
今回は、こんな声に応えていきます。
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当記事で分かること
- 肺炎とは
- 分類・原因など
- 症状・検査・治療について
<Contents>
肺炎とは
令和元年(2019)
人口動態統計(確定数)の概況
出典:厚生労働省
肺炎は死因5位圏内に入り、特に高齢者に多く臨床ではよく見掛けます。生体に侵入した病原微生物によって肺が炎症を起こした状態で、炎症によって発熱を初めとした様々な全身症状と随伴症状を起こします。
*死因:誤嚥性肺炎と分けると第5位で、含めると第3位となります。
肺炎の分類について
肺炎は病原微生物や臨床症状などで以下の分類に分けられます。分類を分けることで特定の原因微生物に効く抗菌薬を予想して、早期治療を開始します。これをエンピリック治療(Enperic Therapy:経験的治療)と言います。
- 細菌性肺炎:ペニシリン系・β-ラクタム系などの抗菌薬を考慮します。
- 非定型肺炎:ウイルスなどの細菌以外が主となり、β-ラクタム系の抗菌薬効かない肺炎です。マクロライド系などの抗菌薬を考慮します。一部の細菌も含まれます。
感染した場所でも原因となる微生物が異り、次の通り分けられます。
- 市中肺炎:肺炎球菌などが原因となります。
- 院内肺炎:日和見感染が多く、黄色ブドウ球菌や緑膿菌などが原因となります。

食物などの誤嚥によって起こした肺炎は誤嚥性肺炎と言います。特に臨床では、意識障害や絶飲食などで口腔の自浄作用が落ちていることも多く、歯磨きなどで口腔の清潔を保つのが重要になります。

細菌性肺炎
- 肺炎球菌:鼻腔などに常在していて、市中肺炎で最多で、鉄が錆びた茶色っぽい喀痰が特徴です。
- 肺炎桿菌:消化管などに常在していて、クレブシエラ肺炎とも言って、大酒家・喫煙者・糖尿病患者などに多いとされます。
- 黄色ブドウ球菌:皮膚など幅広く常在していて、院内ではMRSAとして問題となる菌で、膿を呈し易いとされます。
- インフルエンザ菌:鼻腔などに常在していて、特に小児に多いです。細菌の一種で、インフルエンザウイルスとは別物です。
非定型肺炎
- マイコプラズマ:非定型肺炎で最多で、若年者に多く乾性咳嗽が強いのが特徴的です。
- レジオネラ:温泉施設などの水を媒介に感染し、急激に進行して重症化するので、尿中抗原などの迅速検査が重要です。4類感染症で保健所への届出が要ります。
- クラミジア:性感染症で有名な属ですが、肺炎の原因としては3種類存在します。飛沫感染・産道感染・塵埃感染(オウム病)が主な経路です。
- ウイルス:インフルエンザウイルスが多く、最近ではCOVID-19(コロナウイルス)が世界的に問題になっています。
4類感染症
直ちに保健所に届出が必要で、A型肝炎・マラリア・鳥インフルエンザなどの主に動物・飲食物などに関連した現地の消毒が必要な感染症です。
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肺炎の症状・治療・検査とは
分類で各々特徴が違いますが、大まかな内容を以下に示します。
症状
発熱や倦怠感などの感染・炎症症状と、喀痰や咳嗽などの呼吸器症状が主となります。
重症化によって脱水症状や低酸素血症などを呈し、様々な臓器障害を引き起こします。炎症が胸膜に波及すると胸痛を呈します。
検査
- 尿中抗原検査:肺炎球菌・レジオネラの鑑別によって治療方針が変わります。
- 画像検査:CT・レントゲンなどで白くモヤっとした所見(浸潤影)を認めます。
- 培養検査:原因微生物の特定によって効果的な薬物療法を行います。
治療
原因微生物に効果を示す抗生物質を用いますが、培養検査による原因微生物の特定には数日要すので、前述したエンピリック治療を行っていきます。
また、必要に応じて酸素投与・輸液・去痰薬・解熱薬などを検討します。喀痰が重力で中枢の気管に集まる様に体位ドレナージをしたり、呼気に合わせて胸郭を押すスクイージングなども効果的です。
今回は「肺炎」について解説しました。
まとめ
- 大きく細菌性肺炎と非定型肺炎に分けられます
- 場所によって市中肺炎と院内肺炎に分かれます
- 誤嚥性肺炎では口腔ケアが重要になります
- 細菌性肺炎では肺炎球菌が多く、非定型肺炎ではマイコプラズマが多いです
- クラミジア(オウム病)・レジオネラでは重症化し易く4類感染症です
- 感染・炎症症状と呼吸器症状に大きく分かれます
- 一般検査・画像検査と原因微生物の特定を行いつつ、エンピリック治療を行います
- 体位ドレナージ・スクイージングなども検討してみよう!
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