
今回は、こんな声に応えていきます。
ちなみに、肝癌のリボンは「エメラルドグリーン」です。
この記事は看護学生・看護師は勿論、その他の医療学生・関係者にも通ずる基礎内容です。専門書やガイドラインなどでデータや事実を確認してから執筆しています。学科試験・国家試験・予習復習などに役立ててください! 国家試験範囲の解説一覧は領域別にHOMEに掲載しています。Kindle電子書籍を活用して無料・低価格で「電子ノート」を作りたい場合は、以下の記事を参考にしてくださいね!
-
-
【医療学生】iPad・アプリなどを活かした図解ノートによる勉強方法について<看護>
当記事で分かること
- 肝癌の分類について
- 原因・転移について
- 腫瘍マーカーについて
- 治療の種類や基準について
参考
癌検診・生活習慣病・感染症などに不安を持っている方は以下で検査できます。自宅で採取可能で、アプリ連動や医師へのWeb相談も可能です。
<Contents>
肝癌(Liver Cancer)
2018年の統計情報では癌の死因第5位になります。ちなみに他の癌を含めると…
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | |
男性 | 肺 | 胃 | 大腸 | 膵臓 | 肝臓 |
女性 | 大腸 | 肺 | 膵臓 | 胃 | 乳房 |
参考Web:国立がん研究センター
男女の合計だと肺>大腸>胃>膵臓>肝臓の順になります。肝癌は転移性が多く、その原因の1位は大腸癌ですので女性にも大いに関係します。
分類
大きく2つに分類されます。
- 原発性肝癌
- 転移性肝癌
転移性肝癌の特徴とは
別の臓器の癌細胞により生じます。全身の血流が集まってくるので、転移が起き易いです。
原発巣
- 消化器系(大腸癌:最多)
- その他様々な臓器より転移する
転移性肝癌は原発巣によって治療が異なります。次は原発性肝癌の中でも多い肝細胞癌を見ていきましょう!
肝細胞癌(HCC:HepatoCellular Carcinoma)
原発性肝癌は更に2種類存在し、9割程度が肝細胞癌で、残りが胆管細胞癌です。男性に多いです。肝細胞癌は、肝硬変に続発して起きることが多いです。よって、原因も肝硬変と同じくウイルス性肝炎(HBV<HCV)が9割程度を占めます。
*原発とは、そこが最初に起きた場所だと言うことです。
肝癌を原因として転移先に多い臓器は以下の通りです。
- 肝臓内転移(切除後などに再発します)
- 血行性転移(転移性肺癌など)
- その他(リンパ・骨転移など)
検査
- 血液検査・腫瘍マーカー
- 画像検査
- 病理組織検査
肝細胞癌
- 腫瘍マーカー(AFP・PIVKA-Ⅱ)
>AFP(α-fetoprotein):胎児(Fetus)で作られる蛋白質(Protein)で、出生後は作られませんが肝細胞癌などで上昇します。
>PIVKA-Ⅱ(Protein Induced by Vitamin K absence or Antagonist-II):とても長い英語ですが、直訳すると「ビタミンK欠乏又は拮抗により誘発される蛋白質(凝固因子Ⅱ)」です。この蛋白質は異常プロトロンビンのことです。プロトロンビンは肝機能の指標でよく利用されます。肝障害以外では、生成に必要なビタミンKの欠乏やワーファリン投与時などでも上がります。

胆管細胞癌
- 腫瘍マーカー(CA19-9・CEA)
>CA19-9(Carbohydrate Antigen 19-9):特に膵臓癌や胆道癌などで上昇します。
>癌胎児性抗原(CEA:CarcinoEmbryonic Antigen):胎児の消化器管などに存在しますが、癌細胞により上昇します。
治療
以下などの内容を評価して適応を決めていきます。一般的な周術期看護については「コチラ」を参考にどうぞ!
ICG試験とは
IndoCyanine Green test:緑色のインドシアニングリーンを静脈に投与して、肝臓の処理能力を見る検査です。投与後15分の値(%)を参考にします。一般的に10%以下が基準で、肝障害が進んでいると上昇します。
*検査前の食事は出来ないので注意しましょう。
経皮的治療
- 肝切除術(腫瘍数3個以下)
- 経皮的局所療法(腫瘍数3個以下・径3cm以内)
>ラジオ波熱凝固療法(RFA:RadioFrequency Ablation):熱による焼却壊死を起こします。
>経皮的エタノール注入療法(PEIT:Percutaneous Ethanol Injection Therapy):エタノールによる細胞壊死を起こします。
エコーを用いて経皮的に肝臓に到達させます。

血管内カテーテル治療
- 動脈塞栓術(腫瘍数4個以上)
>経カテーテル肝動脈塞栓術(TAE:Transcatheter Arterial Embolization):動脈を塞栓物質で閉塞させて癌を死滅させます。
>肝動脈化学塞栓療法(TACE:Transcatheter Arterial ChemoEmbolization):塞栓物質に抗癌剤が含まれています。
- 肝動注化学療法(TAI:Transcatheter Arterial Infusion ):第二選択で、塞栓せずに抗癌剤のみを投与します。
その他
- 分子標的治療:薬物療法で、進行している場合に用います。
- 肝移植:重症度が高く、一定の基準内の場合に行います。
今回は代表的な「肝癌」について解説しました。
まとめ
- 肝癌は男性・全体の死因第5位です
- 肝癌は転移性が多いので、大腸癌1位の女性も関係してきます
- 原発性では肝細胞癌が9割以上を占め、原因の9割はウイルス性肝炎です
- 転移先は血流豊富な肝内と血行性の肺が多いです
- 肝細胞癌の腫瘍マーカーはAFP・PIVKA-Ⅱが典型です
- 肝内胆管癌ではCEA・CA19-9などを用います
- 治療は肝機能や腫瘍数・径などで決めていきます
- 3個以下はエコーガイドで焼却などにより癌細胞を死滅させます
- 4個以上ではカテーテル塞栓などを用います
- 進行癌では薬物療法や肝移植を検討します
参照Web:日本肝臓学会 肝癌診療ガイドライン 2017年版
最新記事