
今回は、こんな声に応えていきます。
この記事は看護学生・看護師は勿論、その他の医療学生・関係者にも通ずる基礎内容です。専門書やガイドラインなどでデータや事実を確認してから執筆しています。学科試験・国家試験・予習復習などに役立ててください! 国家試験範囲の解説一覧は領域別にHOMEに掲載しています。Kindle電子書籍を活用して無料・低価格で「電子ノート」を作りたい場合は、以下の記事を参考にしてくださいね!
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【医療学生】iPad・アプリなどを活かした図解ノートによる勉強方法について<看護>
当記事で分かること
- DNAR・BSCについて
- 個人的な経験・印象について
<Contents>
DNARとは
出典:日本集中治療医学会会員看護師の蘇生不要指示に関する現状・意識調査
ポイント
- 心停止時に有効となる
- 心停止時を急変時に置き換えないこと
- ≠ 終末期医療
- ≠ 治療終了
- 常に妥当性を繰り返して話し合う
- Partial DNARは推奨しない
DNAR(Do Not Attempt Resuscitation)は心停止時に蘇生の見込みが少ない場合に蘇生を試みない意味で治療方針で用いられます。DNR(Do Not Resuscitate)とも言われますが、DNRは「蘇生可能な人でも蘇生しないよ」と誤解を招く恐れを懸念して、DNARになったようです。誤解が多い言葉ですが、端的に言うと普段と急変時は全力を尽くして、心停止時は蘇生処置をしないって意味です。
Resuscitate(Resuscitation)とは「蘇生する」という意味で、Attemptが「試みる」になります。現状は医師が主で家族と話し合って判断されています。同意書も存在し、心停止時の蘇生を行うかどうかは非常に重要な方針の一つになります。
Partial DNARとは
Partialとは「不完全な」「一部の」などの意味を持ちます。つまり、「気管挿管だけ」「心臓マッサージだけ」などの不完全なDNARのことを言います。日本集中治療医学会では、これを推奨していないんですね。中途半端な処置では適切に救命出来ないと言うことのようです。
実際の現場は
出典:日本集中治療医学会会員看護師の蘇生不要指示に関する現状・意識調査
現場にはまだまだ浸透していないなぁって印象です。「急変時DNARで!」「心臓マッサージだけ無しで!」って感じです。施設によっては鎮静・鎮痛も無くすようで、患者にとっては拷問ですね。
生活・死の質を高めて尊厳が守られれば良いと思いますが、いつも話し合っていないと本人の意思は分からないので、特に急に状態が悪くなった場合は難しいですね。
インフォームド・コンセント
出典:日本集中治療医学会会員看護師の蘇生不要指示に関する現状・意識調査
夜勤でインフォームド・コンセントに参加する看護師は画像の通りです。ここ最近、立ち合う頻度が上がっている印象ですが、人数が厳しい状況のことも多いです。家族に何をして良いか分からない場合は、左のグラフも参考にしてみては!
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BSCとは
BSCは「ベスト・サポーティブ・ケア」(Best Supportive Care)」のことです。効果的な治療が無い場合に、積極的な治療は行わずに症状を和らげる治療に徹することを指します。身体的な苦痛を軽減して、今後の生活と死の質を高める意味が込められています。
DNARとの違いは
経験的にDNAR <or> BSCで指示されます。DNAR=治療終了、BSC=緩和ケアの印象になってしまっています。状況にもよりますが、急性期で終末期の状況ではDNAR <and> BSCが理想なのかなと個人的には思います。DNARは心停止時に限っていて、それ以外の治療を控えないことが定義になっています。つまり、BSCも含めて生活と死の質を考えるべきかなと思います。
普段は身近に感じずに全く考えず生活していますが、自分がどこまで治療を施して欲しいのかは家族と共有して細かく書面で残すのが良さそうですね。
今回は「DNAR・BSC」について解説しました。
まとめ
- DNARは「心停止時」のみに有効だと定義されています
- BSCは生活・死の質を高める目的でサポート・ケアを行っていきます
- 特に高齢者家族とは本人の希望する死に方について共有したいところですね
参考・引用文献(Web)
- 日本集中治療医学会(https://www.jsicm.org/search.html?q=DNAR)
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