妊娠高血圧症候群とは？定義・原因・症状・食事などについて解説します＜看護＞

この記事は看護学生・看護師は勿論、その他の医療学生・関係者にも通ずる基礎内容です。専門書やガイドラインなどでデータや事実を確認してから執筆しています。学科試験・国家試験・予習復習などに役立ててください！

国家試験範囲の解説一覧は領域別にHOMEに掲載しています。Kindle電子書籍を活用して無料・低価格で「電子ノート」を作りたい場合は、以下の記事を参考にしてくださいね！

妊娠高血圧症候群（PIH：pregnancy induced hypertension）は10%弱の妊婦が合併します。妊娠20週以降、分娩後12週までに高血圧が生じた場合を指します。高血圧に蛋白尿が伴う場合も該当します。

• 妊娠高血圧：高血圧
• 妊娠高血圧腎症：高血圧＋蛋白尿
• 加重型妊娠高血圧腎症：妊娠20週以前より高血圧（or/and蛋白尿）が続く

• 軽症：140-160/90-110mmHg（収縮期 or 拡張期）
• 重症：160/110mmHg以上（収縮期 or 拡張期）

• メチルドパ（α₂受容体刺激薬）：アルドメット®
• ラベタロール（αβ遮断薬）：トランデート®
• ヒドララジン（血管拡張薬）：アプレゾリン®
• ニフェジピン（Ca拮抗薬）：：アダラート®（妊娠20週以降）

腎臓以外に、血管傷害で様々な合併症を起こします。母体は勿論、胎児にも影響が出るので注意が必要です。高血圧・血管透過性亢進なども相まって、血管の外に水分が出ることで浮腫・肺水腫なども引き起こします。

• 脳：脳出血・子癇など
• 肺：肺水腫など
• 肝：HELLP症候群など
• 腎：腎機能障害
• 胎児：常位胎盤早期剝離・発育不全・機能不全など

子癇しかんとは妊娠20週以降に初めて痙攣発作を起こし、癲癇てんかん・二次性痙攣が否定された場合を言います。痙攣発作の起こった時期で妊娠子癇・分娩子癇・産褥子癇に分かれます。原因は高血圧による脳浮腫だと考えられています。

脳浮腫による頭蓋内圧亢進の他、痙攣では呼吸状態が悪くなってしまいます。胎児のガス交換は胎盤（母体）に依存しているので、胎児にとっても危険な状況となります。

子癇発作時には通常の痙攣でも用いるジアゼパムで鎮痙を行います。発作予防・発症時には硫酸マグネシウムを使用します。

• ジアゼパム（セルシン®）
• 硫酸マグネシウム（マグセント®）

妊娠高血圧症候群の場合は入院して、安静・食事・薬物療法の他、ターミネーション（妊娠の中断）などを検討していきます。ターミネーションとは分娩誘発や帝王切開などで妊娠を終了させることで、妊娠週数・重症度・子癇発作・HELLP症候群などを加味した上で行われます。