
今回は、こんな声に応えていきます。
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当記事で分かること
- 肝炎と肝硬変の違いとは
- 症状や治療などについて
- 合併症について
<Contents>
肝炎の種類や病態は様々です
肝炎とは
以下に示す原因などによって、肝臓が炎症を起こしている状況です。原因にもよりますが、多くの急性肝炎は治癒する事が多いです。炎症が酷くなると劇症肝炎となり、急激な肝障害により死亡率が上がります。慢性化すると肝臓が徐々に傷害されて、肝硬変や癌などに至る可能性が高くなります。
原因
肝炎の原因とは
- ウイルス性肝炎:75%以上
- アルコール性:15%程度
- 薬剤性
- 自己免疫性
原因の詳細は、冒頭のリンクを参照してください!
臨床像
今回は肝炎の進行状況で見ていきます。
- 急性肝炎
- 劇症肝炎
- 慢性肝炎
では、見ていきましょう!
急性肝炎(Acute Hepatitis)
急性肝炎は肝臓の炎症により短期間で肝機能が悪くなっている状態です。先述した肝炎の原因の通り、ウイルスによる影響が多いですが、中でも以下の肝炎が起き易いです。
原因
ポイント
- A型肝炎:経口感染(生ガキ・海外等)
- B型肝炎:血液感染など
症状
症状
- 肝腫大
- 黄疸:ビリルビン蓄積(眼球結膜に出易いです)
- 掻痒感:化学物質が中枢(μオピオイド受容体)に働いて認識する
- 発熱・倦怠感
- 嘔吐・下痢・褐色尿
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検査
検査
- 血液検査(AST・ALT・ビリルビン・凝固機能など)
- 画像検査
治療
治療
- 安静:肝臓の血流は、運動以外にも座位になるだけで5割程度減ってしまうので、臥床して肝臓を休ませます。
- 栄養療法:肝臓の解毒機能が落ちて肝性脳症が懸念される場合は、蛋白質を制限してアンモニアの産生・生成を抑制します。食物繊維による排便コントロールも重要です。
- 薬物療法
- 浣腸:排便を促してアンモニアの過剰な吸収を防ぎます。
- 抗ウイルス薬
- カナマイシン:アンモニア産生菌を殺菌することで肝性脳症を防ぐ従来の薬剤です。現在はリファキシミンが承認されています。
- ラクツロース:分解されずに腸内に届き、善玉菌が分解することで腸内pHを酸性にし、アンモニア産生・吸収を防いだり排便を促します。経口又は注腸で投与します。
劇症肝炎(Fulminant Hepatitis)
肝炎などにより、短期間で肝臓の広範囲に急激に壊死が生じた状態です。以下の通り定義されています。
- 初発症状出現後8週間以内
- プロトロンビン時間40%以下(基準値100%程度)
- 昏睡Ⅱ度以上の肝性脳症を呈す

肝臓は蛋白質を代謝して止血作用を持つ凝固因子を作っています。肝障害が起きるとその指標となるプロトロンビン時間(PT:Prothrombin Time)が延長します。
<肝性脳症・昏睡度分類>
精神症状 | |
I | 睡眠/覚醒逆転・多幸など |
II | 異常行動・羽ばたき振戦など |
III | 興奮・せん妄・羽ばたき振戦など |
IV | 昏睡・疼痛反応有り |
V | 深昏睡・疼痛反応無し |
注意ポイント
- 10日以内に肝性脳症発症:急性型
- 11日以降に肝性脳症発症:亜急性型(予後不良)
原因
原因はウイルス性肝炎や薬剤性肝障害など様々で、劇症化するのは1%前後と報告されています。
ポイント
- B型肝炎:最多
症状
- 昏睡分類Ⅱ度以上の症状など
- 発熱・倦怠感・腹水など
合併症
- 脳浮腫
- 腎不全
- 消化管出血
- 播種性血管内凝固(DIC:Disseminated Intravascular Coagulation)
>血管の中で凝固と線溶が亢進して繰り返され、血栓・塞栓症状や易出血となる病態です。
検査
検査
- 血液検査(AST・ALT・ビリルビン・プロトロンビン時間・アルブミン・BUN・血糖値・コリンエステラーゼなど)
- 画像検査
治療
重症度も高く、より複雑で致死的なので、急性肝炎の治療以外にも様々な医療を施します。
治療
- 安静
- 栄養療法
- 透析
- 血漿交換(透析・輸血>原因物質除去)
- 肝移植
- 薬物療法
- 副腎皮質ステロイド(壊死抑制)
- 抗脳浮腫薬
- GI(グルカゴンインスリン療法):肝細胞再生・壊死抑制作用
慢性肝炎(Chronic Hepatitis)
慢性肝炎は以下の通り定義されています。慢性化により肝硬変や肝癌に移行し易いです。
- 肝臓の炎症が6ヶ月以上持続している
原因
ポイント
- B型肝炎:20%程度
- C型肝炎:70%程度
症状
大きな症状は比較的少ないとされます。
症状
- 無症状
- 全身倦怠感
- 発熱・食欲不振
検査
検査
- ウイルス検査
- 肝生検(炎症・線維化検査)
など
治療
治療
- 運動制限
- 食事療法
- 抗ウイルス薬
- HBV:IFN(インターフェロン)・核酸アナログ製剤
- HCV:IFN・DAAs(IFNフリー)
IFN副作用
- インフルエンザ様症状
- 精神症状・自殺企図
- 血小板減少
今回は「肝炎」について解説しました。
まとめ
- 急性肝炎はA・B型肝炎などに多く、比較的治癒します
- 慢性肝炎はC型肝炎に多く、肝硬変に移行し易いです
- 劇症肝炎はB型肝炎などに多く、致死率が非常に高いです
- 総じて肝不全症状・炎症に伴う症状が多いです
- 安静・栄養・薬物治療などを状態に合わせて行います
- 更に劇症肝炎では様々な集中治療を施していきます
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