
今回は、こんな声に応えていきます。
この記事は看護学生・看護師は勿論、その他の医療学生・関係者にも通ずる基礎内容です。専門書やガイドラインなどでデータや事実を確認してから執筆しています。学科試験・国家試験・予習復習などに役立ててください! 国家試験範囲の解説一覧は領域別にHOMEに掲載しています。Kindle電子書籍を活用して無料・低価格で「電子ノート」を作りたい場合は、以下の記事を参考にしてくださいね!
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【医療学生】iPad・アプリなどを活かした図解ノートによる勉強方法について<看護>
当記事で分かること
- 浸透圧の原理について
- 医療との関係性について
<Contents>
細胞膜について
浸透圧を解説する前に、人体の細胞や血管壁は「半透膜」で構成されます。これにより物質の移動が行われて、生命維持に不可欠な機能となっています。
半透膜とは

ポイント
半透膜は物質の大きさなどによって膜の通過に制限が掛かる膜を言います。半分透過する膜と覚えると良いかもです。腹膜透析なども半透膜の作用で行われます。
浸透圧とは
浸透圧は簡単に言うと水を引っ張る力のことを言います。半透膜を隔てて左右に水を入れ、塩分などの溶質を入れると濃度の高い方に水分が移動して「比率」を調整します。この際に濃度の違いを「濃度勾配」と呼びます。
ポイント
- 浸透圧:水を引っ張る
- 水分:低濃度⇒高濃度に動く
浸透圧が分かると
ポイント
- 浮腫・胸水・腹水などの病態の理解度が増す
- 輸液の意味や使い分けが分かる
- 物質の移動するイメージが湧く
注意ポイント
輸液は医者が指示を出すので必要ないのでは?と思うかもしれませんが、点滴を繋げるのは看護師になります。輸液一つで命に直結する事象が起きることは稀ですが、医者も人間なのでミスをします。それに気付かずに延々と指示通りの輸液を繋げていると容体が悪くなる場合があります。この様な事例を回避する為にも、輸液の知識は学習した方が良いでしょう。
溶質の種類は様々です
今回は塩分で解説しましたが、血漿のブドウ糖・膠質(アルブミン)・尿素なども浸透圧に関わってきます。輸液療法はこの辺りの物質を調整して行われているので、詳しくは以下の記事を確認ください。
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【輸液療法】使い分けって?種類・目的・ポンプの使い方などを解説します<看護>
身近な例を見てみよう
はてな
- ナメクジに塩を振ると小さくなることで有名です。ナメクジは半透膜で外膜が構成されているので、塩分濃度の高くなった外側に水分が吸い取られて小さくなります。人は皮膚で守られているので、塩を振っても大丈夫ですが傷口に触れると浸透圧差によって痛みが生じます。
- ぬか漬けは塩分を利用して野菜の水分などを外に出して、乳酸菌などの発酵物を染み込ませた料理です。
- 保存食で高塩分になっている食品は、塩で水分をコントロールすることで細菌の生育を抑制して守っています。
- 塩分の摂り過ぎで血圧が上がるのは、血管内(細胞外)に水分を引き込むからです。
- 糖尿病で尿が多くなるのは「原尿」に含まれる糖分の影響で、血管から水分を引き寄せる為です。
- ネフローゼ症候群など、膠質(アルブミン)が下がると血管に引き込む膠質浸透圧が下がって浮腫が起こります。
今回は「浸透圧」について解説しました。
まとめ
- 浸透圧は医療現場では避けられない知識になります
- 輸液などを学習する上でも重要です
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