
今回は、こんな声に応えていきます。
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当記事で分かること
- イレウスの分類とは
- 原因・症状について
- 治療・看護について
<Contents>
イレウス(腸閉塞)の分類について
注意ポイント
イレウス=腸閉塞は以前までの慣習で、現在では機械的(性)イレウスを腸閉塞と呼び、機能的(性)イレウスをイレウスと分けるようです。腸閉塞が危険だと思ってください。施設によって呼び方が違うので、注意しましょう。
イレウスは腸管が何かしらの原因で通り道として機能しなくなった状態です。前述した通り、定義が変わっています。分類としては以下の通りです。
腸閉塞
機械的とは、何かしらの「モノ」や腸の形などで物理的に通過障害が起きることを言います。
- 単純性(閉塞性)
- 複雑性(絞扼性)
イレウス
機能的とは、腸の動きなどの機能が弱まって起こることを言います。
- 麻痺性イレウス
- 痙攣性イレウス
分類で見ていきましょう。
機械的イレウスの症状・治療とは
多くのイレウスは機械的イレウスだと報告されています。更に2種類に分けられます。
血行障害を認めない機械的イレウスを単純性(閉塞性)イレウスと言います。もう一つの複雑性(絞扼性)イレウスは、血行障害による重症化の危険性が高いので緊急で対応します。
単純性(閉塞性)イレウス
原因
原因は癒着が最多です。腹部手術や炎症によって、腸に癒着が生じることで起きます。腸に、腸・臓器・癒着組織などがくっ付くことで生じます。その他に異物や腫瘍、食物など多岐に渡ります。
症状
- 放屁:ガスは肛門側が閉じられているので出ないです。
- 排便:ガスと同様、閉じているので出ないです。
- 鼓腸:ガスが貯まるので、鼓音が聴かれます。
- 腹鳴・金属音:排出させようと腸蠕動・腹鳴は亢進します。狭窄部を通る際に金属音が鳴るとされます。
- 他:食物・便などの通過障害によって、悪心・嘔吐・腹痛などを呈します。
立位レントゲンでニボー(鏡面像)が出ます。
治療
- 胃管・イレウス管(画像参照):液体や気体による腸の圧力を逃がして減圧します。必要に応じて陰圧管理(吸引)を行います。これにより嘔吐や腸管圧力による穿孔などを防げます。
>イレウス管は、先端のバルーンで腸蠕動による誘導を図ります。通常経鼻で挿入しますが、病変部によっては肛門から入れたり造影を行うことも可能です。
- 輸液・栄養:脱水予防や電解質・栄養などを経静脈的に投与します。
- 抗生物質:腸内細菌叢の乱れによる菌血症・敗血症に対して使用します。
- 手術:改善されない場合などに検討します。

複雑性(絞扼性)イレウス
原因
原因は腸自体の屈曲・陥没などによる血行障害です。癒着した組織によっても起こり得ます。
症状
- 腹痛:急激で持続的な激痛が生じます。
- 嘔吐:急激に進行し、末梢性嘔吐などを呈します。
- 腹鳴:虚血が進行して腸の機能が損なわれるので減弱します。
- 他:閉塞性と同様です。
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治療
早期解除を行わないと、画像の様な経過を辿って感染などで死亡します。
- 緊急手術:絞扼解除・腸切除・ストーマ増設など
- その他:閉塞性と同様です。
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看護
- 早期離床
- 温罨法(複雑性などの炎症所見では禁忌です)
- 胃管・イレウス管:排液量・性状・色・固定など
- 腹鳴
- 放屁(排ガス)
- 事故抜去予防(せん妄など)
- 随伴症状対策:口喝・嘔気など
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機能的イレウスの原因・治療とは

腸の機能が損なわれているので、「腹鳴」は消失します。
麻痺性イレウス
原因は腸管麻痺です。術後や長期臥床患者、麻薬使用者などに生じます。麻薬の中止や腸管を動かす薬剤を使ったり、上述した看護の援助などを検討します。
痙攣性イレウス
原因は中毒や外傷などで生じますが、全体の頻度としては稀です。
今回は「イレウス」について解説しました。
まとめ
- 機械的イレウスが多く、血行障害が起きると緊急を要します
- 閉塞・虚血による腸管の反応をイメージしよう
- 機能的イレウスでは、麻痺性イレウスが多いです
- 胃管・イレウス管で減圧を行います
- 必要に応じて抗生物質で重症化を防ぎます
- 経静脈的な輸液・栄養による脱水予防や栄養投与を行います
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