
今回は、こんな声に応えていきます。
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当記事で分かること
- DICとは
- 検査・治療など
<Contents>
播種性血管内凝固症候群(DIC)とは
DIC(disseminated intravascular coagulation)は単独では発症せず、種々の基礎疾患に付随して起きます。急性期など、臨床では比較的よく散見される病態です。
- 基礎疾患によって凝固系が亢進し、血管損傷に関わらず体中の血管内で微小血栓を形成します。そして血小板と凝固因子が消費されることで止血作用が弱まると共に、微小血栓を溶かそうと線溶系も働き出血傾向となります。
- 更に線溶系が働くことで再度凝固系も活性化し、血栓形成・線溶を繰り返して最終的には血小板・凝固因子が枯渇します。
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基礎疾患
基礎疾患
特に感染症・悪性腫瘍で多く、それ以外に産科的疾患・外傷・熱中症などの生体ストレスによって引き起こされます。サイトカイン・組織因子(凝固因子:Ⅲ)の増加によるとされます。
凝固優位型、線溶優位型、均衡型などが存在します。
- 感染症:凝固優位型が多く、微小血栓による多臓器障害を来し易いとされます。
- 悪性腫瘍:線溶優位型が多く、出血症状を来し易いとされます。
- 妊婦:妊娠中は出産に備えて凝固系が活性化して、血栓などが生じ易くなっています。更に出産時に基礎疾患がトリガーとなって、突発的・急激に発症するとされます。

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菌血症・敗血症とは
菌血症は血液に菌が侵入した状態で、特に症状を呈さない状態を言います。菌血症が進行して、病原体に「血液」が「敗北」してしまうと敗血症になります。
現在はSequential Organ Failure Assessment(SOFA)と呼ばれる6項目の主要臓器障害をスコアリングして診断します。一般病棟などでは簡易的な3項目の「qSOFA」を用います。
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播種性血管内凝固症候群の症状・検査・治療について
症状 血栓症状と出血傾向で分けて考えると分かり易いです。播種性は色々なところに広がると言う意味なので、脳・消化管・心肺・腎臓・皮膚などの様々な臓器に生じます。
血液検査 代表的な検査値を以下に示します。
用語
- 活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT:Activated Partial Thromboplastin Time):内因系検査(Ⅷ・Ⅸ・Ⅺ・Ⅻ)
- プロトロンビン時間(PT:Prothrombin Time):外因系検査(Ⅶ)
*共通系因子(Ⅰ・Ⅱ・Ⅴ・X)の場合は共に延長します。
- アンチトロンビン(AT:Antithrombin):トロンビン阻害(抗凝固)作用を持ちます。
- フィブリン・フィブリノゲン分解産物(FDP:Fibrin Degradation Product):プラスミン(線溶)によって分解されると生じます。
- Dダイマー:ダイマー(Dimer)は二量体の意味で、安定化フィブリンの分解により生じます。

治療
原疾患の治療と並行して行っていきます。一般的な治療は以下の通りですが、研究段階の治療も多く基礎疾患などによっても変わってきます。
- ヘパリン:抗凝固
- アンチトロンビン製剤:AT補充(抗凝固)・抗炎症作用など
- トロンボモジュリン製剤:抗凝固・プロテインC活性
- 蛋白分解酵素阻害薬:膵炎にも用いる薬剤で、DICでは凝固因子・血小板への作用を期待します
- 輸血療法:補充目的
今回は「DIC」について解説しました。
まとめ
- ざっくり言うと血栓形成と出血の相反する病態が同時に起こる疾患です
- 基礎疾患などで治療が変わってきます
- 出血・血栓症状や臓器障害に注意しましょう!
- 凝固系の検査が重要です
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