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Ig・免疫グロブリンとは?白血球・種類・覚え方など<看護・医療国家試験>

2020年11月3日

集中治療室で10年以上働き、ブログを起点に医療情報やお役立ち情報を発信しています。医療学生・新卒看護師向けに分かり易く解説するコンテンツも制作しています!国家試験に合格したのに臨床で上手く使えない…と思っている人は結構多いです。折角学習するのに臨床で活かせないのは勿体無いです。効率的・体系的に学びつつ臨床に活かしましょう!

免疫グロブリン?IgAとか種類が多くて分からないなぁ…。どんな役割なの?

今回は、こんな声に応えていきます。

この記事は看護学生・看護師は勿論、その他の医療学生・関係者にも通ずる基礎内容です。専門書やガイドラインなどでデータや事実を確認してから執筆しています。学科試験・国家試験・予習復習などに役立ててください!

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当記事で分かること

  • 免疫とは
  • 白血球について
  • 役割・特徴など

自然免疫と獲得免疫について

結論から言うと免疫グロブリンとは、抗体のことを言います。グロブリンとは血清蛋白質で、その中で免疫系を担当するグロブリンです。

最初に免疫について見ていきます!

免疫とは

「免」とは許す・見逃すなどの意味で、「疫」は流行病を指します。つまり、病気から逃れる為の一種のバリアです。自己の細胞と非自己(異物)を見分けて、異物を排除することを言います。

大別して以下の2種類になります。

  • 自然免疫
  • 獲得免疫

詳しく見ていきます。

自然免疫

先天免疫とも言います。名前の通り元々備わっている機能になります。皮膚などに代表される防御機能です。例えば、熱傷(火傷やけどなどの皮膚障害ではバリア機能の破綻により異物の侵入を起こし易くなります。

そして、異物が侵入した際に働くのが抗体や好中球・マクロファージなどで、貪食して生体を守ってくれます。こうして2段階で生体を守ってくれています。

獲得免疫

更に以下の2種類に分けられます。

  • 能動免疫:ウイルス感染や予防接種などで自ら作り出した免疫です。能動とは自ら動くことを意味します。
  • 受動免疫:人工的な薬剤や母乳などから得た免疫です。受動とは受け身のことを言います。
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白血球とは


免疫機能で御馴染みの白血球の分類は以下の通りです。骨髄の造血幹細胞から分化して作られます。

  • リンパ球
  • 単球
  • 顆粒球

カルテの種類などで多少は違うと思いますが、白血球の検査結果では英語で次の様に表記されています。
白血球 WBC
リンパ球 LYMPH
単球 MONO
好中球 NEUT
好酸球 EOSINO
好塩基球 BASO

 

リンパ球・白血球

リンパ球(Lymphocytes)の種類と役割について

リンパ球は、主に次の分画に分けられます。

  • B細胞
  • T細胞
  • NK細胞

B細胞

抗体産生と抗原提示の役割を担います。抗体で生体を守ることを(体)液性免疫と言います。

抗原・抗体

抗体は異物を排除する「武器」で、抗原は「敵」だと思うと分かり易いです!つまり、武器の生産と敵の情報を報告する役割をします。

T細胞

抗体産生などの司令と破壊の役割を担います。細胞の破壊で生体を守ることを細胞性免疫と言います。後述するNK細胞も含まれます。

ヘルパーT細胞(Th)は2種類です。また、細胞を破壊するT細胞を細胞障害性T細胞(CTL)と言います。

NK細胞

ナチュラルキラー細胞のことで、破壊の役割を担います。異物を認識した初期より攻撃します。

単球(Monocyte)の役割・分画について

単球・マクロファージ

単球は異物を捕食して殺菌・消化・抗原提示などを担うマクロファージなどに分化します。

顆粒球(Granulocyte)の役割・分画について

顆粒球・白血球

顆粒球は、主に次の分画に分けられます。

  • 好塩基球
  • 好酸球
  • 好中球

好中球(Neutrophil)

顆粒球で一番数が多く、マクロファージと共に異物を排除してくれます。

好塩基球(Basophil)

