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【看護】小児領域のプレパレーションの意味って?5段階・ピアジェの発達段階も解説します

集中治療室で10年以上働き、ブログを起点に医療情報やお役立ち情報を発信しています。医療学生・新卒看護師向けに分かり易く解説するコンテンツも制作しています!国家試験に合格したのに臨床で上手く使えない…と思っている人は結構多いです。折角学習するのに臨床で活かせないのは勿体無いです。効率的・体系的に学びつつ臨床に活かしましょう!

プレパレーションって何するの?

今回は、こんな声に応えていきます。

この記事は看護学生・看護師は勿論、その他の医療学生・関係者にも通ずる基礎内容です。専門書やガイドラインなどでデータや事実を確認してから執筆しています。学科試験・国家試験・予習復習などに役立ててください!

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【医療学生】iPad・アプリなどを活かした図解ノートによる勉強方法について<看護>


当記事で分かること

  • プレパレーションとは
  • インフォームド・アセントと違うの?

プレパレーションとは子どもの「知る権利」を尊重すること

Preparationとは「準備」の意味です。現場では子どもが病気などの様々な理由によって医療処置を受ける際に、検査・処置・手術などに対する苦痛・不安などを取り除く目的で子どもたちへの十分な説明を行ってサポートします。子どもの成長は早く、年齢によって工夫する必要があります。

成人ではインフォームドコンセント(下記記事参照)を行いますが、その適応は15歳以上になっています。しかし、子どもにも説明を受ける権利があります。つまり、子どもの「知る権利」を尊重して基本的人権を守ることに繋がります。

インフォームド・アセント

プレパレーションに似た言葉でインフォームド・アセントがあります。同じ様な意味ですが、プレパレーションより大きな概念だと捉えると良いと思います。

【IC】インフォームドコンセントとは?看護師同席の役割などについて

ピアジェ:子どもの発達段階について

子どもに医療行為の説明を行う際は、年齢や発達の段階に応じた表現方法で伝えて子どもが理解できる工夫をすることが大切です。これにはピアジェによる認知発達段階の分類が役立ちます。

  • 感覚運動期:0-2歳
  • 前操作期:2-7歳
  • 具体的操作期:7-11歳
  • 形式的操作期:11歳以降
子どもは独特な感性などを持っていて面白いです。大人になると忘れてしまう一面ですね!

感覚運動期(0-2歳)

感覚・運動を使って他の物の「認識」を行う時期になります。声掛け・タッチングなどを主体に、前操作期に近付くに連れて次項の方法も取り入れていきます。

前操作期(2-7歳)

認識した事象を「直感」で捉えて、「模倣」などで遊びを行う時期になります。多角的に物事を考えずに直感を頼るので、一見自己中心的に見えます。これは脳が発達している時期です。

人形・ぬいぐるみなどを擬人化する「アニミズム」も特徴的で、話し掛けて模倣遊びなどを行う段階です。頭の中だけで理解するには難しい段階です。この時期のプレパレーションは模倣遊びなどの視覚的・直感的に理解できる方法が推奨されています。

小児が華やかでキャラクターが多いのは、この直感などの発達段階によります。

具体的操作期(7-11歳)

具体的に体験したことに基づいて、論理的思考を獲得し始めます。これによって頭で情報を処理して多角的視点で物事を考えることに繋がっていきます。また、人の気持ちをより理解できる様になります。

言葉でのコミュニケーション能力も発達しているので、プレパレーションは紙芝居などの画像・映像などを使って具体的に説明する方法が適しています。

自己中心的で自分勝手な人を「子ども」と揶揄するのは、この発達段階の為です。

形式的操作期(11歳以降)

形式的とは定められた方法で行われることを言います。今まで経験してきたことを応用して、ある事象が起きると何が起きるのかを想像する能力が身に付いてきます。つまり、具体的に物事を経験せずとも抽象的な事象の結果を頭の中で導き出せます。

この時期になると、大人と大差無く理解を行えます。とは言っても、医療用語は難しいのでその辺りは噛砕いて説明していきます。


プレパレーションの5段階とディストラクションについて

5段階

プレパレーションは来院する前から帰宅後まで継続的に行います。この全過程を「プレパレーションの5段階」と呼びます。

  • ステージ1:病院に来る前(親からの情報)
  • ステージ2:入院・処置のオリエンテーション
  • ステージ3:プレパレーション・真実に基づく説明
  • ステージ4:処置中の気を紛らわせるような遊びの介入
  • ステージ5:処置後・退院後の遊び

  • ステージ1

    親が病院について入院前に説明する段階です。説明を受けることで見知らぬ場所や人に対する子どもの警戒心を軽減していきます。緊急入院の場合は難しいですが、予定入院や慢性疾患を持っている場合などでは、スタッフが親と連携して伝え方などを調整・指導していきます。


  • ステージ2

    前述したピアジェの発達段階を参考にして、入院・処置などに関して子どもの表情などを加味して遊びなどを交えて心の準備を助けます。


  • ステージ3

    医療処置に関して正確に伝えます。デモンストレーションや体験を通して処置の説明を行います。子どもに順序を説明したり、問い掛けたりして子どもの理解を助けます。また、タッチングなどで安心感を与えることも重要です。


  • ステージ4

    気を紛らわせることを「ディストラクション」と言います。Destructionとは「気を紛らわせる」などの意味で、以下などの方法があります。

    1. 視覚:絵本・ぬいぐるみなどなど
    2. 聴覚:声掛け・音楽・ガラガラなど
    3. 触覚:タッチング・人形・抱っこなど
    4. その他:嗅覚・味覚(内服薬)など

  • ステージ5

    子どもの頑張りを褒めていきます。よくシールなどを配りますが、経験したことを前向きに受け入れられるようにします。この段階は中でも重要視されていて、子どもの経験が自信へと繋がって成長を助けます。


プレパレーションで重要なポイントとは

子どもの成長は日数で大きく変わります。同じ年齢でも月齢で違いますし、個々の成長スピードも違います。小児に限りませんが、個性を見極めて臨機応変に対応していきましょう。プレパレーションを成功させるには、子どもとの信頼関係を築くことが大切です。子どもの目線に合わせて、ゆっくりと落ち着いて理解ができる様に話しましょう。

また、大人でも悩むと時間が掛かってしまいます。子どもでも同じで、覚悟を決めるまで可能な範囲で急かさずに待ちましょう。嘘・誤魔化しなども当然行わずに、選択肢などを提示してデメリットも説明していきます!


今回は「プレパレーション」について解説しました。

まとめ

  • プレパレーションは「準備」を行うことです
  • 発達段階に合わせた「説明」などを行っていきます
  • キャラクター・人形などを上手く使っていこう!

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