
今回は、こんな声に応えていきます。
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当記事で分かること
- ネフローゼ症候群とは
- 微小変化型とは
<Contents>
ネフローゼ症候群とは
ネフローゼ症候群(NS:Nephrotic Syndrome)は、響きでネフロンの異常が想像できそうな名前ですね!糸球体の障害によって蛋白質が尿に大量に排泄されてしまいます。一次性(原発性)と二次性(続発性)に分けられます。「症候群」とは幾つかの症候を呈している状態で、「疾患」とは別の概念になります。
原因疾患は多岐に渡り、以下は一例です。
原因疾患(例)
【一次性】
- 微小変化型ネフローゼ症候群
- 膜性腎症
【二次性】
- 糖尿病性腎症
- ループス腎炎
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診断基準
成人
- 蛋白尿3.5g/日以上持続
- 低アルブミン血症(3.0g/dL以下)
- 浮腫
- 高LDLコレステロール血症
「1」と「2」は必須条件となっています。浮腫は低アルブミン血症による膠質浸透圧で生じ、特に体重増加や眼瞼浮腫を認めます。
高LDL(Low Density Lipoprotein:低比重リポ蛋白)コレステロール血症は、悪玉コレステロールが増えた状態で、動脈硬化の危険因子です。肝臓が低アルブミンに対して蛋白合成を促進したことで、同時に作られてしまいます。凝固因子も過剰に生成され、血栓症なども危険因子に挙がります。
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小児
- 高度蛋白尿(夜間畜尿40mg/時/m²以上)
- 低アルブミン血症(2.5g/dL以下)
今回は頻度の高い微小変化型ネフローゼ症候群(MCNS)を主に見ていきます。
微小変化型(MCNS)とは
成人では半数以上が原発性で、その内の4割程度が微小変化型ネフローゼ症候群(MCNS:Minimal Change Nephrotic Syndrom)と報告されています。小児では特に幼児が多く、MCNSが8割程度を占めます。
予後は良好とされますが、再発や薬剤抵抗性なども報告されています。光学顕微鏡では組織の異常を認めず、電子顕微鏡(高倍率)で糸球体の異常を認めます。小児のネフローゼ症候群では、MCNSが多いので一般的に腎生検を行わないです。成人では確定診断の為に行います。浮腫や体重増加などを認め、多くはステロイド薬が効きます。
治療
治療
状況に応じた治療を行っていきます。
- ステロイド薬
- 塩分(3g~)
- 水分制限
- 安静
- 蛋白質制限
- 利尿薬・スタチン・抗凝固療法など
*スタチン:コレステロールを下げる薬です
ステロイド副作用
- 易感染
- 成長ホルモン抑制(成長障害)
- 血糖値異常
- 白内障・緑内障
- 満月様顔貌
- 肥満・多汗
- 消化管潰瘍
- 動脈硬化
- ステロイド筋症
ステロイド以外に、IgGも低下するので感染症に注意しましょう。
今回は「ネフローゼ症候群」について解説しました。
まとめ
- 糸球体の異常で起きる症候群です
- 蛋白尿・低アルブミン血症が重要です
- 浮腫・高LDLコレステロール血症にも注意しよう
- 小児では微小変化型(MCNS)が8割を占め、腎生検は行わないです
>ステロイド治療と並行して食事制限や感染・成長抑制などに注意していきます
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