
今回は、こんな声に応えていきます。
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当記事で分かること
- 急性・慢性膵炎について
<Contents>
急性膵炎の原因・症状・治療について
膵液とは
膵液はアルカリ性の消化液です。消化管で唯一、糖質・脂質・蛋白質全てを消化できる酵素を持っています。何らかの原因が生じると膵組織を自己融解してしまいます。重症化すると死亡率は高いです。
原因
2大成因とされるのは以下の通りです。全体で見ると、男性の罹患率は女性の2倍程度です。
ポイント
- アルコール多飲:男性>女性
- 胆石症:男性<女性
注意ポイント
アルコールによる発症リスクは、1日4ドリンクで2.5倍になると報告されています。1ドリンクに含まれる純アルコール量は12gで、ビール(度数5%)で言うと300ml程度が1ドリンクの目安になります。また、脂質異常症によっても増加します。
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症状
主な症状は以下の通りです。飲酒などを切っ掛けに起こし、前屈などの体位調整で和らぎます。
- 上腹部痛(圧痛):筋性防御など
- 発熱
- 悪心・嘔吐
合併症
- 急性腎不全
- 呼吸不全
- ショック
- 敗血症
- 播種性血管内凝固
- 多臓器障害
膵組織障害
膵酵素(トリプシン等)活性による自己消化・虚血が起きます。
サイトカイン
膵酵素や虚血組織(細菌)などが全身に動員されて、炎症反応を呈します。
重症化
血管透過性亢進・血管拡張作用などにより血圧が下降し、ショックや急性腎不全などの多臓器障害を引き起こします。
検査・治療
検査
- 血中・尿中膵酵素上昇:アミラーゼ・リパーゼなど
- 腹部エコー
- CT・MRI・レントゲン
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治療
- 初期輸液:血圧維持
- 鎮痛(モルヒネ禁忌:オッディ括約筋収縮作用):非麻薬性鎮痛薬・NSAIDsなど
- 抗菌薬:感染が懸念される場合など
- 蛋白分解酵素阻害薬:トリプシンなどの蛋白分解酵素を阻害したり、オッディ括約筋を弛緩させます
- 栄養療法:絶食は必要最低限にします(早期経腸栄養・静脈栄養)
*カフェイン・炭酸飲料は、消化管を刺激して消化液を増加させる可能性が考えられるので控えます。
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重症例
- 透析
- 動脈注射療法
- 外科的・内視鏡的治療
- 腹腔内圧管理
慢性膵炎の原因・症状・治療について
慢性的に膵臓が傷害され、内分泌・外分泌機能が低下していきます。それにより消化吸収能の低下による黄色っぽい脂肪便や、糖尿病、細胞の傷害による癌などの合併も高めます。
原因
- アルコール多飲:男性>女性
- 特発性:男性<女性
- 胆石症:男性<女性
症状・治療・検査
慢性膵炎は、代償期・移行期・非代償期に病期が分かれます。5~10年程度に渡って非代償に移行していきます。代償とは簡単に言うと、一部が傷害されて一部の機能が残っている状態です。
代償期・非代償期
主に代償期では急性増悪する膵炎と腹痛症状の管理を行っていきます。非代償期では腹痛は治まってきますが、分泌系の代償が効かなくなります。
代償期
- 症状:腹痛
- 血液検査:膵酵素上昇
- 画像検査:CT・超音波エコー・MRCP・ERCPなど
- 内科的治療:腹痛・食事制限・禁煙指導・薬物療法など
- 侵襲的治療:膵石(カルシウム)を内視鏡などで取り除きます
非代償期
- 症状:糖尿病症状・消化不良など
- 血液検査:膵酵素下降
- 画像検査:CT・超音波エコー・MRCP・ERCPなど
- 内科的治療:食事制限・禁煙指導・薬物療法(分泌補充など)
今回は「膵炎」について解説しました。
まとめ
- 膵炎は自分の消化液で自分を消化してしまいます
- アルコール・胆石症などで多いです
- 全身の炎症反応によって重篤・致死的となります
- 薬物療法や食事制限・禁煙などが治療になります
- 慢性膵炎では腹痛と分泌障害に分けて覚えよう!
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