
今回は、こんな声に応えていきます。
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当記事で分かること
- 口腔~肛門までの構造について
- 各臓器の特徴など
<Contents>
消化管の構造について
いつも食事で使っている消化管について見ていきましょう!ちなみに消化器官との違いは食事が通るかどうかです。消化器官は食事は通らないですが消化に関わる肝胆膵も含まれます。
口腔
口腔では唾液腺により唾液が分泌されます。ムチンやデンプンを分解するアミラーゼが含まれています。咀嚼をして咽頭を経由し、食道に運ばれます。
- 舌下線
- 顎下腺
- 耳下腺


ムチンは粘膜を守り、バリア機能や保水力を持ちます。「涙」などにも含まれています。また、咀嚼した食塊を嚥下した際は、食道を通る際に鼻腔や喉頭に入らない様に塞がります。
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食道
食道は成人で25㎝程度で、第6頸椎(C6)の高さで始まり、第11胸椎(Th11)付近で終わります。特徴は以下の通りです。
- 3層構造(粘膜・筋層・外膜)
- 漿膜が無く、癌が外側に浸潤し易いです。
生理的狭窄部
- C6:食道開口部
- Th4-5:大動弓・気管分岐部
- Th10-11:食道裂孔部(横隔膜)
胃
食道より噴門を通過し、胃に入ります。胃の構造は、大別して「3」つに分けられます。
- 胃底部
- 胃体部
- 幽門部

胃の上皮組織は分泌機能を担う単層円柱上皮です。筋層が3層になっているのも特徴的です。胃腺が粘膜に存在し、胃小窩と言う凹部分より分泌されます。胃液の大半は塩酸で、殺菌作用や消化酵素と反応して食物を粥状に溶かします。
- 内斜筋
- 中輪筋
- 外縦筋
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胃腺の種類は以下の通りです。
胃腺
噴門腺 | 胃底腺 | 幽門腺 |
粘液細胞 | 主・副・壁細胞 | 粘液・G細胞 |
粘液 | 下表参照 | 粘液・ガストリン分泌 |
- 粘液:胃粘膜保護作用を持ちます。
- ガストリン:主細胞や壁細胞に作用したり、胃運動を刺激したりします。
胃底腺
主細胞 | 副細胞 | 壁細胞 |
ペプシノゲン | 粘液 | 塩酸・内因子 |
- ペプシノゲン:ペプシンの前駆物質です。胃酸(塩酸)によりペプシンに変化し、タンパク質を分解します。
- 内因子:ビタミンB12を吸収促進する因子で、ビタミンB12が欠乏すると神経障害・巨赤芽球性貧血などを呈します。
動脈分布について
胃の動脈は、腹部大動脈より腹腔動脈に派生し、更に腹腔動脈より枝分かれして左右胃動脈や短胃動脈、左右胃大網動脈に分布して胃を栄養します。
小腸
- 十二指腸
- 空腸
- 回腸
十二指腸はその名の通り指12本分程度の大きさで、25cm程度です。横には膵臓が収まっています。ファーター(Vater)乳頭より主膵管と総胆管に分かれています。
栄養や水分の大部分を吸収します。6m程度と長く多数の輪状ひだを持ち、腸絨毛や微絨毛が効率液に水分を吸収しています。

空腸と回腸の境界は明確には区別されず、前半2/5程度が空腸で後半3/5程度が回腸に相当します。
トライツ(Treitz)靭帯は空腸起始部の十二指腸空腸曲を横隔膜に固定しています。空腸と回腸は後腹膜に固定されず、腸間膜によりぶら下がった形で可動性が大きいです。
後腹膜臓器
- 十二指腸・膵臓
- 腎臓・副腎・尿管
- 上行・下行結腸)
- 直腸
- 下大静脈・大動脈
大腸
回腸を経て盲腸に到達します。この部分を回盲部と言います。盲腸には虫垂が付いています。大腸は3区画に分かれます。
- 盲腸
- 結腸
- 直腸
結腸は「上行」、「横行」、「下行」、「S状」と続き、直腸・肛門に終わります。横行結腸とS状結腸は腸間膜を持ちます。
動脈分布
腹部大動脈から分岐した上腸間膜動脈(SMA)と下腸間膜動脈(IMA)で栄養されます。図には載っていませんが、直腸の一部は内腸骨動脈で栄養されます。
- SMA:小腸・大腸(1/2)を栄養しています。SMAが血栓で詰まると広範囲に壊死を起こし高率で死に至ります。救命後も小腸(栄養・水分吸収)の機能を失うので生涯点滴が必要になります。
- IMA:大腸(1/2)・一部直腸を栄養しています。
今回は「消化器官」の解剖をメインにして解説しました。
まとめ
- 唾液腺は「3」つ!
- 唾液にはムチンとアミラーゼが含まれます
- 食道の生理的狭窄部位も「3」つ!
- 胃は「3」層・「3」腺・「3」細胞!
- 小腸も「3」構成で、栄養や水分の大部分を吸収します
- 大腸も「3」構成です
- 腸間膜を持ち可動性に富むのは空腸、回腸、横行結腸、S状結腸の「4」つです
- 上部消化管(胃など)は腹腔動脈を押さえよう
- 下部消化管(腸など)は上下腸間膜動脈と内腸骨動脈を押さえよう
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