
・ダンピング症候群って何だっけ?
・胃癌の術後は何に気を付けよう?
・胃の機能って何だったけな…。
今回は、こんな声に応えていきます。消化管の解剖は「コチラ」でまとめています。
この記事は看護学生・新卒看護師は勿論、未経験領域に臨む臨床看護師にも通ずる基礎内容ですので参考にどうぞ!筆者の経験以外に専門書やガイドラインなどでデータや事実を確認してから執筆しています。 国家試験範囲ですので、学科試験内容にも含まれます。国家試験合格率は全国平均で90%程度です。単位を落とすと学費が余計に掛かってしまいます。 この記事は国家試験範囲(+α)程度の内容に絞って、突っ込んだ内容はなるべく別記事でしています。是非参考にして「単位取得」・「合格」に役立ててくださいね。
本記事の内容について
- 胃切除後の合併症について
目次
1.胃切除術後症候群とは
胃癌の治療は侵襲的治療が一般的で、化学療法は予後不良な場合などが多いです。胃を切除すると胃の役割が失われたり、形態変化によって様々な合併症が起きます。これらを胃切除術後症候群と言います。
主な合併症は以下の通りです。それぞれ後述していきます。
- 早期ダンピング症候群
- 後期ダンピング症候群
- 貧血
- 骨代謝障害
- 小胃症状
- 胃食道逆流
2.ダンピング症候群について
胃癌の切除後と言えばって程に有名なダンピング症候群は、2種類存在します。
- 早期ダンピング症候群
- 後期ダンピング症候群

早期ダンピング症候群
食後30分以内に起きることが多いです。高濃度・高張の食物によって血管内の水分が腸管に引き込まれ、また化学物質などの血管作用によって低血圧症状などを呈します。
摂取量は分割して、過食・早食などは控えます。味の濃い食物などにも注意して、食後は安静にして様子を見ます。
臨床向けですが、浸透圧(輸液)については「コチラ」!
後期ダンピング症候群
血糖値が急激に上昇することで、膵臓が通常より多くのインスリンを放出します。食後2時間以降に起き易く、低血糖症状を呈します。
発症した場合は、なるべく吸収に優れた単糖類(ブドウ糖・果糖)などを摂取します。
糖類については「コチラ」!
3.鉄欠乏性・巨赤芽球性貧血について
胃切除術後に貧血になる原因と機序は以下の通りです。
- 胃酸減少・欠如:鉄欠乏性貧血
>食品から摂取する三価鉄は、胃酸と反応して二価鉄となって腸より吸収されますが、切除により障害されます。
- 内因子減少・欠如:巨赤芽球性貧血
>食品と胃酸が反応してビタミンB12を抽出します。ビタミンB12は壁細胞より分泌される内因子が無いと吸収障害を起こします。結果、ビタミンB12の役割となるDNA合成が行えずに赤血球が異常を起こします。

胃腺
噴門腺 | 胃底腺 | 幽門腺 |
粘液細胞 | 主細胞・副細胞・壁細胞 | 粘液細胞 |
粘液 | 下表参照 | 粘液・ガストリン分泌 |
胃底腺
主細胞 | 副細胞 | 壁細胞 |
ペプシノゲン | 粘液 | 塩酸・内因子 |
4.骨代謝障害について
消化能力の低下により、ビタミンDとカルシウムの吸収が不十分となります。ビタミンDはカルシウムとリンの吸収を助けます。
通常より意識して摂取し、骨代謝に必要な紫外線を浴びるのも重要です。
栄養素
鉄・ビタミンB12・ビタミンD:レバー・魚介類・動物性食品など
カルシウム:乳製品・魚・大豆など
5.その他の症状について
- 小胃症状:満腹感が早く得られ、栄養が不足する可能性もあります。
少量頻回、高エネルギー食を摂取していきます。
- 胃食道逆流:噴門部切除の際には起こり易いです。
食後・就寝時などは頭部を挙上して休みます。
今回は「胃切除後症候群」について解説しました。
まとめ
- 30分以内(早期)は低血圧・腹痛などに注意しよう
- 2時間以降(後期)は低血糖症状に注意しよう
- よく噛んで、ゆっくり食べたり分割食などを考慮しよう
- 術後数ヶ月以降経過している場合は貧血・骨代謝などに注意しよう

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