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肝性脳症・腹水・黄疸などの肝不全症状と治療について<看護師国家試験>

2020年10月18日

集中治療室で10年以上働き、ブログを起点に医療情報やお役立ち情報を発信しています。医療学生・新卒看護師向けに分かり易く解説するコンテンツも制作しています!国家試験に合格したのに臨床で上手く使えない…と思っている人は結構多いです。折角学習するのに臨床で活かせないのは勿体無いです。効率的・体系的に学びつつ臨床に活かしましょう!

肝不全の症状って?機序や治療について教えて!

今回は、こんな声に応えていきます。

この記事は看護学生・看護師は勿論、その他の医療学生・関係者にも通ずる基礎内容です。専門書やガイドラインなどでデータや事実を確認してから執筆しています。学科試験・国家試験・予習復習などに役立ててください!

国家試験範囲の解説一覧は領域別にHOMEに掲載しています各記事毎の「関連図」・「E-larning」を閲覧したい方は、記事の最下部で紹介しています



当記事で分かること

  • 肝不全の代表的な症状とは
  • 機序や治療などについて

肝不全の代表的な症状について

肝臓の役割を理解していないと分かり難いと思うので、不安な場合は先に「コチラ」を参考にしてください!

黄疸・尿色・便色など

黄疸は眼球結膜に出易く、血中のビリルビン(画像:Bil)が上昇することで生じます。尿色や便色にも関係します。ビリルビンの種類は以下の2種類です。

  • 間接ビリルビン(脂溶性)
  • 直接ビリルビン:D-Bil(水溶性)

この2種類を足し算した値を「総ビリルビン値」と言い、2~3mg/dL以上になると現れます。簡単な流れは以下の通りです。

ビリルビン代謝

黄疸は3種類覚えましょう。

  • 溶血性黄疸(肝前性)
  • 肝細胞性黄疸(肝性)
  • 鬱滞・閉塞性黄疸(肝後性)

溶血性黄疸

添付画像を見ながらだと理解し易いと思います。

肝臓に入る前の過程なので、「肝前性」と言います。


  • 溶血

    血球が溶血して通常より多く間接ビリルビンが肝臓に流れ込みます。

    *間接ビリルビンでは掻痒感は生じ難いとされます。


  • 肝臓

    グルクロン酸抱合で分解し切れないと、血中の間接ビリルビンが上昇します。また、通常より多く処理されることで直接ビリルビンが胆汁として腸管に多く流れ、ウロビリノーゲンが増加します。


  • 排泄

    ウロビリノーゲン(ウロビリン)の一部は、便色となるステルコビリノーゲン(ステルコビリン)となり排泄されます。もう一部は肝臓を通過して血中に入り、腎臓から尿として排泄されます。その為、色が濃くなる場合があります。


肝細胞性黄疸

肝臓の障害によるので、「肝性」と言います。


  • 肝障害

    肝障害により、胆管への直接ビリルビンの運搬障害が起きます。その為、直接ビリルビンが血中に多く検出されます。


  • ウロビリノーゲン

    腸肝循環後も肝障害によって処理が上手く行えず、尿中に多くウロビリノーゲンが排泄されます。


  • 直接ビリルビン

    直接ビリルビンは水溶性なので、血中に入った後に腎臓から尿として通常より多く排泄され、褐色尿となります。

    *間接ビリルビンは脂溶性でアルブミンと運ばれるので、腎臓の濾過機能を通れないです。


鬱滞・閉塞性黄疸

肝臓で処理した後なので、「肝後性」と言います。


  • 胆管障害

    肝臓より胆管に運搬された直接ビリルビンですが、胆管閉塞などにより鬱滞して血中に多く検出されます。


  • 直接ビリルビン

    直接ビリルビンは水溶性なので、血中に入った後に腎臓から尿として通常より多く排泄され、褐色尿となります。


  • 腸管

    腸管に胆汁(直接ビリルビン)が流れ込まず、脂肪の分解障害を来して脂肪便となります。また、ウロビリノーゲンも産生されないことでステルコビリノーゲンも減少します。その為、灰白色便となります。尿中ウロビリノーゲンも検出されなくなります。


