
今回は、こんな声に応えていきます。
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当記事で分かること
- 胃切除後の合併症について
<Contents>
胃切除術後症候群とは
胃癌の治療は侵襲的治療が一般的で、化学療法は予後不良な場合などが多いです。胃を切除すると胃の役割が失われたり、形態変化によって様々な合併症が起きます。これらを胃切除術後症候群と言います。
主な合併症は以下の通りです。それぞれ後述していきます。
- 早期ダンピング症候群
- 後期ダンピング症候群
- 貧血
- 骨代謝障害
- 小胃症状
- 胃食道逆流
ダンピング症候群について
胃癌の切除後と言えばって程に有名なダンピング症候群は、2種類存在します。
- 早期ダンピング症候群
- 後期ダンピング症候群

早期ダンピング症候群
食後30分以内に起きることが多いです。高濃度・高張の食物によって血管内の水分が腸管に引き込まれ、また化学物質などの血管作用によって低血圧症状などを呈します。
摂取量は分割して、過食・早食などは控えます。味の濃い食物などにも注意して、食後は安静にして様子を見ます。
後期ダンピング症候群
血糖値が急激に上昇することで、膵臓が通常より多くのインスリンを放出します。食後2時間以降に起き易く、低血糖症状を呈します。発症した場合は、なるべく吸収に優れた単糖類(ブドウ糖・果糖)などを摂取します。
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鉄欠乏性・巨赤芽球性貧血について
胃切除術後に貧血になる原因と機序は以下の通りです。
- 胃酸減少・欠如:鉄欠乏性貧血が問題として挙げられます。食品(非ヘム鉄)から摂取する三価鉄は、胃酸と反応して二価鉄となって腸より吸収されますが、切除により障害されます。
- 内因子減少・欠如:巨赤芽球性貧血が問題として挙げられます。食品と胃酸が反応してビタミンB12を抽出します。ビタミンB12は壁細胞より分泌される内因子が無いと吸収障害を起こします。結果、ビタミンB12の役割となるDNA合成が行えずに赤血球が異常を起こします。
胃腺
噴門腺 | 胃底腺 | 幽門腺 |
粘液細胞 | 主細胞・副細胞・壁細胞 | 粘液細胞 |
粘液 | 下表参照 | 粘液・ガストリン分泌 |
胃底腺
主細胞 | 副細胞 | 壁細胞 |
ペプシノゲン | 粘液 | 塩酸・内因子 |
骨代謝障害について
消化能力の低下により、ビタミンDとカルシウムの吸収が不十分となります。ビタミンDはカルシウムとリンの吸収を助けます。通常より意識して摂取し、骨代謝に必要な紫外線を浴びるのも重要です。
栄養素
- 鉄・ビタミンB12・ビタミンD:レバー・魚介類・動物性食品など
- カルシウム:乳製品・魚・大豆など
その他
- 小胃症状:満腹感が早く得られ、栄養が不足する可能性もあります。少量頻回、高エネルギー食を摂取していきます。
- 胃食道逆流:噴門部切除の際には起こり易いです。食後・就寝時などは頭部を挙上して休みます。
今回は「胃切除後症候群」について解説しました。
まとめ
- 30分以内(早期)は低血圧・腹痛などに注意しよう
- 2時間以降(後期)は低血糖症状に注意しよう
- よく噛んで、ゆっくり食べたり分割食などを考慮しよう
- 術後数ヶ月以降経過している場合は貧血・骨代謝などに注意しよう
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