
今回は、こんな声に応えていきます。
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当記事で分かること
- 溶血性貧血とは
- 種類・特徴などについて
- ハプトグロビンとは
<Contents>
溶血性貧血とは
赤血球の寿命は120日程度ですが、種々の原因によって寿命が尽きる前に破壊されて溶血し、貧血を呈している状態です。先天性と後天性で大別され、更に溶血する場所によって以下の通り分類されます。
- 血管内溶血:後述する赤血球破砕症候群やABO型不適合輸血などによって、血管内で循環中に破壊されます。
- 血管外溶血:遺伝性球状赤血球症などでは、主に脾臓で破壊されます。
先天性
先天性
- 遺伝性球状赤血球症:後述
- 鎌状赤血球:アフリカ系人種に多く、形が鎌状になって塞栓・血管外溶血を起こします。
- サラセミア:地中海・東南アジアに多く、ヘモグロビン異常により無効造血・血管外溶血を起こします。
*無効造血:末梢血に動員される前に骨髄で壊れることを言います。
後天性
後天性
- 自己免疫性溶血性貧血:後述
- 赤血球破砕症候群:血栓性血小板減少性紫斑病・溶血性尿毒症症候群・播種性血管内凝固症候群・人工弁置換など
- 不適合輸血
- 脾機能亢進
*赤血球破砕とは、赤血球が物理的に破壊されることです。異物や血栓によって生じます。

ヘモグロビンとハプトグロビンについて
肝臓ではハプトグロビンと言う蛋白質も作られていて、血中にヘモグロビンが溢れると結合して肝臓に運びます。ヘモグロビンの代謝産物になるビリルビン値の上昇や黄疸、褐色尿などが現れます。
更に過剰な溶血によってハプトグロビンが枯渇すると、腎臓を通ってヘムとグロビンに分解します。ヘムは腎臓に毒性を持っているので、腎障害を起こします。また、場合によってヘモグロビン尿も呈します。
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遺伝性球状赤血球症(HS)とは
HS(Hereditary Spherocytosis)は常染色体優性遺伝で、先天性溶血性疾患の約7割を占めると報告されています。赤血球が球状に変化し、柔軟な変形能力を失って通過障害を起こし、脾臓で溶血します。先天性なので、幼少期より出現する可能性があります。
優勢・劣性遺伝
- 常染色体優性遺伝:片方の異常遺伝子「a」、例えば「Aa」で発症します。
- 常染色体劣勢遺伝:両方の異常遺伝子「a」、例えば「aa」で発症します。
症状
症状
- 黄疸
- 貧血
- 脾腫
- ビリルビン胆石
検査
検査
- 血液検査
- 溶血試験:陽性
治療
治療
- 脾臓摘出術:目的は血管外溶血を防ぐことで、球状は治らずに経過します。脾臓の性質上、感染症には特に注意します。
自己免疫性溶血性貧血(AIHA)とは
AIHA(Autoimmune Hemolytic Anemia)は、赤血球に対して自己抗体が産生されてしまうⅡ型アレルギー疾患です。溶血性貧血の3割程度を占めるとされています。抗体が活性化される温度で以下の2種類に分かれ、日本では温式が多いです。
- 温式AIHA(37℃):特発性血小板減少性紫斑病を伴うとEvans症候群と呼び、全身性エリテマトーデスに移行し易いとされます。
- 冷式AIHA(4℃)
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症状
検査
- 血液検査
- 直接クームス試験:陽性
検査
クームス試験
- 直接:血球付着抗体を調べます。
- 間接:血清中抗体を調べます。
治療
治療
- 副腎皮質ステロイド:第一選択
- 免疫抑制薬
- 脾臓摘出術
今回は「溶血性貧血」について解説しました。
まとめ
- 遺伝的要因と溶血する場所で分類されます
- ハプトグロビンはヘモグロビンと結合して肝臓に向かいます
- ハプトグロビンが枯渇するとヘモグロビンの腎排泄及び腎障害を起こします
- 遺伝性球状赤血球症は先天性の7割を占め、形が丸くなります
- 自己免疫性溶血性貧血は溶血性貧血の3割を占め、抗体反応を起こします
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