン濃度を表します。基準値より低いと低色素性、基準範囲を正色素性と言います。
- 31-35%
鉄欠乏性貧血では低色素性貧血となり、出血・溶血・腎性・巨赤芽球性貧血などでは正色素性貧血になります。
Ret
網赤血球(Ret:Reticulocyte)は骨髄で成長したばかりの赤血球です。低値の場合は造血能力の低下が、高値の場合は溶血・出血などで多く作られている可能性などが考えられます。
- 0.5-2.0%
Hb
ヘモグロビン(Hb:Hemoglobin)は一定体積の血液中に含まれるヘモグロビンの量のことです。鉄(ヘム)と蛋白質(グロビン)で構成されています。ヘムに酸素がくっ付くと赤く色が付きます。
- 男性:14-17g/dL
- 女性:12-15g/dL
Ht
ヘマトクリット(Ht:Hematocrit)とは血液中に占める赤血球の容積の割合のことです。
- 男性:40-50%
- 女性:35-45%
赤血球の増減の他、脱水などで体液が喪失することによっても変動します。
白血球系の項目と基準値について
WBC
白血球(WBC:White Blood Cell)は、一定体積の血液中に含まれる白血球数のことで、白血球には5種類のタイプが存在します。
- 4,000-9,000/μL
Neut
好中球(Neutrophil)は言わずと知れた免疫に携わる白血球です。細菌感染症などに対して反応して上昇します。ウイルス感染症では主にリンパ球が働きます。
- 20-70%
Baso
好塩基球(Basophil)は即時型アレルギーなどに関与しますが、未だ不明な点も多いようです。
- 0-2%
Eosi
好酸球(Eosinophil)はアレルギーの他、寄生虫疾患で上昇します。
- 0-5%
Mono
単球(Monocyte)は組織に移行するとマクロファージとなります。抗原(敵)をリンパ球に提示したり、細菌を貪食・殺菌したり、サイトカイン(化学物質)を出したりと、重要な役割を担っています。
- 2-10%
Lymp
リンパ球(Lympho)はT細胞・B細胞・NK細胞に分かれる免疫応答の要です。主に抗原抗体反応・ウイルス・指令などの役割を担います。
- 25-55%
血小板の基準値について
Plt
血小板(Platelet)は一次止血に関わる要素です。出血・紫斑病・播種性血管内凝固症候群などで消費されると下がります。高値となって血栓を作る場合もあります。
- 15-40万/μL
今回は「血算・CBC」について解説しました。
まとめ
- 全血とは抗凝固剤で凝結を防いだ血液全体のことです
- 血算・CBCでは全血を用いて血球の検査を行います
- 採血の順番やクレンチングなどに気を付けましょう
- 赤血球・白血球・血小板の基準値を何となく覚えておこう!
関連記事をCHECK!
-
-
【血液検査】生化学検査と一般項目・基準値・スピッツなどについて解説します
関連記事をCHECK!
-
-
【血液検査】凝固機能検査の目的・方法・注意点などについて解説します
最新記事