
・症状や治療について教えて!
今回は、こんな声に応えていきます。リボンの色は食道と同じ「ペリウィンクル」です。
この記事は看護学生・新卒看護師は勿論、未経験領域に臨む臨床看護師にも通ずる基礎内容ですので参考にどうぞ!筆者の経験以外に専門書やガイドラインなどでデータや事実を確認してから執筆しています。 国家試験範囲ですので、学科試験内容にも含まれます。国家試験合格率は全国平均で90%程度です。単位を落とすと学費が余計に掛かってしまいます。 この記事は国家試験範囲(+α)程度の内容に絞って、突っ込んだ内容はなるべく別記事でしています。是非参考にして「単位取得」・「合格」に役立ててくださいね。
本記事の内容について
- 原因・好発について
- 分類・転移について
- 症状・治療について
- 術後管理について
目次
1.胃癌の原因・好発について
9割程度が腺癌です。「腺」とは細胞が分泌する集まりのことです。胃は胃酸などを分泌するので想像し易いですね!
>死因順位
2018年の統計情報では、男性の癌の死因第2位、女性4位になります。全体で見ると3位です。
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | |
男性 | 肺 | 胃 | 大腸 | 膵臓 | 肝臓 |
女性 | 大腸 | 肺 | 膵臓 | 胃 | 乳房 |
参照Web:国立がん研究センター
性別・年齢
- 男性>女性
- 50歳以降
>原因
未だ解明されていない点も多いですが、以下の関係性が示唆されています。
- ヘリコバクター・ピロリ菌
>陽性者の3%が胃癌となり、胃癌患者の9割以上が陽性となります
- 塩分過剰
- 遺伝
- 喫煙
- 加齢
>好発部位
E:食道(Esophagus)
U:胃底部(Upper)
M:胃体部(Middle)
L:幽門部(Lower)
D:十二指腸(Duodenal)
好発部位
- 幽門部・胃角部:L(最多)
- 胃体部:M
- 胃底部:U
特に小弯側(Lesser Curvature)で生じ易いです。

2.胃癌の分類と転移について
胃の層については以下の通りです。
・粘膜層(M:Mucosa)
・粘膜下層(SM:SubMucosa)
・固有筋層(MP:Muscularis Propria)
・漿膜下層(SS:SubSerosa)
・漿膜(S:Serosa)

>深達度分類
どの層まで癌が達しているかの分類になります。
- 早期胃癌:粘膜下層(M・SM)までに留まる
- 進行胃癌:固有筋層(MP)以降に浸潤したもの
>ボールマン(肉眼的)分類
ボールマンが提唱した分類で、以下の通りです。
早期胃癌
- 0型:粘膜下層までと推定される浅めの凹凸・平坦型の胃癌
進行胃癌
- 1型:腫瘤・隆起して凸状に盛り上がっている
- 2型:限局的に潰瘍になり、凹状になっている
- 3型:潰瘍が凹状以下にも浸潤している
- 4型:癌が散在してびまん性になっている
- 5型:分類不可能
*びまん性とは、広範囲に及んでいること
>転移
転移の種類は3つで、以下の通りです。
- リンパ行性転移:リンパ節
- 血行性転移:肝臓・肺など
- 播種性転移:腹膜など
*播種性とは全身に広がること
リンパ行性転移
画像の通り、リンパは血管に走行して全身に分布しています。リンパについて、詳しくは「コチラ」を参考にしてください!
ウィルヒョウ転移
上の画像の通り、リンパは右上半身とそれ以外で領域が分かれています。最初は近位のリンパ節(豆状部分)で癌細胞を食い止めようとしますが、増殖を防げなかった際は徐々に進行して左静脈角の合流地点まで転移します。
この左鎖骨上窩の転移をウィルヒョウ(Virchow)転移と言い、進行している際に確認できます。
クルーケンベルグ腫瘍
卵巣の両側にリンパ行性に転移することが多く、これをクルーケンベルグ(Krukenberg)腫瘍と言います。予後不良です。
復習
リンパは静脈と同じで弁が付いているので、弁の向きで進行方向が分かります。
血行性転移:肝臓・肺など
肝臓・肺は血液が集まる場所で、転移し易いです。肝臓は血行性の中では最多です。体循環を覚えておくとイメージが付き易いです。(肝癌に関しては「コチラ」)
播種性転移:腹膜など
漿膜まで浸潤し、腹腔を介して多臓器に及ぶことを播種性転移と言います。
シュニッツラー転移
ダグラス(Douglas)窩・膀胱直腸窩に転移した場合、シュニッツラー(Schnitzler)転移と言います。
3.胃癌の症状・検査・治療など
次は、症状や治療などを見ていきましょう。
>検査・症状
検査
- 上部内視鏡検査:カメラで観察します。
- 画像検査:CT・造影検査などを行います。
- 生検:病理診断で病変部を検査します。
- 腫瘍マーカー:CEA・CA19-9などを補助的に用います。
*イメージ
症状
- 多くは無症状です
- 進行すると心窩部痛・体重減少・食欲不振・悪心・胃部不快感など
*悪心・嘔吐については「コチラ」を参考にしてくださいね!
>治療
(食道癌の詳細は「コチラ」)
内視鏡的治療
外科的治療
早期胃癌でも内視鏡治療が難しかったり、進行胃癌の場合は外科的治療を行います。ここも食道癌と似ています。
- 胃切除術+リンパ節郭清+再建術:癌に侵された胃の切除とリンパ節を取り除き、胃の再建を行います。
胃と一緒に癌が浸潤しているリンパも取り除きます。
再建の方法は、切断部・腫瘍などの状況を見て選択していきます。
化学療法・緩和
切除も難しく、転移が酷い場合などは化学療法や緩和などを行います。
ヘリコバクター・ピロリ菌の除菌については「コチラ」参照!
4.胃切除術後の管理について
一般的な周術期看護については「コチラ」、胃切除術後症候群(ダンピング症候群など)については「コチラ」の記事を参考にどうぞ!
参考
癌検診・生活習慣病・感染症などに不安を持っている方は以下で検査できます。自宅で採取可能で、アプリ連動や医師へのWeb相談も可能です。
今回は「胃癌」について解説しました。
まとめ
- 胃癌は胃酸などを分泌する腺が多く、9割は腺癌です
- 癌では男性2位・女性4位・全体3位の死亡順位です
- 男性に多く、50歳以上に好発します
- ヘリコバクター・ピロリ菌が一番の危険因子です
- 他には塩分・喫煙・加齢。遺伝など
- 幽門側・小弯側に好発します
- 早期胃癌は粘膜下層までで、内視鏡治療が多いです
- 進行胃癌では外科的治療が多いです
- リンパ・血行・播種性転移を覚えよう
- 血行と同じでリンパの走行を覚えるとウィルヒョウ転移も分かり易いです
- その他シュニッツラー転移・クルーケンベルグ腫瘍など
- 術式は3種類覚えよう
*胃切除術後症候群:別記事参照

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