
今回は、こんな声に応えていきます。
この記事は看護学生・看護師は勿論、その他の医療学生・関係者にも通ずる基礎内容です。専門書やガイドラインなどでデータや事実を確認してから執筆しています。学科試験・国家試験・予習復習などに役立ててください! 国家試験範囲の解説一覧は領域別にHOMEに掲載しています。Kindle電子書籍を活用して無料・低価格で「電子ノート」を作りたい場合は、以下の記事を参考にしてくださいね!
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【医療学生】iPad・アプリなどを活かした図解ノートによる勉強方法について<看護>
当記事で分かること
- 肝炎ウイルスとは
- 症状や治療などについて
- ワクチンについて
<Contents>
肝炎とは
ポイント
肝炎は肝臓が炎症を起こしている状態です。長期間に渡って肝臓が傷害されると肝硬変となり、硬く小さくなってしまいます。末期では癌になったり、静脈瘤破裂による出血が起きたり、代謝異常で意識障害などを呈し、最悪死に至ります。原因は様々で、中でも一番多いのがウイルス性肝炎です。
主な肝炎ウイルスの種類は以下の通りです。
- A型(HAV:Hepatitis A Virus)
- B型(HBV:Hepatitis B Virus):15%程度
- C型(HCV:Hepatitis C Virus):60%程度
- D型(HDV:Hepatitis D Virus)
- E型(HEV:Hepatitis E Virus)
順番に見ていきましょう。
HAV・HEV
A型(糞便・生ガキなど)とE型(猪など)は経口感染です。潜伏期間は14日~2ヶ月前後です。急性肝炎に至っても、多くは治癒します。
汚染された水などでも感染します。発展途上国などの海外に渡航する際は、色々な推奨ワクチンが存在するので考慮しましょう。

HBV
他のウイルスがRNAなのに対して、唯一DNAの核酸を持ちます。RNA・DNAに関しては「コチラ」を参考にしてください!
DNA・RNAウイルス

ざっくり言うと「変異」に関係します。
DNAウイルスは二本鎖で安定しているので、比較的突然変異が少なくワクチンによる予防がし易いです。RNAウイルスは一本鎖で、突然変異などで型が変化し易いです。

HBV・感染経路
- 血液感染
- 母子感染
- 体液感染
タイプ
HBVは「A」、「B」、「C」のタイプが存在します。日本では治癒する確率が高い「C」が多かったのですが、近年では欧米で多い「A」が増えてきています。「A」は、慢性となる確率が他より高いです。
潜伏期間は1~6ヶ月で、急性(劇症)化・慢性化の危険性も持っています。HBワクチンによる予防が可能です。

ざっくり言うと、抗原は「感染状態」、抗体は「感染歴(予防接種)」です。

針刺し事故の隠蔽は絶対にしない様に!
どんなに劣悪な環境でも必ず報告して対応して貰いましょう。HBVの場合は48時間以内にグロブリンを投与する必要があります。
私の周囲でも年に何回かは起きていました。特に患者に使用後の針のリキャップは原則避けましょう。針刺し以外に、噛み付いてくる患者なども居るので予防接種はしましょう。
蛇の毒などと同じで、吸い出した際に口に小さな傷が存在すると危険ですので止めましょう。
2016年より生後に定期接種することになりましたが、それ以前に産まれている読者の方々は接種歴や抗体価などを確認してみましょう。
HBワクチン接種推奨者
- HBs抗原陽性妊婦より産まれた出生児
>12時間以内のワクチン+グロブリン製剤+追加接種2回
- HBs・HBe抗原陽性の家族やパートナーなど
- 医療従事者など
>初回・1ヶ月後・6ヶ月後

s抗原は陽性だと感染状態で、s抗体は感染の既往や予防接種などで陽性になります。e抗原は肝炎ウイルスが活発で感染力が強く、肝炎が落ち着いてくるとe抗原が陰性化してe抗体が陽性になります。c抗体は2種類で、IgG型とIgM型です。IgM型が重要で、発症早期に陽性となります。
参考
癌検診・生活習慣病・感染症などに不安を持っている方は以下で検査できます。自宅で採取可能で、アプリ連動や医師へのWeb相談も可能です。
HCV
医療設備などが整っていなかった頃は、輸血などにより感染することが多かったウイルスですが、現在では無くなってきています。ウイルス性肝炎の60%以上を占め、ワクチンは確立されていません。慢性化し易い特徴を持っており、場合によっては肝硬変や肝癌に移行します。
潜伏期間は1~3ヶ月程度で、稀に体液・母子感染も起こします。昨今では、主に民間や個人での不衛生な器材を共有することで血液感染を起こします。
インターフェロンとは
肝炎の治療では有名なインターフェロン(IFN:Interferon)は、サイトカインの一種です。抗ウイルス作用を持ちますが、発熱・倦怠感・筋肉痛など様々な副作用を呈します。
現在はインターフェロンフリーDAA(Direct Acting Antiviral:直訳>直接作用型抗ウイルス薬)も存在し、C型肝炎治療が進歩しています。
HDV
HBV感染後に続発し、特徴や治療もHBVと似ています。
検査値(AST・ALT)
肝機能の検査で必ず出てくる!
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ
(AST:ASpartate aminoTransferase)
AST
ASTは肝臓以外に広く、多く分布しています。肝疾患では、アルコール性肝障害や正常細胞が減少した肝硬変などで高くなる傾向です。
アラニンアミノトランスフェラーゼ
(ALT:ALanine aminoTransferase)
ALT
ALTも同様に、肝臓以外に広く分布しています。しかし、肝臓に一番多く存在するので特異的と言えます。肝疾患では、慢性肝炎や脂肪肝で高くなる傾向です。

今回は「肝炎ウイルス」を主に解説しました。
まとめ
- 肝炎は進行すると肝硬変などになります
- 肝炎の原因はウイルスが最多です
>その中でもHCVが最多で、次にHBVです
- HAV(生ガキ)・HEV(猪)は経口感染で、海外では要注意です
- HBVはワクチンを接種しよう!HCVは未確立です
- 針刺し事故は絞って洗って消毒して報告しましょう
- プライベートな人の感染症も把握しよう
- 慢性化はHCVがなり易いです
- 肝臓に多い酵素はALTです
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