
今回は、こんな声に応えていきます。

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当記事で分かること
- 腎不全とは
- 急性・慢性について
- 症状・治療など
<Contents>
腎不全の分類について
腎不全は、腎機能(GFR:糸球体濾過量)の低下を伴う病態です。

GFRとは
GFR(Glomerular Filtration Rate)とは、一定の時間内に腎臓の糸球体で濾過される血漿量のことを言います。GFRの測定も難しいので、【年齢】【性別】【血清クレアチニン値】が分かれば式に入れて計算できる推定糸球体濾過量(eGFR:estimated GFR)が臨床では使われます。また、上記の3項目に加えて【体重】が計算に必要になるクレアチニンクリアランス(Ccr:Creatinine Clearance)も有名です。
正常値はGFR≧90(GFR:ml/分/1.73㎡・CCr:ml/分)です。低いほど糸球体の濾過量が少ないと言う意味になり、腎機能が悪いです。
GFR:90とは、90(ml)x24(時間)x60(分)で「129,600ml≒130L/日」の濾過量(原尿)と言う意味です。成人の原尿は150L/日程度です。
注意ポイント
- eGFR:1.73で標準体型に補正しているので、体格によって過大・過小評価となります
- CCr:体重を用いるので、理想体重と掛け離れていると過大・過小評価となります
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分類
経過によって以下の2つに大別されます。
- 急性腎不全(ARF:Acute Renal Failure)
- 慢性腎不全(CRF:Chronic Renal Failure)
概念
参考
現在は急性腎障害(AKI:Acute Kidney Injury)や慢性腎臓病(CKD:Chronic Kidney Disease)と言う概念も存在します。
ARFは急激な腎臓自体の急性増悪を念頭にしています。一方、AKIは特に集中治療室領域で発症する様々な原因疾患(敗血症など)による腎障害を言います。
CKDも同様の概念で、簡単に言うと「機能不全」になる前に早期段階で食い止めようって言う考えです。
症状
ポイント
腎臓の機能が低下するので、それらに付随した症状・合併症が出現します。
- 代謝性アシドーシス
- 高窒素血症
- 高血圧
- 浮腫・肺水腫・心不全
- 高カリウム血症・不整脈
- 低カルシウム血症・高リン血症
- 腎性貧血
急性腎不全の定義・原因・症状・治療など
定義
数時間~数日で発症・進行していきます。時に腎臓が腫大しますが、早期に適切な治療を行えば多くは腎機能が「可逆的」です。
原因・症状
以下の通り、腎臓以外の原因も考えられるので、多角的に原因を探っていきます。
- 腎前性:腎血流量低下(低血圧・脱水・出血など)
- 腎性:腎機能障害(尿細管障害・腎炎など)
- 腎後性:尿路障害(尿閉・結石など)

<膀胱留置カテーテル>
治療
3つのカテゴリーに分けて考えると理解し易いです。
- 輸液療法・血圧管理など
- 保存的治療・血液透析など
- 導尿・腎瘻など
慢性腎不全の定義・原因・症状・治療など
定義
3ヶ月以上掛けて病状が進みます。腎臓が萎縮して、腎機能は「不可逆的」です。診断基準は、以下の「一方」又は「両方」が3ヶ月以上持続した場合です。
- 検査で腎障害が明らかで、特に蛋白尿を認める
- GFR<60ml/分/1.73㎡
重症度分類・原因
出典:日本腎臓学会「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018」
生活習慣なども原因となります。
症状
進行すると腎臓の機能低下によって様々な症状を呈します。有害な物質を総称して尿毒素と呼び、それらを原因とする症状を尿毒症と呼びます。
例
- 意識障害
- 肺水腫・心不全
- 腎性貧血
- 便秘・掻痒感
- 出血傾向
治療
以下は腎不全に対する治療の例ですが、疾患の進行程度で変わってきます。合併症などと並行して治療します。
ポイント
- 生活指導
- 塩分制限
- 蛋白質制限
- カリウム制限
- リン制限
- 水分制限
- 透析療法
- 腎移植
今回は「腎不全」について解説しました。
まとめ
- 腎臓の機能を把握しよう!
- 急性は可逆的なので回復を目指します
- 慢性は不可逆的なので進行を抑制します
- 腎前性・腎性・腎後性を押さえて治療をイメージしよう!
- 尿毒症による様々な症状を呈します
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