
今回は、こんな声に応えていきます。
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当記事で分かること
- 造血幹細胞移植とは
- GVHD(移植片対宿主病)とは
<Contents>
造血幹細胞移植とは
造血幹細胞移植は、健康なドナーの造血幹細胞を点滴で受け取る治療です。異常細胞の増殖や免疫反応を抑制する目的で、放射線療法と化学療法で前処置を行って健常細胞も一緒に死滅させます。
主な適応疾患は以下の通りです。
- 急性・慢性骨髄性白血病
- 再生不良性貧血
- 骨髄異形成症候群
- 悪性リンパ腫
- 先天性免疫不全症候群
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移植
<フル移植>
前処置
- 骨髄破壊的移植(フル移植):前述した前処置で完全に骨髄を破壊して細胞を全て死滅させます。
- 骨髄非破壊的移植(ミニ移植):高齢者や既往歴などで耐えられない場合に弱めに前処置を施して移植を行います。一定数の細胞が残るので再発・拒絶の確率が増えますが、GVL(Graft Versus Leukemia)・GVT(Graft Versus Tumor)効果と言って、残った細胞をドナーの細胞で排除することで治癒を目指します。
用語
- GVL:移植片対腫瘍効果
- GVT:移植片対白血病
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関係性
関係性
- 自家造血幹細胞移植(自家移植):自分の細胞を用います。
- 同種造血幹細胞移植(同種移植):HLA(ABO式血液型不問)が一致した細胞を用います。
- 同系造血幹細胞移植(同系移植):一卵性双生児の細胞を用います。
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採取部位
- 骨髄移植:ドナーの両側後腸骨稜より骨髄液を採取し、不純物を取り除いてレシピエントに経静脈移植します。
- 末梢血幹細胞移植:普段は骨髄に多く存在する造血幹細胞ですが、G-CSF(顆粒球コロニー刺激因子)をドナーに投与することで末梢血に増えるので、それらを採取・経静脈移植します。
- 臍帯血移植:胎盤・臍帯に残っている胎児の血液を経静脈移植します。
生着・拒絶・GVHD(移植片対宿主病)とは
生着・拒絶
- 生着:ドナーの造血幹細胞によって、造血機能が働いている状態を指します。
- 拒絶:レシピエントの免疫機能によって、ドナーの細胞が攻撃を受けることを指します。
- GVHD(移植片対宿主病):Ⅳ型アレルギー反応で、ドナーのリンパ球がレシピエントに攻撃することで生じます。組織の血液型とも言われるHLAが適合することで、発症する頻度が減少します。
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GVHDの反応について
症状
100日以内に起きる急性GVHDはとして多いのは以下の通りです。
- 皮膚:紅斑など
- 肝臓:黄疸など
- 消化管:下痢など
予防・治療
予防的に免疫抑制剤で免疫機能を抑え、100日以内に生じる急性GVHDに対しては副腎皮質ステロイドを投与します。
今回は「造血幹細胞移植」について解説しました。
まとめ
- 放射線・化学療法による前処置を行います
- ドナーの造血幹細胞を経静脈的に移植します
- 骨髄液は両腸骨稜より採取します
- 同種の場合はHLAの適合が必要です
- 感染・出血傾向などに注意します
- 急性GVHDでは皮膚・肝臓・消化器症状が出現します
- 予防で免疫抑制薬を、発症時は副腎皮質ステロイドを用います
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