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【栄養】ミネラルとは?16種類の必須ミネラルと6種類の検査値について<看護>

2021年9月21日

集中治療室で10年以上働き、ブログを起点に医療情報やお役立ち情報を発信しています。医療学生・新卒看護師向けに分かり易く解説するコンテンツも制作しています!国家試験に合格したのに臨床で上手く使えない…と思っている人は結構多いです。折角学習するのに臨床で活かせないのは勿体無いです。効率的・体系的に学びつつ臨床に活かしましょう!

ミネラルって何のこと?

今回は、こんな声に応えていきます。

この記事は看護学生・看護師は勿論、その他の医療学生・関係者にも通ずる基礎内容です。専門書やガイドラインなどでデータや事実を確認してから執筆しています。学科試験・国家試験・予習復習などに役立ててください!

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【医療学生】iPad・アプリなどを活かした図解ノートによる勉強方法について<看護>


当記事で分かること

  • ミネラルとは
  • 電解質について
  • 代表的な電解質濃度について

ミネラルとは

ミネラルは5大栄養素の一つで、糖質・脂質・蛋白質・ビタミンと一緒に身体を作るのに必要な構成成分になります。必須ミネラルは16種類で、中でも臨床でよく遭遇するミネラルを重点的に解説していきます。

  1. ナトリウム
  2. カリウム
  3. マグネシウム
  4. カルシウム
  5. リン
  6. クロール(塩素)
  7. 鉄:酸素運搬・造血など
  8. 亜鉛:遺伝・細胞形成・味覚など
  9. 銅:造血・骨・酵素など
  10. マンガン:抗酸化・骨代謝など
  11. ヨウ素:甲状腺ホルモン・成長など
  12. セレン:抗酸化作用など
  13. クロム:インスリン補助など
  14. モリブデン:尿酸・鉄代謝など
  15. 硫黄:骨・皮膚・爪など
  16. コバルト:ビタミンB12・造血など

電解質とは

電解質は「イオン」とも言って、水に溶けて電荷を帯びます。陽イオン、陰イオンなどとも呼ばれて「+」や「-」が英語の右上に付きます。代表的な6番目までのイオンの検査値を解説していきます。

その他、水素イオン(H⁺)や重炭酸イオン(HCO3⁻)なども酸塩基平衡(pH)に大きく関わります。

ナトリウム

Na⁺として血液中にイオンとして存在します。多くは細胞外(血管内)に分布しています。浸透圧(張度)に関わるので、水を引き込んで血圧を上げる作用を持ちます。また、筋肉の収縮や血液中のpHにも関わっています。熱中症でナトリウムを喪失することで熱痙攣などを起こすので、塩分を含む水分補給が推奨されています。

ポイント

  • 浸透圧(張度)
  • 血圧
  • 筋収縮など

正常値

  • Na:138-145 mEq/L
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カリウム

K⁺として血液中にイオンとして存在します。全体の98%が細胞内に分布しています。ナトリウムと一緒に浸透圧(張度)に関わり、腎臓でナトリウムを排泄する際に一役買っています。また、筋肉の収縮にも関わります。

ポイント

  • 浸透圧(張度)
  • 血圧(ナトリウム排泄)
  • 筋収縮など

正常値

  • K:3.6-4.8 mEq/L

マグネシウム

マグネシウムはMg²⁺として血中に存在します。また、骨にも貯蔵されていて不足すると溶け出てきます。骨・歯の形成にも関わり、様々な酵素や代謝にも関わってきます。血圧にも関わり、血管を弛緩させることで血圧を下げる働きを持ちます。

ポイント

  • 骨・歯形成
  • 血管平滑筋弛緩(降圧作用)
  • 筋収縮
  • 酵素・代謝など

正常値

  • Mg:1.8-2.4 mg/dL

カルシウム

次に解説するリンと一緒に骨・歯を作ります。血中(Ca²⁺)以外に貯蔵庫として骨に多く存在します。筋肉の収縮や血液凝固因子としても重要で、血中濃度が下がると骨吸収によって骨を溶かして血中に放出します。腸管からの吸収にはビタミンDが関わることでも有名で、骨を形成する際にはビタミンKも作用しています。

ポイント

  • 骨・歯形成
  • 血液凝固因子
  • 筋収縮など

正常値

  • Ca:8.8-10.1 mg/dL
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リン

血中ではIP(無機リン)として存在します。カルシウムと一緒になって、リン酸カルシウムとして骨・歯の成分となります。リンが増えると、血中のカルシウム濃度とバランスを保とうとして骨吸収により骨が脆くなります。また、リン脂質として細胞の膜などに存在します。ATP(アデノシン三リン酸)と呼ばれるエネルギー源の成分にもなっています。

リンが欠乏することは少ないと言われますが、この値が低くなっている場合は飢餓などを起こしている可能性が考えられます。この際に通常通りの栄養を行うとリフィーディング症候群が生じることでも有名です。インスリンや栄養の代謝過程で電解質に異常を来して臓器障害などを起こす可能性が考えられ、リンの補充や少量からの栄養投与が推奨されています。

ポイント

  • 骨・歯形成
  • 細胞膜
  • エネルギー源など

正常値

  • P:2.7-4.6 mg/dL
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クロール(塩素)

塩素はClーで表記されます。クロールとも呼ばれ、胃液の塩酸として重要な働きを持ちます。食塩はNaCl(塩化ナトリウム)なので、主に塩分として摂取しています。酸化力が強いので、胃では殺菌作用を持ち、水道水・プール・環境清拭などの消毒剤にも用いられています。

ポイント

  • 塩酸(胃酸)など

正常値

  • Cl:98ー109 mEq/L
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今回は「ミネラル」について解説しました。

まとめ

  • 必須ミネラルは16種類存在します
  • 検査値としては6種類を押さえましょう!
  • これらは電解質と呼ばれるpHにも関わるミネラルです
  • 輸液の種類によって電解質濃度が変わってきます
  • その他のミネラルは主に微量ミネラルと称されます
  • 微量ミネラルは高カロリー輸液などに含まれます

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