
今回は、こんな声に応えていきます。
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当記事で分かること
- 肝臓とは
- 構造・機能について
<Contents>
肝臓の特徴について
「沈黙の臓器」と呼ばれる肝臓について見ていきましょう。肝臓は栄養などを初め、様々な代謝に関わっています。腸管から吸収した栄養素などを門脈を介して代謝していきます。
- 重さ:1.0~1.5Kg程度
- 血流:門脈70%程度・肝動脈30%程度
- 再生能力:ある程度までは切除しても元に戻ります。
- 予備能力:普段は3割程度の能力で処理しています。
門脈とは
門脈は上下腸間膜静脈と脾静脈の3つの静脈が合流したところです。以下は門脈に合流するまでの流れです。
- 上腸間膜静脈:胃・小腸・上行結腸・横行結腸
- 下腸間膜静脈:下行結腸・S状結腸・直腸
- 脾静脈:脾臓・胃・膵臓
肝小葉とは
- 肝小葉:肝細胞が集まった単位で、更に肝小葉が集まることで肝臓を形成しています。肝小葉は六角形の形をしています。
三つ組とは
各肝小葉に分け隔てている部分をグリソン鞘と呼びます。グリソン鞘には小葉間胆管、小葉間動脈、小葉間静脈、リンパ管などが通っています。
リンパ管を除いた3つを「(門脈・肝)三つ組」と言います。血液は中心静脈に向かって流れますが、胆汁はグリソン鞘に向かって流れます。
解剖学的には「肝鎌状間膜(肝円索)」で左右に分かれます。臨床・機能的には胆嚢の底と下大静脈を繋ぐ「カントリー線」で分けられます。

カロー三角とは
胆管は左右肝管・総肝管・胆嚢・胆嚢管・総胆管と分岐していきます。肝臓下面・胆嚢管・総肝管を結んだトライアングルを「カロー三角」と言います。手術の際に目印となり、胆嚢動脈の存在する領域になります。胆嚢動脈は固有肝動脈より分岐します。
肝臓の機能について
大きく分けると以下の通りです。全て代謝に関わっています。
- 代謝
- 解毒
- 胆汁
代謝
栄養素
- 糖質:ブドウ糖を肝臓にグリコーゲンとして貯蔵します。血糖値の低下によりグルコースに戻して血中に放ちます。
- 脂質:脂質の合成やコレステロールの代謝により胆汁酸を生成します。
- 蛋白質:アミノ酸代謝によりアルブミンや凝固因子の生成を行います。
その他
間接ビリルビンをグルクロン酸縫合により、直接ビリルビンにします。また、ビタミンDを代謝したり、ホルモンに関わります。女性化乳房ではエストロゲンの分解能低下によります。
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解毒
アルコール・薬物・毒素などを代謝して解毒することで、有害な症状などを防いでくれています。蛋白質の代謝で生じたアンモニアを、尿素に代謝して解毒します。
胆汁
代謝で生じた胆汁酸やコレステロール、ビリルビンなどで作られ、胆嚢に貯蔵されたり十二指腸に排泄されます。これが腸内で代謝されることで、便が茶色になります。
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今回は「肝臓」の解剖などを解説しました。
まとめ
- 重さは1Kg強で再生能力や予備能力に長け、血流が多いです
- 症状が出た頃には進行していることが多く、「沈黙の臓器」と言われます
- 門脈は「3」つの静脈の合流地点です
- 肝臓は肝小葉が集まって構成されています
- グリソン鞘には(小葉間)動静脈と胆管及びリンパ管などが存在します
- 血液は中心静脈に流れ、胆汁はグリソン鞘に流れていきます
- 横隔膜直下に在り、「肝鎌状間膜」や「カントリー線」で左右に分けられます
- カロー三角はトライアングル内に胆嚢動脈が入る目印となります
- 肝臓は多種多様な代謝を初め、解毒・胆汁生成などを行っています
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