
今回は、こんな声に応えていきます。
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【医療学生】iPad・アプリなどを活かした図解ノートによる勉強方法について<看護>
当記事で分かること
- 染色体の種類について
- 遺伝様式について
- 代表的な疾患について
<Contents>
染色体とは
染色体は大きく常染色体と性染色体に分かれます。遺伝様式で重要となるのは、この2点です。常染色体は22対44本で、性染色体は性別を決定する1対2本のXY・XXです。
染色体は分裂の際に出現し、「X」に似た形状をイメージした姿です。その中に染色質(クロマチン)が存在し、更に紐解くと2重螺旋構造のDNAになっていきます。
生殖細胞は減っていく
身体の組織を作る体細胞分裂は同数の染色体を持って分裂しますが、生殖細胞の場合は両親の卵子・精子より半分ずつ染色体を貰うので、分裂する際に減っていきます。これを減数分裂と言います。
遺伝様式
遺伝の仕方には優性・劣性と名称が名付けられています。これは優劣の判断では無く、遺伝した際の出現頻度で呼び方が違います。優性では確率が高く、劣性では低くなります。

常染色体優性・劣性遺伝
優性遺伝では一つの異常遺伝子を持つと発症します。例えば、図の「〇」が異常遺伝子の場合は子ども4人全員が発症します。一般的には「〇〇」より「〇●」のパターンが多いので、確率的には「〇●」「〇●」「●●」「●●」となり50%となります。
劣性遺伝では共に異常遺伝子を受け継いだ場合に発症します。片親のみから受け継いだ場合は発症せずに、保因者(キャリア)となります。この場合は片親では発症せずに2段目の「〇●」「〇●」の保因者同士の両親の子ども(●●)に25%の確率で遺伝します。特に近親婚などが危険因子となります。
ポイント
- 常染色体優性遺伝:マルファン症候群・ハンチントン病・網膜色素変性症・筋強直性ジストロフィー
- 常染色体劣性遺伝:フェニルケトン尿症
メモ
- Huntington病:クネクネとした多動・舞踏運動(不随意運動)などを特徴とします。
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ジストロフィーとは?代表的な種類とALSとの違いなど<看護師国家試験>
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網膜色素変性症とは?夜盲・ビタミンAなども解説します<看護師国家試験>
X染色体(伴性)劣性遺伝
性染色体(X)に異常遺伝子を認めます。特に男児に発症し易く、女児では稀です。理由は男児がX遺伝子を一つしか持たないので、父親のY遺伝子は関係が無く母親の遺伝子のみに左右されるからです。
父親が血友病の場合は、その娘は必ず保因者(キャリア)となります。娘の子ども(男児)は50%の確率で血友病を発症します。女児が発症するには、両親が血友病・保因者となる場合に起こり得ます。
ポイント
- 血友病
- デュシャンヌ・ベッカー型筋ジストロフィー
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血友病とは?遺伝形式・出血・ABの違いなどについて<看護師国家試験>
表情などにも影響する?
優性・劣性遺伝は表情などにも影響します。父親似・母親似など、受け継ぐ確率は様々ですが一つ面白いポイントですね。
優性 | 劣性 | |
瞼 | 二重 | 一重 |
耳 | 福耳 | 平耳 |
耳垢・腋臭 | 湿・(+) | 乾・(-) |
巻舌 | 可 | 不可 |
髪 | 巻く | 直毛 |
えくぼ | 可 | 不可 |
そばかす | (+) | (ー) |
虹彩 | 黒>茶 | 青>灰 |
今回は「遺伝」について解説しました。
まとめ
- 常染色体・性染色体を理解する
- 優性・劣性・伴性の違いを把握する
- 特徴的な疾患を覚えておく
