
今回は、こんな声に応えていきます。
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当記事で分かること
- パーキンソン病とは
- 症状・検査・治療など
<Contents>
パーキンソン病とは
パーキンソン病は、日本での推定患者数が10万人以上とされています。40歳以下で生じる若年性のパーキンソン病も報告されていますが、多くは50歳以降で発症します。
原因は中脳の黒質と呼ばれる部分が変性して、ドパミンの産生が減少します。ドパミンは大脳基底核で運動の調節などを行っていて、減少することで動きに特徴が現れます。
- 好発:50歳以降
- 黒質(中脳)変性・ドパミン減少
- 運動機能に異常が出る

大脳基底核
大脳深部に存在する灰白質の核で、運動機能などを調節する錐体外路です。
- 線条体:尾状核と被殻で構成されます。
- レンズ核:淡蒼球と被殻で構成されます。
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症状
ドパミンの不足によって運動の調節が上手く働かず、簡単に言うとアクセル・ブレーキが壊れた状態となります。以下の四主徴(錐体外路症状)の他、小刻み歩行や加速歩行なども有名です。
- 無動
- 振戦(安静時)
- 筋強剛
- 姿勢反射障害
*上記症状をパーキンソニズムと言います。パーキンソン病以外で見られる場合は、パーキンソン症候群と呼びます。
検査
- DATシンチグラフィー:特定の薬剤が線条体のドパミントランスポーターに集まり難くなります。
- MIBG心筋シンチグラフィー:ノルアドレナリン類似物質(MIBG)が心臓に集まり難くなります。
*確定診断には薬剤反応やパーキンソン症候群の除外などが必要になります。
治療
ドパミンはチロシンと言うアミノ酸(蛋白質)がL-dopaになって作られます。つまりL-dopaはドパミンの前駆体です。また、ドパミンはノルアドレナリンの前駆体で、ノルアドレナリンはアドレナリンの前駆体になります。
代表的な治療はドパミンに関連した薬剤で、種類が多いので有名なところだけ挙げます。
- L-dopa:最も強力な効果を示しますが、wearing-off現象やon-off現象が起き易いとされます。
- ドパミンアゴニスト:「agonist」とは作動薬の意味で、ドパミン受容体と結合して作用します。wearing-off現象を起こし難いとされます。
- その他:ドパミンの補充以外では、運動抑制に働くアセチルコリンを遮断する抗コリン薬や、電気刺激を行う脳深部刺激療法などです。
現象
- wearing-off現象:L-dopa長期投与で作用が短くなって症状が現れることを言います。
- on-off現象:急激に症状の改善・増悪を繰り返します。
副作用
ドパミンの作用で覚えると理解し易いです。
- 循環:ドパミン受容体に作用すると血管拡張作用を示します。これにより起立性低血圧などを起こします。
- 消化:ドパミンは副交感神経に関係するアセチルコリンと拮抗するので、消化不良などを起こします。
- 不随意運動(ジスキネジア):ドパミン過剰によってパーキンソニズムとは反対に動きが活発になります。
- 精神症状:幻覚・幻視などの陽性症状を起こします。陽性症状とは、「本来存在しないモノが存在する」(=陽性)と言う意味で、ドパミン過剰によって起こると考えられています。疾患としては統合失調症が代表的です。
- 悪性症候群:ドパミン受容体の遮断によって起きると考えられています。高熱・筋強剛・意識障害などを呈し、ダントロレンナトリウムの投与や冷却などを行います。

ポイント
音楽・目印などの外部刺激で動き出しが改善するとされます。転倒・衝突などにも注意しましょう。
今回は「パーキンソン病」について解説しました。
まとめ
- 50歳以降で好発します
- 中脳(黒質)の変性でドパミンが不足してしまいます
- 「4」大症状・歩行の特徴などを覚えよう!
- カテコールアミンはチロシン・L-dopaより生成されます
- 主な治療はドパミン補充です
- L-dopaのwearing-off現象などが有名です
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