
今回は、こんな声に応えていきます。
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当記事で分かること
- 気胸とは
- 種類と特徴について
- 症状・検査・治療など
<Contents>
気胸とは
気胸は胸膜が破綻することで胸膜腔(≒胸腔)に空気が流入し、肺が虚脱してしまった状態です。内因性又は外因性ストレスによって生じ、主な原因は以下の通りです。
- 自然気胸:ブラ・ブレブの破綻などで起こります。
- 外傷性気胸:交通事故などで胸膜が破綻して起こります。
- 医原性気胸:中心静脈カテーテルの挿入や人工呼吸器管理など、医療行為によって起こります。
好発
明確な理由は不明ですが、一般的に「自然気胸」は次の特徴を持った人に多いとされます。
- 若年男性
- 細身
- 高身長
*特に喫煙者は発症の危険性が高くなるとされます。
ブラ・ブレブ
二重構造となっている臓側胸膜の下で膨らんでいる気腫性嚢胞のことをブラ・ブレブと言います。但し、鑑別は難しいとされ一般的にブラと呼ばれます。
- ブラ:二重構造の下で膨れている状態です。
- ブレブ:下層を超えていて、薄皮一枚で保たれているイメージです。

症状・検査・治療
症状
自然気胸は突然起こるので、突発的な症状を特徴とします。
- 胸痛
- 呼吸困難
- 咳嗽
- 鼓音:虚脱している空間に空気が存在することで音が反響し、打診で鼓音が聴かれます。消化管のガス貯留などでも聴かれます。隠し部屋などを見付ける時にノックして音が変わるイメージですね!
- 呼吸音減弱・消失:肺の虚脱によって起こります。
- 皮下気腫・握雪感:皮下に空気が迷入することで、触診で「ギュッギュッ」と雪を握る感じが分かります。
- その他:呼吸数・呼吸様式・SpO2下降など
検査
- 画像検査:胸部CT・レントゲンで肺の虚脱や縦隔偏位を認めます。
縦隔偏位とは
心臓などが位置する「縦隔」が、胸腔に入った空気によって健側に押し込まれます。特に後述する緊張性気胸では、心臓などが圧迫されて循環不全を来します。
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<胸腔ドレーン>
治療
- 軽症:安静・保存的治療
- 脱気:胸腔ドレーンを経皮的に挿入して空気を抜きます。必要に応じて-10cmH2O前後の陰圧管理を行います。位置によっては血液・体液なども誘導可能です。
- 胸膜癒着療法:炎症を起こす薬剤を注入して、胸膜に炎症を起こして癒着させる方法です。
- 外科的手術:胸腔鏡下手術(VATS:Video Assisted Thoracic Surgery)によってモニターで観察しつつ、ブラなどの病変部を切除・縫合していきます。

緊張性気胸とは
緊張性気胸(Tension Pneumothorax )は「閉塞性ショック」による循環障害も起きて、生命予後に関わる危険な気胸です。英名より「Tension」と呼ばれたりします。後述するチェックバルブ機構を学ぶことで病態の理解が進みます。
- 症状:肺が虚脱し、空気によって縦隔が健側に押されて血管・心臓などが圧迫されます。心臓に戻る静脈還流が減少し、頸静脈怒張・血圧低下・頻脈などを呈します。
- 治療:早急に解除しないと致死的となるので、脱気を行います。緊急性が高い場合は、胸腔ドレーンを準備している間に第二肋間と鎖骨中線の部分を太めの針で刺します。
チェックバルブについて
チェックバルブ機構とは
日本語で言うと「逆流防止弁」の意味で、一方弁とも言います。簡単に言うと一方通行の状態で、胸腔に空気が入りっ放しとなります。
今回は「気胸」について解説しました。
まとめ
- 気胸は空気が胸腔に流入してしまう状態です
- 内因性と外因性に分かれます
- 臨床では中心静脈カテーテル挿入時や人工呼吸器管理中などに多いです
- 自然気胸は男性・細身・高身長の特徴を持った人に好発します
- 呼吸器症状の他に、重症だと循環不全も起こします
- 胸腔ドレーンがメジャーな治療ですが、難治性の場合は手術なども検討します
- 緊張性気胸は緊急性が高いです
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