
今回は、こんな声に応えていきます。
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当記事で分かること
- 生理・月経とは
- 月経前症候群と月経困難症について
<Contents>
生理・月経とは
生理は一般的な言葉で、医学用語では「月経」と言います。女性は28日前後の周期で生理を起こします。14日間の時間を掛けて子宮が妊娠の準備を行いますが、排卵後に妊娠が成立しなかった場合は子宮内膜と呼ばれる内側の膜が剥がれます。この際に出血や疼痛を伴います。
経血量・止血
月経の正常持続期間は5∓2日間(平均3日間)で、血液の量は80∓60mL(平均40mL)が正常範囲になっています。この出血にはプロゲステロン・エストロゲンが関与します。止血は子宮(筋肉)が収縮して血管を圧迫することで完了します。
初経・閉経
初回の月経となる初経の平均年齢は12歳頃で、15歳以降に起きる場合は遅発初経と言います。初経後2-3年程度は無排卵性月経で、排卵が起きず次項で解説する機能性月経困難症は起きないとされます。月経が終了する閉経の平均年齢は50歳頃で、早いと40歳過ぎに起きて55歳以降では遅発閉経とされます。
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月経困難症とは
月経(生理)によって疼痛・悪心・頭痛などが生じて日常生活に支障を来す場合を月経困難症と言います。月経に伴うので、開始・終了時期も関連しています。
分類
- 機能性:器質(臓器)に異常・疾患が無い月経困難症のこと
- 器質性:子宮に異常を来す月経困難症のこと
なぜ疼痛が起こる?
月経痛は子宮内膜の剥離で生じますが、これによって疼痛に関わるプロスタグランジン(PG)が全身に作用して疼痛・悪心などが起きると考えられています。PGは子宮収縮などにも関わり、子宮収縮薬としても用いられています。疼痛に関連した化学物質には、ヒスタミン・セロトニン・ブラジキニンなどが存在します。
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治療・緩和
ポイント
機能性では鎮痛薬や低用量ピルなどを用います。対して、器質性では子宮内膜症・子宮筋腫などの原因を取り除いていきます。特に鎮痛薬では前述した通り、PGが関連しているのでCOXを阻害してPG産生を抑えるNSAIDsが用いられます。
また、血管収縮によって子宮内膜が虚血・壊死して剥がれ落ちるので、温罨法で血行を良くすることでも鎮痛を得られるとされます。
子宮内膜症・筋腫
子宮内膜症は子宮の内側以外に組織が生じる疾患で、不妊・疼痛などの原因になります。子宮筋腫は良性の腫瘍で、不妊・疼痛などを呈す最も頻度の高い婦人科疾患と言われています。
月経前症候群(PMS)とは
PMS(Premenstrual Syndrome)は名前の通り月経に先駆けて3~10日前に生じる症候群のことを言います。40歳以降の更年期に多く、全女性の50-80%の女性に生じて、その中の10%弱が日常生活に支障を来すと報告されています。
精神症状が主の場合は月経前気分不快症候群(PMDD:Premenstrual Dysphoric Disorder)として扱われます。
ポイント
- 気分:イライラ・集中力低下・抑うつ・不安など
- 疼痛:頭痛・腰痛・乳房痛など
- 月経が始まると軽快・消失する
なぜ起こるのか?
詳細は未解明で、女性特有のホルモン変動が関わると指摘されています。エストロゲン・プロゲステロンなどの他、ドーパミン・セロトニンの補酵素となるビタミンB₆なども指摘されています。
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治療・緩和
ポイント
- 生活指導:食生活・運動・睡眠などでホルモンバランスなどを整えます
- 疼痛:NSAIDs・アセトアミノフェンなど
- 薬剤療法:利尿薬・漢方薬・SSRI(選択的セロトニン再取込阻害薬)・ホルモン療法など
- その他:プラセボ・アロマセラピー・健康食品など
プラセボとは
偽薬・プラシーボ効果とも言われる有効成分非含有の偽物の薬のこと。簡単に言うと精神に影響して安心することで効果を得られること。
健康食品
食品ではカフェイン・塩分・アルコールなどの摂取量を軽減することと、一部のサプリメントが推奨されています。サプリメントは補助的なので、なるべく食事から栄養素は摂取するのが勧められます。
症状が既に酷くなっている場合や、サプリメントで改善が得られない場合は無理せず婦人科外来に受診しましょう。また、薬剤の作用に影響を及ぼす可能性が考えられるので服薬中・受診前などの方は必ず申告しましょう。
カルシウム(Ca)・マグネシウム(Mg)
毎日Ca1,000mg又はMg400mgのサプリメントの摂取が推奨されています。
チェストベリー
月経に関わる乳房痛などに効くとされる報告があります。
セント・ジョーンズ・ワート
セイヨウオトギリソウとも言われます。精神的に安定させる効果を持つと報告されています。安全性が医学的研究により実証されている世界的に実績・信頼を獲得しているハーブだと言われています。神経伝達物質の分解酵素と再吸収を抑える働きを持つと考えられています。
注意ポイント
薬物代謝酵素が誘導されることで、種々の薬剤の作用に影響を及ぼします。服薬中・受診前などの方は必ず申告しましょう。
- 抗HIV薬
- 経口避妊薬
- 強心薬:ジゴキシンなど
- 免疫抑制薬:シクロスポリンなど
- 気管支拡張薬:テオフィリンなど
- 抗凝固薬:ワルファリンなど
今回は「月経」について解説しました。
まとめ
- 月経(生理)は排卵後に妊娠が成立しなかった場合に起こります
- 子宮内膜が剥がれて出血します
- 人によって様々な精神・身体症状が現れます
- 子宮筋腫・子宮内膜症なども考えられるので、酷い場合は婦人科に受診しましょう
参考・引用文献(Web)
- PMS・PMDDの診断と治療(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jshowaunivsoc/77/4/77_360/_pdf/-char/ja)
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