
今回は、こんな声に応えていきます。
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当記事で分かること
- 脳ヘルニアとは
- 代表的な3種類について
- 症状・検査・治療など
<Contents>
脳ヘルニアとは
脳ヘルニアは、脳組織が内部の圧力によって本来存在する境界を越えて押し出されてしまう状態です。主な原因として、血腫・腫瘍・浮腫などの占拠性病変が挙げられます。
一方で、頭蓋内圧亢進は「20cmH2O」を超えた頭蓋内圧(ICP:Intracranial Pressure)のことを言います。更に進行するとヘルニアを起こします。
- 正常値:6~18cmH2O(60~180mmH2O)
*単位には「mmH2O」・「cmH2O」・「mmHg=Torr」など幾つか存在します。「cmH2O/1.36=mmHg」になります。
脳ヘルニアの分類とは
脳は「硬膜」で作られた大脳鎌と小脳テントで区画されています。
- 大脳鎌:左右の大脳半球を隔てている硬膜です。
- 小脳テント:小脳の上に張っている硬膜で、上下を隔てる硬膜です。
脳ヘルニアは、病変部や押される方向によって分類されます。生命維持中枢となる脳幹の近くになると、一般的に生命予後が不良となります。
- 大脳鎌下ヘルニア:生命維持中枢が遠いので脳ヘルニアの中では生命予後が一番良く、前頭葉などを圧迫します。
- テント切痕ヘルニア:細かく幾つかに細分化されます。脳幹に近いので、生命維持中枢機能の障害や除脳硬直などの徴候を示します。
- 大後頭孔ヘルニア:脳幹に最も近く、緊急性が一番高いとされます。
頭蓋内圧亢進症状
急性期と慢性期で症状が異なります。以下は急性期の重篤な症状を挙げています。
- 意識障害
- 呼吸障害
- 除脳硬直
- 瞳孔散大・対光反射消失
- クッシング現象:有名な症状です。頭蓋内圧が高まって血管が圧迫されて脳血流が妨げられることで、生体が代償反応として血圧を上げて1回拍出量を保つ為に徐脈にします。
*慢性期ではうっ血乳頭による視力障害なども呈します。
検査・治療について
検査
- 画像検査:CTなど
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治療
- 頭部挙上:30度程度に挙上して静脈還流を促します。
- 抗脳浮腫薬:高張グリセロール・D-マンニトールなどを用います。
- バルビツレート療法:脳血管を収縮させて血流を減らし、頭蓋内圧を減らします。また、鎮静によって脳代謝が下がります。
- 低体温療法:体温を下げることで脳代謝・脳血流を減らして頭蓋内圧を下げます。
*その他、血管を拡張させる血中二酸化炭素濃度や人工呼吸器のPEEP(呼気終末陽圧)なども影響します。
CPP
臨床向きなので参考程度に解説します。
CPP(Cerebral Perfusion Pressure)は脳灌流圧のことで、脳灌流圧(CPP)=平均動脈圧(MAP)- 頭蓋内圧(ICP)で求められます。
平均血圧は臓器血流の指標として非常に重要で、脳灌流圧も同様に脳血流の指標になります。最低でもCPP60mmHg以上を確保するのが、虚血を防ぐ上で重要とされています。
*単位に注意しましょう。例)ドレーンの液面が指標の場合、頭蓋内圧の単位は「cmH2O」になります。1.36で割って、モニターの「mmHg」に合わせましょう。
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今回は「脳ヘルニア」について解説しました。
まとめ
- 頭蓋内圧亢進は20cmH2O以上のことを言います
- 脳組織が別の区画に嵌入することを脳ヘルニアと言います
- 脳は硬膜(大脳鎌・小脳テント)で区画されています
- 一般的に脳幹に近いヘルニアほど、呼吸障害や除脳硬直などを起こして予後が悪くなります
- 頭部挙上や薬剤などによる治療を行っていきます
- CPPは非常に重要なので頭の隅にでも入れとこう!
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