
今回は、こんな声に応えていきます。

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当記事で分かること
- 腎臓の解剖と役割について
<Contents>
腎臓の位置・解剖について

独特な味ですよね!よく腎臓は「空豆」に似ていると表現されます。英語で「Kidney」と言います。
位置
腎臓の位置は、画像を参考にしてください。肝臓の影響で右腎が少し低いところに位置しています。また、後腹膜臓器に含まれるので、前後の位置関係では背側になります。
上にくっ付いている黄色の帽子に似た臓器が、ステロイドホルモンやカテコールアミンで有名な副腎になります。腎上体とも言います。
構造
縦に約10㎝程度で、左右に位置しています。重量150g程度です。心拍出量の2割程度が流入して、毎日大量の血液を濾過しています。

- 腎髄質:内側の領域です。
- 腎皮質:外側の領域で、後述するネフロンの多くが備わっています。
- 腎杯:尿が腎錐体より排出されます。
- 腎錐体:尿を腎杯に排出します。
- 腎門:腎動静脈・尿管の出入口部分です。
- 尿管:膀胱に尿を流します。
- 腎動脈:腹部大動脈より直接分岐した動脈です。
- 腎静脈:下大静脈に流入します。
*腎盂(腎盤)は、腎杯より尿が集まって尿管に流出する部分です。
ネフロン
ネフロン(Nephron)とは、腎単位とも言って腎臓の機能単位のことです。左右の腎臓で200万個程度存在し、構成は以下に分かれます。
- 腎小体
- 尿細管
腎小体
腎小体は、糸球体とボウマン嚢で構成されます。毛糸の様になった糸球体で老廃物を濾過し、「原尿」を作ります。ボウマン嚢は、糸球体を包みます。
原尿とは尿の前段階の状態で、99%程度は老廃物のみ濾過した後に尿細管で再吸収されて血液に戻り、1%程度が尿となります。

尿細管
原尿の通り道になります。
近位尿細管
水分とブドウ糖・蛋白質・電解質などの溶質の多くを再吸収します。
他の尿細管でも水分・電解質の調整はしています。
糖・蛋白の多くは再吸収されるので、尿検査で現れた場合は原因を探ります。ヘンレループ
名前の通り、「U」の様にループしています。水分を再吸収する下行脚と電解質を再吸収する上行脚で構成されます。
遠位尿細管
ヘンレループより続き、集合管に至ります。
集合管
バソプレシンなどのホルモンが作用して、水分・電解質などの最終調整をした後に、腎錐体などを通って尿として排泄されます。
腎臓の働きについて
腎臓には尿を作る以外に様々な機能が備わっています。主な腎臓の機能は以下の通りです。
- 老廃物濾過
- 体内pH調節
- 電解質・体液調節
- エリスロポエチン産生
- レニン分泌
- ビタミンD₃活性

老廃物濾過
クレアチニン・尿素窒素・尿酸などの毒素を排泄します。
- クレアチニン:筋肉で代謝されるクレアチンの代謝産物です
- 尿素窒素:蛋白質を分解した際の代謝産物です
- 尿酸:プリン体の代謝産物で痛風で御馴染みです

体内pH調節
HCO3⁻再吸収・H⁺排泄などで酸塩基平衡を保ちます。
電解質・体液調節
尿細管での再吸収やホルモンなどの作用で、ナトリウム・カリウム・水分などの調節を行います。
- バソプレシン:下垂体後葉より分泌され、集合管での水分の再吸収を促進します。
- アンジオテンシンⅡ:近位尿細管でのナトリウム再吸収・血管収縮・アルドステロンの分泌促進などを行います。
- アルドステロン:集合管でナトリウム再吸収とカリウム排泄を促進します。
エリスロポエチン産生
特に組織の低酸素で産生促進され、赤血球を増やします。赤血球にはヘモグロビンが備わっており、酸素の運搬機能を持っています。

レニン分泌
上の画像の通り、血圧低下などに反応してレニンを分泌してRA(レニン・アンジオテンシン)系やRAA(レニン・アンジオテンシン・アルドステロン)系に働き掛けます。
ビタミンD₃活性
活性型ビタミンD₃となることで、腸管でのカルシウム・リンの吸収を促進して骨を強くします。
今回は「腎臓」について解説しました。
まとめ
- 空豆に似ていて右腎が肝臓の関係で少し低い位置になります
- 後腹膜臓器です
- 心拍出量の2割の血流が巡り、大量の血液を濾過しています
- 糸球体で原尿となり、老廃物を除いた99%を再吸収します
- 尿・蛋白質の多くも再吸収されます
- 集合管でホルモンなどにより最終調整をします
- 腎臓の「6」つの役割を覚えよう!
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