肝性脳症

主としてアンモニアが血液脳関門を通じて、脳に作用することで生じます。

代表的な重要項目は以下の通りです。

  1. 蛋白質
  2. 腸内細菌
  3. 排便
  4. アンモニア
  5. 異常行動・羽ばたき振戦

順番に見ていきましょう。


  • 蛋白質

    まず蛋白質をアミノ酸に分解する過程で「アンモニア」が発生します。

    >ここに焦点を当てた治療が「低蛋白食」、「BCAA」(後述)です。

  • 腸内細菌

    このアンモニアは腸内細菌などに産生されます。

    >ここに焦点を当てた治療が「ラクツロース」、「カナマイシン」などです。

  • 排便

    排便により、残便による過剰なアンモニアの産生を抑制します。

    >ここに焦点を当てた治療が「ラクツロース」、「浣腸」、「食物繊維」などです。

  • アンモニア

    以上の工程で増え、肝臓で処理できなかったアンモニアは脳に作用します。

  • 異常行動・羽ばたき振戦

    脳に作用することで、後述する昏睡度分類の神経症状などが現れます。

BCAA以外の機序は下記記事を参考にしてください!

昏睡度分類・羽ばたき振戦

 

最初に聴いたときは羽ばたくの?って混乱した記憶が…

BCAA(Branched Chain Amino Acids)

Branched(分岐) Chain(鎖) Amino Acids(アミノ酸)です。枝分かれした分子構造なので、こう呼びます。分差アミノ酸とも書きます。必須アミノ酸で、体外から吸収する以外に補えません。

  • バリン
  • ロイシン
  • イソロイシン

このアミノ酸の名前は流れで覚えた方が楽です。バリン、ロイシン、イソロイシン!BCAAは筋肉の修復などに関わっています。プロテインにも入っているので、筋トレが好きな人は知っているかな?

*プロテイン

対して芳香族アミノ酸(AAA:Aromatic Amino Acid)はベンゼン環(画像六角形:プロリンは除く)を持つアミノ酸です。

肝硬変で何で使うの?

フィッシャー氏は、肝硬変患者のAAAが増えてBCAAが減っていることを発見しました。BCAA/AAAの比をフィッシャー比と言います。BCAA>AAAにしてフィッシャー比を上げる治療を行います。

アンモニアの代謝異常により、生体は筋肉で代償してアンモニア処理を行います。それ以外でも筋肉がBCAAを利用し、肝硬変患者はBCAAが不足してしまいます。食事は低蛋白食にしてAAA<BCAAとなる様に、BCAA製剤を摂取して栄養を補っていきます。

腹水

腹水

腹腔に通常は極少量の水分が、多量に貯留している状態です。腹水は二種類に大別されます。肝障害による主な理由は原因は以下の通りです。

  • 膠質浸透圧低下(低アルブミン血症)
  • 門脈圧亢進

これらは「漏出性腹水」と言って、アルブミンや静脈圧に起因し、非炎症性に溜まります。一般的には淡黄色の色をしています。

一方、炎症で生じる「滲出性腹水」は以下の通りです。

  • 癌性
  • 感染性
  • 出血性

血管透過性の上昇などで貯留します。感染していれば混濁した色となったり、出血や血球成分が多い場合は赤くなります。

症状

  • 呼吸困難:横隔膜挙上による肺拡張制限によるので、上体を起こします
  • 食欲不振
  • 循環:血管への圧迫が関与します

内科的治療

  • 安静:血流増加
  • アルブミン是正:栄養・製剤
  • 利尿薬:尿量・体重など
  • 塩分・水分管理

侵襲的治療

  • 腹腔穿刺:バイタルサイン・排液量・性状・刺入部などを確認します

*急激な排液は、血管拡張による低血圧などを起こすので注意しましょう。

その他

肝臓は生体の代謝工場なので、他にも様々な症状を呈します。

  • 蛋白質代謝

>アルブミン合成障害:膠質浸透圧差で浮腫など

>凝固因子合成障害:出血など

  • 糖質代謝:貯蔵・合成障害により血糖値の異常など
  • 脂質代謝:コレステロール・リン脂質合成障害など
  • 解毒:易感染・アレルギー症状など
  • ホルモン代謝:女性化乳房など
  • ビタミンD代謝:骨形成障害
  • その他:門脈圧亢進症状など

今回は代表的な「肝不全症状」について解説しました。

まとめ

  • 黄疸の種類は「3」種類覚えよう
  • 尿や便の色はビリルビンが関係しています
  • 間接は掻痒感が生じ難く、脂溶性です
  • 肝性脳症は「蛋白質」、「細菌」、「排泄」で考えよう
  • BCAA(バリン、ロイシン、イソロイシン)を多く摂取します
  • 肝硬変の腹水は漏出性(非炎症性)が多いです
  • 腹水では呼吸や循環などに注意しよう

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参考

詳細

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