寄生虫やアレルギー反応に関与します。

好酸球(Eosinophil)

炎症やアレルギー反応に関与します。

補体の役割と免疫反応について

抗原が侵入してきた場合は、補体や免疫の反応によって守ってくれます。補体も免疫システムの一部で、血清に存在する蛋白質です。C1~C9まで存在し、主に肝臓で作られます。

役割

  1. 貪食補助
  2. 細胞破壊
  3. 食細胞動員
  4. 血管拡張・透過性亢進作用

*食細胞:マクロファージなど

免疫反応

抗原抗体反応について

抗原が入ってきた場合は、次の免疫反応を起こします。画像の青ゾーンから見ていきます。抗体も種類が様々で、その抗原に有効(特異的)な抗体を作ります。また、オプソニン効果以外に毒素の中和や補体の活性化なども行います。

  1. 抗原侵入:皮膚などより抗原が侵入します
  2. 補体活性・抗原提示:補体(C:Complement)の活性と抗原の情報をT細胞に伝えます
  3. サイトカイン産生・B細胞活性:サイトカイン(後述)などの作用でB細胞を活性化します
  4. 抗体産生:抗体(免疫グロブリン:「Y」)を作ります
  5. 抗原結合(オプソニン効果):貪食をより効果的に行えます
  6. 貪食:食細胞に備わっているFc受容体で抗体・補体を認識して貪食します

抗体(免疫グロブリン・Ig)とは


免疫グロブリン

英語を省略して「Ig」(immunoglobulin)と書きます。基本的には「Y」の形をしています。5種類存在します。

  • IgG
  • IgA
  • IgM
  • IgD
  • IgE

GAMDEの順で血中に多く含まれます。

IgG

免疫グロブリンの代表格で、オプソニン効果や中和作用の中心的役割を担います。唯一胎盤を通過でき、新生児を守ります。

グロブリン(Globulin)だけに、「G」が筆頭なイメージです。胎盤に見立てても良いと思います。

IgA

「Y」が2つ存在する二量体です。母乳に含まれ、乳児に免疫を与えます。気道や消化管などの粘膜に存在し、局所免疫として働きます。

「A」を2つ並べて二量体や乳房・乳児をイメージする感じです。

IgM

Igの中で最も大きい分子量で、「Y」が5つ存在する五量体です。補体の活性化や細菌の凝集などを行います。ウイルス性肝炎でも解説しましたが、抗原が侵入した初期に上昇します。

分子量が多いので、「Many」など。

IgD

量は少なく役割は不明なところも多いですが、B細胞の分化に関与していると考えられています。

「D」を二個くっ付けて「B」に見立てるなど。

IgE

アナフィラキシーで有名なⅠ型アレルギーに関与します。アレルゲン(花粉・ハウスダスト)などに反応します。ちなみにⅡ型は自己免疫疾患に多く見られます。

Allergyの「E」に関連付けるなど。「A」「G」も入ってますが(笑

サイトカインとは

感染・炎症など、様々な原因によって細胞から産生される蛋白質をサイトカインと言います。C型肝炎で使用されるインターフェロンもサイトカインの一種です。発見されているだけでも数百種類存在し、更に細分化されます。

サイトカインによって肝臓で作られた蛋白質が「CRP」で、C反応性蛋白と呼ばれる炎症を反映する検査値になります。これが暴走した状態がサイトカインストームで、炎症によって全身の臓器が壊れていきます。

主な種類

  • インターフェロン(IFN:Interferon)
  • インターロイキン(IL:Interleukin)
  • 腫瘍壊死因子(TNF:Tumor Necrsis Factor)
  • コロニー刺激因子(CSF:Colony Stimulating Factor)

今回は「免疫」について解説しました。

まとめ

  • 免疫グロブリンとは抗体のことを言います
  • 免疫は自然・獲得免疫の2種類です
  • 抗体は皮膚などより侵入した異物に反応します
  • 白血球の分画・役割を覚えよう
  • 液性免疫と細胞性免疫を覚えよう
  • 補体も免疫に関与します
  • Igの特徴をイメージしよう

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