
今回は、こんな声に応えていきます。
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当記事で分かること
- 食道周辺の静脈分布について
- 静脈瘤が形成される理由とは
- 症状や治療などについて
<Contents>
食道・胃静脈瘤とは
肝硬変などを原因として静脈の圧力が上がって静脈瘤は形成されます。臨床では「バリックス(=静脈瘤)」と呼ばれます。
原因
今回は静脈の圧力が関係してきます。肝臓が硬くなったり萎縮することで血液がうっ滞し、肝臓に静脈が戻り難くなり門脈圧が上がります。
これを門脈圧亢進と言って、これに関連する症状を門脈圧亢進症状と言います。これにより静脈が正常に肝臓に届かずにうっ滞し、逆流・怒張などにより静脈瘤が形成されます。

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- メデューサの頭:腹壁皮下静脈怒張とも言います。血管の怒張により生じます。
- 腹水・浮腫:低アルブミン血症も関与します。
- 直腸静脈瘤・消化管出血:食道静脈瘤と同様に形成されたり、破裂します。
メデューサとは
ギリシャ神話に出てくる3姉妹の末っ子です。蛇の髪形が特徴的で見た者を石に変えると言われています。
検査
内視鏡検査を行います。胃・食道なので上部内視鏡検査に入ります。
症状
- 無症状
- 肝硬変などの基礎疾患に関連する症状など
- 静脈瘤破裂
出血性ショック
静脈瘤破裂による出血で低血圧や意識障害などを呈している状態です。輸液をしたり、貧血に対しては赤血球(RBC)、凝固因子の補充に対しては血漿(FFP)を輸血します。応急処置としてSBチューブを胃に引っ掛けて、食道部を空気で圧迫します。バソプレシンは腹部の血管を収縮させて門脈圧を下げますが、抗利尿にもなります。
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治療
- 内視鏡的治療
- IVR(Interventional Radiology):放射線を利用して血管内治療を施す処置を総じてIVRと言います。心筋梗塞の「PCI」などもIVRと言えます。食道静脈瘤では止血目的に血管を塞ぐ塞栓術(Embolization)を行います。
- 外科的治療
内視鏡的治療
- 内視鏡的硬化剤注入療法(EIS:Endoscopic Injection Sclerotherapy):緊急時では用いられることが多く、低侵襲ですが再出血し易いです。EISと併用できます。
- 内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL:Endoscopic Variceal Ligation):組織を退縮させる硬化剤を注入します。待機的処置で用いられることが多く、再出血率は低いですが肝機能や腎機能で制限されます。
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まとめ
- 肝硬変で起き易いです
- 門脈圧が亢進することで形成されます
- 内視鏡で検査や治療をする事が多いです
- 破裂時は輸血、輸液、止血処置(EVL・SBチューブなど)などをします
- EISは待機的で多く、肝腎機能に注意します
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