
今回は、こんな声に応えていきます。
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当記事で分かること
- 関節リウマチとは
- 診断基準について
- 原因・症状・治療などについて
<Contents>
関節リウマチの病態・好発とは
RA:Rheumatoid Arthritisは、自己免疫疾患(膠原病)の一種で、関節(滑膜)に炎症が起きて増殖・骨破壊などによって疼痛や変形などを起こします。有病率は1%程度と、自己免疫疾患の中では比較的よく見る疾患で、Ⅲ型アレルギーに分類されます。
関節は滑膜に包まれ、粘性の滑液で満たされています。滑液は潤滑剤や栄養として働いています。
膠原病とは
膠原病は組織が変性して沈着した状態で、女性に多いです。その原因として、女性が免疫機能に優れている点やエストロゲンなどの関与が考えられています。その防御機能のメリットが、自己組織を異物と認識した際には厄介な存在になります。

好発
- 女性(30~60歳)
関節リウマチの診断基準・検査について
診断基準
2010年に発表された米国・欧州リウマチ学会の診断基準は以下の通りです。実際は細分化されている点数を合計して10点中6点以上で診断が下されます。
- 罹患関節数
- 血清学的所見
- 持続期間:基準6週間
- 炎症反応
検査
診断基準の中で検査に該当する項目は以下の通りです。
- 血清学的所見
>リウマトイド因子(RF:Rheumatoid factor):IgGに対する自己抗体で、感度が高く80%程度が陽性となりますが、健常人・他疾患でも検出されます。リウマチ因子とも言います。
>抗CCP抗体(CCP:Cyclic Citrullinated Peptide):RFより特異度が高く、陽性だと関節リウマチの可能性が高くなります。
- 炎症反応
>赤血球沈降速度(ESR:Erythrocyte Sedimentation Rate):赤沈・血沈と同義で、炎症(フィブリノゲン・グロブリン増加)・貧血(赤血球減少)・低栄養(低アルブミン血症)などで亢進します。
>C反応性蛋白(CRP):体内での炎症反応を表します。
- その他
>自覚症状や画像検査なども参考にしていきます。
関節リウマチの症状・治療について
関節だけで無く、関節以外の症状も呈します。先に各関節の名称を簡単に解説します。

- MTP関節(Metatarsophalangeal joint)
>中足趾節骨間関節(足:第三関節≒MP関節)
- MCP関節(Metacarpophalangeal joint)
>中手指節骨間関節(手:第三関節≒MP関節)
- PIP関節(Proximal Interphalangeal joint)
>近位指節骨間関節(第二関節)
- DIP関節(Distal Interphalangeal joint)
>遠位指節骨間関節(第一関節)
- IP関節( Interphalangeal joint)
>指節骨間関節
*Proximal(近位)とDistal(遠位)は臨床でも頻出するので、覚えておくと楽です。「指」は手の指で、「趾」は足の指に使います。これらの関節が傷害されて、屈曲・伸展して変形することで以下の症状を呈します。
症状
左右対称で起こります。
- 疼痛
- 強張り:朝に起き易く、関節が硬く動かし難くなります。就寝中に不動によって水分が溜まって生じます。

- スワンネック変形:MCP・DIP関節が屈曲して、PIP関節が伸展した状態です。見た目が白鳥に似ていることが由来です。
- ボタン穴変形:DIP関節が伸展してPIP関節が屈曲した状態です。分かり難いですが腱に穴が開いて骨が飛び出た様子が由来です。
- 尺側偏位:MCP関節が亜脱臼した状態です。

亜脱臼とは
- 亜脱臼:関節面に一部接触している状態です。
- 完全脱臼:接触せずに完全に外れている状態です。
- 外反母趾:母趾(MTP関節)が亜脱臼した状態です。
関節以外
- 眼疾患:炎症などを起こします。
- リウマトイド結節:皮下に腫瘤が形成されます。
- 心疾患:心膜炎など
- 呼吸器疾患:間質性肺炎など
- その他:随伴症状・体重減少など
*血管炎・臓器不全などで重症化した関節リウマチは、悪性関節リウマチと呼びます。
治療
治療は大別して以下の4種類です。
- 基礎療法
- リハビリテーション
- 薬物療法
- 手術療法
それぞれ見ていきましょう。
基礎療法
本人が治療に取り組む方法で、日常生活に取り入れて関節症状の改善に努めていきます。適度な運動・安静を行ったり、禁煙・栄養などに気を付けます。
リハビリテーション
- 理学療法(PT:Physical Therapist):可動域訓練など
- 作業療法(OT:Occupational Therapist):巧緻運動など
- その他:装具・温熱療法など
薬物療法
- 疾患修飾性抗リウマチ薬( DMARDs:Disease Modifying Anti Rheumatic Drugs):免疫反応に作用して炎症・進行を抑えます
- 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs:Non Steroidal Anti Inflammatory Drugs):抗炎症・鎮痛作用
- 副腎皮質ステロイド:抗炎症・鎮痛作用
手術療法
- 滑膜切除術:異常増殖した滑膜を取り除きます
- 関節形成術:変形した関節を人工関節(画像)に置き換えます
- 関節固定術:関節を固定することで疼痛・機能面などを改善します
今回は「関節リウマチ」について解説しました。
まとめ
- 滑膜に炎症を起こす自己免疫疾患(Ⅲ型アレルギー)です
- 女性に多く30歳以降の壮年期・中年期に好発します
- リウマトイド因子・抗CCP抗体・ESR・CRPが診断基準になります
- その他自覚症状や画像所見なども考慮します
- 疼痛・強張り・変形などの関節症状を認めます
- 関節以外の臓器障害なども認め、重篤な場合は悪性関節リウマチと呼びます
- 大まかな治療は「4」種類覚えよう!
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