
今回は、こんな声に応えていきます。
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【医療学生】iPad・アプリなどを活かした図解ノートによる勉強方法について<看護>
当記事で分かること
- リンパ系腫瘍について
- Hodgkinリンパ腫とは
- 非Hodgkinリンパ腫とは
- 症状・検査・治療などについて
<Contents>
Hodgkinリンパ腫
リンパ系腫瘍について
造血器腫瘍は複雑で分かり難く、色々な分類・病態で分かれています。よく耳にする以下の二点の違いは次の通りです。
- リンパ性白血病:骨髄・末梢血に白血病細胞を認めます。
- 悪性リンパ腫:リンパ節などで増殖することで腫瘤を形成します。また、トーマス・ホジキンが発見したHodgkinリンパ腫と非Hodgkinリンパ腫に分かれます。
HL(Hodgkin's Lymphoma)は比較的予後が良好で、Hodgkin細胞・Reed Sternberg細胞などと言った特徴的な細胞を認める腫瘍です。頸部などのリンパ節腫脹やB症状と呼ばれる発熱・寝汗・体重減少などを呈します。寝汗は着替えなどを要す量で、「盗汗」とも言われます。日本では比較的症例は少なく、治療は化学療法・放射線療法などを行います。
治療方針を決める際に、病期分類としてAnn Arbor(アン・アーバー)分類を用います。
- Ⅰ期:リンパ節腫脹が1ヶ所に限局する
- Ⅱ期:横隔膜を境にして片側にリンパ節腫脹が2箇所以上認める
- Ⅲ期:横隔膜を境にして両側にリンパ節腫脹が2箇所以上認める
- Ⅳ期:リンパ節以外に瀰漫性に浸潤している
*その他B症状の有無なども指標になります。NHL(非Hodgkinリンパ腫)でも用いられます。
Ann Arbor(アン・アーバー)分類
非Hodgkinリンパ腫
NHL(Non Hodgkin's Lymphoma)はリンパ系腫瘍の9割以上を占めるとされます。例えば、以下の疾患などが挙げられます。
- 慢性リンパ性白血病(CLL:Chronic Lymphocytic Leukemia)
- 急性リンパ性白血病(ALL:Acute Lymphocytic Leukemia)
- 成人T細胞白血病・リンパ腫(ATLL:Adult T-cell Leukemia Lymphoma)
多くのリンパ系腫瘍は非Hodgkinリンパ腫に含まれるので、多彩な病型・治療が存在します。一般的に分子標的薬のリツキシマブを筆頭に、R-CHOP療法(多剤併用化学療法)や放射線療法などが行われます。
分子標的薬とは
特定の蛋白質などの分子をターゲットにする薬剤で、比較的健常な細胞を傷害し難い設計になっています。
予後
国際予後指標(IPI:International Prognostic Index)などが用いられています。項目の該当数が多いほど予後不良となります。
- 年齢>60歳
- 血清LDL>正常値
- 病期≧Ⅲ期
- 節外病変≧2箇所
- Performance Status(PS)≧2
Performance Status
PSは褥瘡の評価などでも用いられる指標で、以下の通りです。
- 0:全く問題無く発症前と同じ日常生活を行える
- 1:激しい運動は制限されるが、軽作業などは問題無く行える
- 2:歩行や身の回りのことは行えるが軽作業は行えず、日中の50%以上はベッドから離れている
- 3:限られた身の回りのことを行え、日中の50%以上はベッド・椅子で過ごす
- 4:全く動けず介助を要し、完全にベッド・椅子で過ごす
今回は「悪性リンパ腫」について解説しました。
まとめ
- HLは日本では少なく予後は良好です
- HLの特徴は、細胞・頸部腫瘤・B症状(発熱・盗汗・体重減少)などです
- 悪性リンパ腫はAnn Arbor分類などで治療方針を決めます
- NHLは多彩な疾患が含まれ、病態・治療も様々です
- リツキシマブは分子標的薬の一種で、B細胞に働き掛けます
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