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周術期の役割とは?ドレーン・体温管理などについて<看護師国家試験>

2020年10月24日

集中治療室で10年以上働き、ブログを起点に医療情報やお役立ち情報を発信しています。医療学生・新卒看護師向けに分かり易く解説するコンテンツも制作しています!国家試験に合格したのに臨床で上手く使えない…と思っている人は結構多いです。折角学習するのに臨床で活かせないのは勿体無いです。効率的・体系的に学びつつ臨床に活かしましょう!

手術の時って何をすれば良いの?

今回は、こんな声に応えていきます。

この記事は看護学生・看護師は勿論、その他の医療学生・関係者にも通ずる基礎内容です。専門書やガイドラインなどでデータや事実を確認してから執筆しています。学科試験・国家試験・予習復習などに役立ててください!

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当記事で分かること

  • 術前に準備・確認すること
  • 術中に看護師が担うこと
  • 術後に観察・援助すること

術前管理について

今回は一般的に教わる待機的手術に関して解説していきます。

  • オリエンテーション
  • 呼吸訓練
  • 検査・関連項目
  • 薬剤管理
  • 術前処置・確認項目

オリエンテーション

オリエンテーション(Orientation)とは「適応」・「順応」の意味で、簡単に言えば患者や家族に説明して指導したり、不安を和らげます。

  • 手術日時・面会調整など
  • 後述する項目も含めて術前後の流れや注意事項など

呼吸訓練

<口すぼめ呼吸>

術後は様々な理由で呼吸機能に障害を来す可能性が考えられます。

原因

  • 喫煙歴:分泌物増加・呼吸機能低下など
  • 高齢者:身体機能の衰え
  • 疼痛:排痰困難など
  • 全身麻酔:呼吸抑制・術中安静・人工呼吸器の弊害など
  • 気管チューブ:分泌物増加・嗄声など

術後の呼吸器合併症を防ぐ目的で以下の予防策を講じます。

通常の呼吸は呼気が長く、咳嗽時は一気に呼出します。
  • ハッフィング:排痰訓練です。自分が咳き込む時を思い出してみましょう。「ゴホッ・ウウンッ」などと一気に息を吐き出します。呼気に勢いが無いと喀出できないので、深呼吸後に「ハッ・ハッ」と短い間隔で息を吐き出します。この際に創部痛が出る場合は、タオルやクッションなどで押さえることで和らぎます。
  • 口すぼめ呼吸:人工呼吸器のPEEP(呼気終末陽圧)効果に相当し、気道内圧を高めることで気道を広げて呼吸を楽にします。特に呼出障害を来す喘息・COPD(慢性閉塞性肺疾患)や、術後の無気肺予防などでは効果的です。ローソクの火を消さない程度に吹きますが、病室では手掌・紙などを目標にして長く吹きます。
  • 腹式呼吸:横隔膜を動かすことで効果的に肺を使います。
  • 早期離床(説明):治療以外での安静は呼吸機能の他にも、せん妄・イレウス(腸管麻痺)・入院期間の延長などのデメリットが増えてしまいます。

口すぼめ呼吸

(臨床向きですが、呼吸不全については「コチラ」)

トライボール・トリフローなどは吸気の練習ですが、目視で確認できます。


検査(関連項目)

  • 血液型・不規則抗体・ヘモグロビン(輸血準備など)
  • 腎機能(尿量・輸液・造影など)
  • 凝固機能(出血・抗凝固薬・抗血小板薬など)
  • 心電図・胸部レントゲン・その他画像検査

薬剤管理

  • 術前・術中投与薬:抗生剤など
  • 抗血小板・抗凝固薬:原則中止
  • 輸液・ルート確保・ライン整理など

術前処置・確認項目

必要に応じて以下の処置・確認などを行います。術式などで必要な項目は異なります。

  • 手術・輸血同意書など
  • 剃毛・臍処置・清潔・整容・術衣・排泄など
  • 麻酔科医往診・禁飲食指示
  • 除去:義歯・アクセサリー類・湿布など
  • 出棟準備
  • プロフィール(既往・血液型・アレルギーなど)
  • バイタルサイン
  • 術部・関連部マーキング(術部マーキングは医師が行います)
時間に間に合う様に手術室に向かって、患者確認・同意書確認などをして入室になります。

術中管理について

術中の患者管理は主に麻酔科医が行います。器械出しは執刀医などの補助を行います。外回り看護師は患者の状態を観察しつつ、主に以下の内容に注意しましょう。「コチラ」も参考にどうぞ!

