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ヒスタミンとは?アレルギー・痒み・蕁麻疹などの機序と食中毒について解説します<看護>

2021年10月4日

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ヒスタミンって何なの?

今回は、こんな声に応えていきます。

この記事は看護学生・看護師は勿論、その他の医療学生・関係者にも通ずる基礎内容です。専門書やガイドラインなどでデータや事実を確認してから執筆しています。学科試験・国家試験・予習復習などに役立ててください!

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当記事で分かること

  • ヒスタミンとは
  • H1・H2受容体について
  • 受容体拮抗薬について

ヒスタミンとは

ヒスタミンは必須アミノ酸のヒスチジンから合成される化学伝達物質です。化学伝達物質は生体で「伝令」の役割を担います。炎症・アレルギー反応・胃酸分泌などに関与しています。

細胞

ポイント

ヒスタミンを貯蔵・分泌する代表的な細胞は以下などになります。Ⅰ型アレルギーでは肥満細胞・好塩基球にくっ付いているIgEにアレルゲンが結合することで発症します。

  • 肥満細胞
  • マクロファージ
  • 好塩基球
  • 胃壁細胞
  • 中枢神経
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食品

ヒスタミンの素となるヒスチジンは、細菌が合成します。赤身魚などに多く含まれ、温度管理が不適切で鮮度が落ちている様な魚では、細菌が過剰に合成して食中毒を起こすとされます。

注意ポイント

調理加熱では分解されず、食後1時間以内に顔面の熱感や蕁麻疹などが起こるとされます。

H₁・H₂受容体とは

生体には4種類の受容体(H₁・H₂・H₃・H₄)が存在します。臨床で重要なのはH₁とH₂受容体です。H₃とH4の詳細は割愛しますが、H₃は中枢神経に作用してH₄は免疫に関与するとされます。

H₁受容体

H₁受容体
H₁受容体

 

炎症・Ⅰ型アレルギー反応に関与する受容体です。平滑筋収縮・血管拡張・血管透過性亢進などの作用を持ちます。抗アレルギー薬の中で抗ヒスタミン薬(H₁受容体拮抗薬)が治療薬として用いられます。また、延髄の嘔吐中枢のH₁受容体を遮断することで乗り物酔いにも効果を示します。

  • 平滑筋収縮
  • 血管拡張
  • 血管透過性亢進
  • 粘液腺分泌亢進

ポイント

上記の作用機序によって様々な症状が起きます。蕁麻疹では血管拡張・透過性亢進により皮膚が発赤・腫脹して、知覚神経に作用して掻痒感も出てきます。また、血管透過性が亢進することで体液が血管外に移動して浮腫が起き、気道が収縮・浮腫を起こすと呼吸困難に繋がります。消化管に働き掛けると下痢・嘔吐なども起こします。鼻炎では、分泌物が増えることで鼻汁が増加します。

注意ポイント

  • 第一世代:ヒスタミンは中枢神経に覚醒作用を働き掛けます。第一世代では眠気が強く出るのと、抗コリン作用で口喝などが起き易いとされます。注射薬でよく用いられます。
  • 第二世代:第一世代よりも抗コリン作用が弱く、中枢神経作用も弱くなっている製品も登場しています。

抗コリン作用

簡単に言うと、副交感神経(アセチルコリン)を抑制する作用を持ちます。リラックスモードを抑制するので、口喝(唾液減少)・眼圧上昇(散瞳)・尿閉(排尿筋弛緩)などに繋がります。

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H₂受容体

H₂受容体

胃酸分泌に関係する受容体で、ここを拮抗することで胃潰瘍・十二指腸潰瘍などの消化性潰瘍の予防・治療に役立てられます。胃酸を分泌する壁細胞は、ヒスタミン・ガストリン・ムスカリン受容体を介して行われます。この中で、ヒスタミン受容体(H₂受容体)を拮抗します。

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PPIとの違いは

オメプラゾールなどのPPI(プロトンポンプ阻害薬)は、前述した3種類の受容体を介して最終的に胃酸を分泌する「プロトンポンプ」を阻害することで胃酸を抑えます。


今回は「ヒスタミン」について解説しました。

まとめ

  • ヒスタミンは肥満細胞などから放出されます
  • 炎症・アレルギーなどに関わります
  • H₁受容体はアレルギー症状に関わり、中枢神経では覚醒作用を持ちます
  • H₂受容体は胃酸に関わります

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