病棟看護師は手術の合間に迎えの準備などを行います。

褥瘡・医療関連機器圧迫創傷

手術中は自ら体位を変えられないので、クッションなどで予防していきます。体位によって好発部位は変わってきます。褥瘡などの違いについては「コチラ」で解説しています。

深部静脈血栓症予防(DVT:Deep Vein Thrombosis)

予防でよく使われるのは以下の通りです。

  • 弾性ストッキング(ES:Elastic Stockings
  • 間欠的空気圧迫法(IPC:Intermittent Pneumatic Compression)

足の運動を行わないと血流が滞って血栓が生じ、肺塞栓症(PE: Pulmonary Embolism)などを起こします。

特に全身麻酔・麻痺(脳卒中など)などで足を動かせない場合は、ES単独の効果は乏しいとも報告されているので、IPCを単独又は併用します。

ES

肢位・保温

クッション・バストバンドなどで圧迫を取り除き、良肢位にして神経麻痺を防ぎます。

麻酔・脱衣などによる体温低下も懸念され、シバリング(身体の震え)を起こします。酸素需要が増したり、低体温による凝固障害も来すので保温していきます。

術後管理について

術後の観察ポイントは以下の通りです。


  • 術中看護・経過の申し送りなど

    輸液量・出血量・尿量・酸素・バイタルサイン・創部・ドレーン・検体・麻酔時間・麻薬・麻酔科指示など


  • 帰室直後

    バイタルサイン・輸液・鎮痛薬・皮膚観察・創部・ドレーン・環境整備・家族案内など


  • 以降

    患者の状態に合わせた呼吸訓練・早期離床・指導など


ドレーン管理

術式でドレーンの種類は様々ですが、ドレーンは主に3つの役割を担います。

  • 予防的:術後に滲出液などが貯留しない様に、また感染予防の目的で留置します。
  • 治療的:気体・体液などを排出させる目的で留置します。
  • 情報的:出血・膿(感染)などの情報を知る目的で留置します。

観察ポイント

  • 量・性状:通常、血性・淡血性と薄まっていきます。新鮮血・排液量・膿・臭気などに注意して見ていきます。
  • 位置:陰圧ドレーン以外では、体腔より下に設置しないと逆流します。疾患・術式でドレーンの設置場所も変わります。また、「cm」・マーキングなどで挿入位置も確認します。
  • 陰圧:きちんとドレーンの陰圧が効いているか確認します。
  • 固定:事故抜去になると再手術となる場合も考えられます。テープ・環境整備などで予防していきます。
  • 閉塞:屈曲・クランプなどによってドレナージが効かなくなります。血塊によって詰まることも多く、ミルキングにより解除していきます。
  • 皮膚:テープ固定部・挿入部などの観察を行っていきます。

脳卒中領域などのドレーンは細く、容易に切断されます。チューブ内の圧力で弊害が起きることも有り得るので、ミルキング可能なドレーンか確認しましょう。

術後回復過程について

ムーアの分類

Moore(ムーア)の分類が代表的です。生体反応で覚えると分かり易いです。

  • 傷害・異化期

    術後2日程度は侵襲によるカテコールアミン反応などにより、血圧上昇・高血糖などが起こります。抗利尿ホルモンの作用も働いて、尿量は減少して循環血液量を補います。また、蛋白質の異化(分解)が起きます。

  • 転換・異化同化期

    術後3日目頃より炎症が改善し、リフィリングと言って尿量が増加する時期になります。

  • 回復・同化期

    創の治癒が進み、栄養療法を行えていれば蛋白質の同化(生合成)が始まります。

  • 脂肪蓄積期

    脂肪が蓄積して体重が増加し、性機能(月経など)なども戻ります。


リハビリテーション

リハビリテーションでは、疾患・分野によって専門のスタッフが居ます。

  • 理学療法士(PT:Physical Therapist):主に姿勢・歩行などの大きな運動に関わります。
  • 作業療法士(OT:Occupational Therapist):主に衣類動作・食器動作などの細かな運動(巧緻こうち動作)に関わります。
  • 言語聴覚士(ST:Speech Therapist):主に発話などのコミュニケーションと嚥下機能に関わります。

指示次第では看護師によるリハビリテーションも可能です。早期離床を目指しましょう!

初回離床時は深部静脈血栓症・肺塞栓症などに注意します。


今回は「周術期看護」について解説しました。病院によっては手術までの流れは、記録としてチェックリスト化されています。

まとめ

  • 円滑に手術に臨める様に、準備・確認を行おう
  • 術後は早期離床を目指して、ドレーンなどの管理を行おう

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